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中カツ!通信

「中カツ!通信」は中華圏歴19年を超え、湖南省出身の妻と娘と上海で暮らす野村が「中国で勝ちたい人」のために、「日々ちょっと活力を得られる情報」を、お届けするブログです。

第125回 新型肺炎状況6 やっと出勤できました

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第125回 新型肺炎状況6 やっと出勤できました


 みなさん、こんにちは。

 

1月22日から休みに入り、ほぼ1か月ぶりにオフィスに出勤してきました。(もちろん在宅で仕事はしてましたが…)今回は、現在の新型肺炎状況下での上海の新型肺炎対策事情について紹介したいと思います。

 

2週間前の2月5日に上海に戻ってくる過程と近所のスーパーの様子を書きましたが

第122回 新型肺炎状況4 今、上海で外出はできるのか?

 

現在も厳戒態勢は緩むどころか、更に体系的に厳しくなっております。

 

例えば、政府の通知では武漢を含む感染重点地域の人は上海に戻った後に14日間の自宅待機という基準ですが、多くの小区(日本の団地のような単位だが壁で囲まれている)では、「外国も含め上海以外から戻ってきた人は一律、14日間自宅待機」というルールが設定されています。

 

ルールを設定するだけなら、いくらでも抜け道がありそうですが、出入り口を一つに絞り(他の門は全て施錠)、小区から出るたびに門でワンタイムの通行券をもらって、小区に戻るときに券を回収されるという仕組みになっていました。

 

ただ、小区を出るときに毎回、身分確認はされていなかったので14日間経っていない人も小区の外に出れてしまいます。私もそうやって出入りしていたのですが、4日前に急に居委会(団地管理組合)から電話がかかってきて

 

居委会:「上から新しい指示が出ました。あなたは上海に戻ってきてから満14日経っていないので、家からも出ないで下さい。14日経ったら居委会(団地管理組合)の事務所に賃貸契約書と身分証明書持ってこれば通行証を発行します」

 

と通知されました…

 

自宅から出るなと言われても、出前も宅配も小区の入口までしか来てくれないし、ごみだって捨てなければいけません。

 

もう上海で見慣れた光景ですが各小区の入り口には、宅配業者が荷物を置くテントと棚が設置されており、そこまで自分で取りに行く必要があります。

私:「家から出なかったら食材の宅配も取りに行けないじゃないですか?」と居委会の電話に文句を言うと

 

居委会:「私たちが小区の入り口から家まで運びます。ゴミも家のドアまで回収に行きます」

 

という驚きの答えが。中国の小区は大きいものが多く、私の小区では敷地内に46棟あります。その中の14日間経っていない人は一定数いるわけで感覚ですが300世帯以上に送り届けて、ゴミを回収するって相当な仕事量です。

 

”ラスト1マイル”問題ならぬ”ラスト500m”問題を無料で引き受けるって、次回の管理費が値上がりしないか心配になってきます。

 

2日後におそるおそる電話して

 

私:「野菜と冷凍食品が届いたので持ってきてもらえますか?あとゴミもあるのでついでに持って行ってください」

 

とお願いすると、

 

居委会:「あぁ、さっきまた新しい指示がきて、武漢などの重点区以外は小区の中は出歩いてよいことになったので、自分で取りに行って。でも小区の外は出ちゃだめよ。」

 

私:「はぁ(笑)」

 

 

この件に象徴されるように今回の新型肺炎対策は各主体(政府、地方政府、区、町、居住単位、オフィスビル)によって朝令暮改が日常茶飯事です。ただ、どこも自身の管轄区から感染者を発生させたという責任を負いたくないので、下に行くにつれて厳しくなる傾向にあります。

 

とにもかくにも、14日間の引きこもり生活を終えて通行証を入手しました。通行証には名前が記入されていて、出入りの時に身分証明書(外国人はパスポート)と一緒に提示します。出るのはともかく、入るのはかなり厳しくチェックしており、同僚は毎日車で帰る際に後ろのトランクを開けられ人が隠れていないか確認されているとのことです。

 

これで晴れて正々堂々と街に繰り出す権利を得て出勤です。

オフィスの前では前回、荷物を届けた時と同様のセキュリティ体制です。まずは携帯で壁に貼られているQRコードをスキャンすると、この14日間上海から出ていないことを証明する画面が表示されます。前回、上海虹橋駅に到着した時にアプリで入力した情報がリンクされているようです

その後に、もう何回目かというお決まりの

「この14日間湖北省に行っていないか?」

「感染者と接触していないか?」

「発熱などの症状は発生していないか?」

「上海に来る前に居た場所」

「乗ってきた新幹線(飛行機)の便名」

 

などの情報と承諾書を2枚にわたって記入させられます。

紙だけだと虚偽申告をする人もいるのでは?と思われるかもしれませんが、虚偽申告は、ばれた時には処罰の対象で街中にもいくつも

「病状を隠した人は信用度(お金を借りる時などに使用される指標)のブラックリスト入り」

という告知がされています。しかもビッグデータがいろいろと把握されているので、万が一に新型肺炎になったときに虚偽申告がされていたらすぐにばれる仕組みになっています。もちろん取締りのためにだけではなく例えば新幹線の便名から同乗者に感染者がでたら、同乗者全員にメールが行くなどトレーサビリティを確保できるようにというのがデータ収集の主目的です。

 

こうして2枚の記入をした後にパスポートを提示して、事前に会社のほうから申告していたリストと照らし合わせて、オフィスビルへの入館許可書がもらえました。

その後は検温の後に、消毒槽に足を入れて、おばちゃんから両手の表裏にアルコールスプレーをかけてもらった後に受付で会社名や名前を登記して、やっとオフィスビルに入れます。

 

検温の際は低すぎてもダメで、後ろの女性は33.7度だったため、

 

警備員から「少し横で立って温度が上がるのを待ってください」と謎の発言をされて「遅刻しちゃうから、熱が低いんだからいいでしょ」と言い返すも、もちろん通してもらえませんでした。

 

エレベーターに乗っても非日常が反映されています。「戦疫」と書かれたこの公告の最後の一文には

 

「あなたが”退屈だなぁ”と感じている家が、まさに私たちが帰りたくても帰れない場所です」

まさに自分のことを言われているようで、2人のまなざしに少し後ろめたさを感じてしまいます…

 

他にもオンラインでの医療相談など、広告までもコロナ色がかなり強めです。

 

エレベータホールを抜けてようやくオフィスにつくと、また冷っとした寒さを感じます。

 

この気温5度の中、エアコンはつけず、窓は開いたままです。これはビル管理業者からの指導で”窓を開けての換気”、”エアコンはセントラルエアコンで他の階と交差感染するから不可”というのが出ているための措置です。

 

ちなみに弊社のエアコンは独自の室外機で他の部屋と交錯しないのですが、付けたところ電気メーターをチェックしていたビル管理の担当者がすぐに上がってきて、切るように強く言われたそうです。

 

エアコン、窓の開閉チェックだけでなく、出勤者全員の体温を午後に一度測りビル側に提出もしなければいけません。ビル側で朝入館する時に登記した名簿と再度照合しているようです。

 

先にも書きましたが、このように自身の管轄下で感染者は出さないという厳戒態勢が形式的な過度になっている例もあるということですね。

 

オフィスの足元にはオイルヒーターを複数台設置しているので、座るとそれほど寒くなく私が持参した湯たんぽは使わなくて済んだのですが、ヒーターを事前に準備していなかったら新型じゃない肺炎になってしまってもおかしくありません。

 

私は湯たんぽと合わせて前回にもご紹介した

第124回 新型肺炎GoodNews!マスク(口罩)消毒法

虎の子のオゾン発生器をオフィスに持っていき、同じ部屋の同僚からは珍しく感謝されました(笑)

武漢の病院でも新型肺炎対策としてオゾン発生器が導入されたらしく、同じくオゾン発生器を扱われている堀内さんも問合せ対応で大忙しのようです。

 

お昼になり久々に外食をしようかと外に出てみると、どこもテイクアウトのみでマクドナルドも含め店内飲食ができなくなっておりました。(弊社付近の状況であり、店内飲食できるお店も上海にはあります)

張り紙をみると、マクドナルドの自主判断ではなくこれもビルを貸す側の規制であることがわかります。

 

コンビニのイートインスペースも椅子が撤去されテーブルには店内飲食禁止の張り紙がされています。

二軒隣にあるスターバックスも当然、店内飲食は不可。Third placeはいつになったら復帰できるのでしょうか…

 

多くの人にとって自宅がFirst place、会社がSecond placeであることを考えると現在、中国の大部分では1から2への移行期であり、3を楽しめるようになるのは、もう少しかかりそうです。

 

もちろん病院というBattle placeで奮闘している方々がいるからこそ、自宅や会社に行けるようになったということも忘れてはいけません。

 

そして疫病との闘いと同時に経済との闘いも始まっております。政府からは対象企業への減税、免税、補助金等の下支え対策が矢継ぎ早に打ち出されていますが、まだまだ景気の悪化が深刻化すると予想されています。

 

最近、携帯のショートムービー広告が2週間前のオンライン教育、オンライン医療に並んで目立つ業界がでてきました。

そう、消費者金融の広告です…

 

中国で経済と同時に心配が増してきているのが日本の状況です。当初は日本から多く寄せられる救援物資に感謝感謝の一色でしたが、

最近では

 

「もう救援物資を送らないでくれ!

 

という書き込みをちらほら見かけます。

決して、十分にあるからもう不要ということではなく、日本でもマスクや消毒液が売切れになっている現状に加え感染者が増えてきている状況をみて

 

「本当にありがたいけど、日本は日本人のために物資をちゃんと残しておいてほしい。もし日本で肝心の時にマスクが足りなくなったら詫びきれない」

 

という思いやりからの発言です。

 

日本は中国からも感謝の対象だけではなく心配の対象になっているわけで、中国以外の国からしたら、ただの心配の対象です。大きなイベントが中止になったりしていますが、やはり個々人の手洗い、消毒、マスク着用が大事です。

 

日本では法律の違いもあり、中国のように大胆な封鎖や制限をすぐに行うのは難しいと思います。

 

日本でお読み頂いている皆様も今一度、自分事として防止対策を行ってくださいね!

 


本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
 

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