第159回 偽物天国から、もう海賊版は無くなってしまったのか?
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こんにちは。中カツ!通信の野村です。
中秋節、国慶節の大型8連休も、あっという間に終わってしまいました。
前回の中カツ!通信で書いた親戚の新居祝い旅行
の他にも
・「そば処紋兵衛」主催の親子運動会
・40人集まった天秤座の誕生日会
・帰任される方の送別ホームパーティー
など、連日なにかと外出していました。
上海も7年以上住んでいますが、この数日で10人以上も新しい日本人のお知り合いが増えたりと、改めて上海の日本人コミュニティの厚さを実感した連休でした。
10月で帰任される方のホームパーティーに家族でお伺いした時のこと、荷物の整理中ということで、たくさんのDVDがありました。
日本のTV番組、ミュージックビデオなど豊富(雑多?)なレパートリーに
「こんなのも観られるんですね~」
と思わず口にすると、過去に帰任された方が残されていったものがたくさん混じっているからとのこと。
2018年12月の中カツ!通信第62号で
渋谷タワレコ、Movieshops等で海賊版75,170枚を没収!
という記事を書きました。昔は海賊版のDVDショップが上海のあちこちにあり、安さにひかれて、ついつい買ってしまう人もおりました。
ただ日本に持って帰ると税関でひっかかるので、帰任の際は後任者や友人に残していき、もらった人も、捨てるに捨てられず次の誰かに引き継がれていくという繰り返しです。
ただ私自身はDVDを観る回数が減っております。
携帯や家のテレビでオンデマンドのネット配信にすっかり慣れてしまって最近ではDVDを入れ替える作業も煩わしく感じてしまいます。
結果、我が家のDVDは毎月送られてくる
”しまじろう”
の教材専用プレーヤーとなっております。
2000年代初頭の天津、日本では見たことのない宇多田ヒカルのベストアルバムには藤圭子の歌までボーナストラックで入っているというオリジナリティ溢れた海賊版CDがあった時代、留学生はVCDやCDを再生するために、わざわざノートPC立ち上げていました。
一度便利になると戻れないですね…
2000年代後半、深センではCDだけでなくラグジュアリーブランドの鞄、時計、洋服など「工場の流出品だから、ある意味”本物”」という偽物が街中にたくさんありました。
世界の工場と言われる中国だからこそ信憑性があるこのセールストークも軽工業製品の生産が労働力の安い第三国に移っていくと、使えなくなっていきますね。
偽物や模倣は海外ブランドだけが対象でなく、むしろ中国国内ブランドの偽物品の市場規模の方が圧倒的に大きいです。
代表的なものとしてタバコ、お酒があります。
「この酒(高級白酒)の空き瓶なら100元で売れるよ」(偽物業者が買う)
「この店のお酒は本物だから翌日、2日酔いしないよ」
「あそこのタバコ屋は直営じゃないから偽物が混ざっている」
などは、会食中によく出る話題です。それくらい偽物があるという認識で皆が生活しています。
中国国内で買える日本製品でも、わざわざ越境ECを通じて日本から、時には中国国内よりも高いお金を出して買う人が少なくないのも、この「中国は偽物が紛れているのが普通」という感覚があるからですね。
また法律的には偽物ではないものの、倫理的には黒に限りなく近いグレーな模倣品というのもチラホラ見かけます。
日本でも販売されているRED BULLは中国語名では紅牛という商品名なのですが紅午という模倣品があります。
「牛」と「午」の違いですね。
上が模倣品「紅午」、下が本物のREDBULL「紅牛」
トレードマークの赤い牛は、赤い虎?のようなものに代わっており、模倣の意図が強く感じ取れます。
RED BULLを飲みたくなるような疲れている時には、なおさら見分けがつかなさそうです…
ところが英語表記は一気に雑な感じで「David」
デビッドも元気がでそうな名前ではありますが、紅い午だけにRED NOONでよかったのではないでしょうか…
漢字とマークの模倣で力尽きよい名前が思いつかなかったのか?
それとも模倣じゃないと言い逃れできるように、あえてRED BULLと全然関連のない商品名をつけたのか?
どのような紆余曲折をへて「もうDavidにしようよ」と決まったのか当時の会議の様子が気になるところです(笑)
話を偽物、海賊版に戻します。
現在では商標や版権に関しての取締りも厳しくなってきています。2018年12月の記事で紹介した海賊版DVD屋も閉店を余儀なくされましたし、オンラインでも同様に取締りが強化されました。
以前はジャンプの発売の2日前にはワンピース、NARUTO等の人気漫画が中国語に翻訳され読める無料サイトがいくつもありましたが、今では、ほぼ閉鎖されております。
ちなみにこれらを翻訳していたのは「字幕組」と呼ばれる日本語が堪能な人たちで、好きな漫画や動画のために無償で翻訳業務を行っています。
以前、履歴書に「字幕組×年」と書いている人と面接をしたことがあります。突っ込んで話を聞いてみると
「海賊版の作成という悪いことをしている」というより、
「自身の日本語能力で日本の良さを中国に広めています!」と、
ボランティアについて誇らしげに語るような雰囲気だったのに、さらに驚いたものです。
取り締まりが強化され違法サイトが閉鎖された今、日本の人気漫画が読めなくなったかというと、そうではありません。
テンセント等の大手企業がきちんと日本から版権を買って有料で配信をしております。
無料の海賊版が出回っていては中国企業もビジネスになりませんので、取り締まり本格化と中国企業による有料配信は密接な関係がありますね。
腾讯动漫のAPPを開くと多くの中国語漫画と一緒に
「日本漫画」
「韓国漫画」
といったカテゴリーが用意されています。
今年完結した鬼滅の刃ですと、19話までは無料で読めるようになっておりますが、
鍵のマークがついている20話以降は1枚で1話読めるチケットを買う必要があります。
1枚ずつですと50点(0.5元=約7.8円)ですが、50枚まとめ買いすると2083点(20.83元=約322.9円)と15%ディスカウントされ1話あたり約6.4円で購入することができます。
日本のアマゾンで電子書籍を買うと1冊418円です。
だいたい9話分が収録されていると仮定すると1話あたり46円と7倍の値段ですから中国で読んだほうが、かなりお得ですね!(中国語ですが…)
値段が安いとはいえ、今まで無料だったものにお金を払うというのは消費者的には大きな心理的抵抗がありうまくいかないのではと思っていましたが、実際に情報や知識にお金を払うことはどんどん当たり前になってきています。
それは漫画、音楽といったエンタメだけではなく、オンライン教育コンテンツも同様です。
子供用の教育コンテンツ、成人用のキャリアアップ講座、教養講座などの各市場が拡大を続けています。
リサーチ会社のiiMediaのレポート
「2020年中国知识付费行业运行发展及用户行为调研分析报告」
によると知識付費とよばれる市場の2019年ユーザーは3.6億人、市場規模は278億元(約4263億円)であり2020年には40%以上伸び392億元(約6076億円)に達すると予測されています。
このレポートは今年の2月に発表されたものですのでコロナで実際の2020年は予測以上に拡大していると思われます。
これからは日本企業にとっても物理的な商品だけでなく、周辺の情報コンテンツも有料で販売するチャンスかもしれませんね。
「ノートのプロ!コクヨが教えるノーベル賞を取る人のノート術」
という動画コンテンツとか売れそうじゃないですか?
日系企業は長らく中国での偽物、模倣品に悩まされてきました。
3Dプリンターの品質が向上し普及すれば自社が苦労して開発した商品を真似をされる間もなく情報商品として一気にユーザーに届けられる時代が来るかもしれません。
そのためにも自身の価値あるオリジナルのコンテンツを頑張って磨き続けていきましょう!
来週で「中カツ!通信」は3周年を迎えます!
3周年記念企画も考えていますので、是非次回もお読みください!
この機会に皆様からの中カツ!通信に対するメッセージ、ご感想も頂ければ幸いです。
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本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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