第152回 成長中!火のない所に煙をたてるビジネス
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第152回 成長中!火のない所に煙をたてるビジネス
こんにちは。中カツ!通信の野村です。
新コロナによる重症者の増加、世界的な政治対立、自社の目標進捗など気が晴れないことは多いままですが、最近上海は気持ちのよい青空が多いです。
約20年前に天津に留学した際にはPM2.5 という言葉も知らず、灰色は環境汚染ではなく農業の時代からの地域固有の空の色なのかと思っていました。(恥ずかしい…)
2014年の北京マラソンはPM2.5を含む汚染指数が最悪基準(危険)である400台となり、数百メートル先のビルがかすむ状況で不参加者が続出し、参加した人の中にもマスクをつけて走る人がいたというニュースがありました。
当時勤めていた会社でもN95 マスクの支給と空気清浄機購入資金の補助があるくらい問題視されていましたが、上海の街中はPM2.5 の値が5分の1以下の東京でマスクをつけている人の5分の1もいなかったはずです。
どれくらい身体に悪いのかと当時ネットで調べて
「北京の大気汚染をタバコに換算すると1日で1/6本に相当」
(40本という数値もあったそうです)
引用レコードチャイナHP:https://www.recordchina.co.jp/b118457-s0-c30-d0054.html
という記事にタバコ6本や60本の間違いではないのかと驚きました。
当時の友人には1日1箱(20本)以上タバコを吸う人も珍しくなく、
「タバコを吸う人どうしのPM2.5 の怖さと自分がどれだけ気を付けているかを語ることの滑稽さ」
をよく覚えています。
日本ではマスク警察など「何をおいても新コロナ防止が最優先される」という主張をする人もいるそうです。
もちろん軽んじることはいけませんが、他の疾病や景気落ち込みからくる重症者数・死亡者数と比較しながら議論や対策をしないと
「タバコを吸いながらPM2.5 対策自慢」
「デザートビュッフェ食べながら、最近ランチのお米を半分残すようにしている自慢」
のように大きな自己矛盾を抱えてしまいそうですね。
ちなみに北京の大気は2013年から毎年継続的に改善されており、特に新コロナ時には移動制限、企業活動制限があったため新コロナ前と比べて約20%大気汚染が改善されたとのこと。
(参考: 国際環境経済研究所の以下のページ
http://ieei.or.jp/2020/05/special201705016/)
大気汚染だけでなくタバコに対する規制や健康意識も変化しております。北京、上海などではホテル、レストラン、オフィス等の屋内でタバコを吸うことは禁止され、各オフィスビルの外には喫煙所が設置されております。
タバコ自体は相変わらずバラエティに富んでおりタバコ屋に行くと1箱5元(約80円)から100元(約1530円)するものまで何十種類もみることができます。
ここ2年は中国では販売されていないIQOS(アイコス)を吸う人も増えてきました。
定期的に日本で買った(買ってきてもらった)ものの新コロナで行き来できなくなりストックが切れた中国人の友人から
「IQOS(アイコス)のカートリッジ(煙草が入っている部分)を買える場所を知らないか?」
という問い合わせが何件も来ました。
中国でIQOSを吸う友人によると日本で1カートン4500円のカートリッジが一時期3倍近い1000元まで値上がりしたそうです。
今は日本から戻ってくる方もチラホラでてきたためハンドキャリー中国流入が復活し2倍近い600元でやりとりされているとのこと。
新コロナ時期、マスクなどの健康関連グッズだけでなく不健康グッズも高騰をしていたのですね…
中国でもIQOSのように比較的健康に悪くない?タバコの代替品市場は急拡大しておりました。
大部分がニコチンかタールが無い(少ない)というものなのですが、中には合成大麻成分(合法)が含まれるものまであり、もう煙草(タバコ)の定義が何の草なのか、そもそも原料が草由来なのか普通の人にはわかりません。
モクモクと増えていく電子タバコ業界に数多くの投資も集まっていたのですが、そこは不健康ビジネス、もちろん国としても火消しの規制に乗り出します。
2019年11月にECでの販売、広告が禁止されアリババ、京東など大手から自社サイトまでECサイト上の電子タバコ店舗が全部閉鎖され一気に焼け野原になると思っていました。
昨年の政策に加え今年のコロナで更に淘汰が進んだものの企業情報調査サイトで「電子タバコ」を見てみると、まだ100もの企業がヒットします。
煙だけに政府の一吹きでバブルが飛んでしまったかと思われていたのですが、最近では逆にオフラインでの販売網整備が進み、ショッピングセンター、ブランドによってはコンビニでも買えるようになってきています。
上海虹橋駅に併設されるショッピングセンターには、電子タバコの主流ブランドの一つであるYOOS(柚子)の販売店があります。
公式サイトをみても商品写真すらみあたりませんし
https://www.yoozworld.cn/gywm
電子タバコに興味がない人が通りかかってもいろんな色のUSBを売っている店と勘違いしてしまいそうです。
右の長い棒に、左の小さいカートリッジを差し込んで使うのですが
一つのカートリッジ(34.5元)で、たばこ三箱分くらいに相当する喫煙体験ができるとのこと。(機械は300元くらい)
ちょうど他のメーカーの電子タバコを持っていた友人のと比較すると、ほぼ同じ形、大きさで、価格も似たり寄ったりです。
面白いのが、その味の豊富さ。
「クラシック煙草フレーバー」
「清涼ミント」
のような想像つきやすい味から
「メロン」
「ライチ」
「マンゴー」
といったガムのような味に加え
「緑豆」という、日本でいうと小豆のように甘くして食べる豆の味まであります。(中国では小豆バーと緑豆バーがアイスで並んで売られるくらいメジャーです)
タバコというと映画やTVのなかで俳優が苦い煙をくゆらせながら渋い顔をしているイメージでしたが
今は、
「男らしさ、かっこつけ、大人ぶるためのアイテムとしてのタバコ」
というイメージからはかけ離れてしまっているようです。
紙煙草から電子タバコに変えた友人に、理由を聞いてみると、
・紙タバコより健康被害が少ないと言われている
ということよりも、
「短時間で、3秒あれば一口だけ吸える、臭いが残らない」
というのが決め手だったそうです。
紙煙草の吸える場所が少なくなり、非喫煙者も増えてきており家族や同僚と一緒の時にタバコを吸いたくても
・吸える場所を探して
・火をつけて3分くらい喫煙する
というのがあわただしく「3秒あればポケットから出して一口でも吸える」というのが非常に便利に感じるそうです。(中国は基本、屋外は喫煙可能)
でも、吸うのは便利であっても、買うのは不便そうですよね?
各電子タバコメーカーごとに数十種類もの味がありますし、カートリッジの形も異なりますので、街のタバコ屋やコンビニで各商品の多くのフレーバーを取り置くのは難しいですから、決まった場所まで買いに行くこと自体が手間になりそうです。
そこはOMOの発達した中国、ちゃんと方法が存在します。
最初に電子タバコを買う際にお店側の店員とWechatを交換しておくと、二回目以降はWechatで支払いを済ませれば、カートリッジを指定住所まで郵送してくれるとのこと。
実際にお店の人にWechatを見せてもらうと開店約1年で1000人以上の顧客リストがあり、購入した味と日付がきちんと記録されていました。
今では
平均で1日300カートリッジ1万元強(約16万円)の売上
があるそうです。
確かに銘柄は固定していても、コンビニなど買う場所は固定しないことが多い紙タバコよりも、最初に買った店でWechat交換した人以外からまず買わないWechat電子タバコの方が顧客の囲い込みによる安定的な収益が見込めそうです。
どの味を、どれくらいの頻度で買うかのデータが蓄積していき、そろそろ再購入されそうなタイミングでメールを送ったり、同系統の新しい味(緑豆派に黒豆味)のお薦めなどのマーケティング活動もされているのかも。
新規客を獲得するべく、家賃が高くても流動客の多いショッピングセンター内に店を開くというのもリピーターで元が取れる証拠です。
オンラインだけ見ていると既に消えてしまったように思えた電子タバコ、オフラインでしっかりと煙を立て続けていたのですね。
もちろん、この後に更なる規制がでオフライン販売さえ難しくなる可能性もありますが、このビジネスで溜めた顧客データは次の何らかのビジネス(禁煙グッズとか)にも活用できそうです。
皆、健康を望んでいる(はず)なのに、不健康な物が売れる
ECがなきゃダメだと思われた業界がオフラインを起点に盛り返す
世間の常識のような他人の意見も全部うのみにせずに、もう少し深堀りしたり、ずらしてみてみることで新たな商機の火種が見つかるかもしれませんね!
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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