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中カツ!通信

「中カツ!通信」は中華圏歴19年を超え、湖南省出身の妻と娘と上海で暮らす野村が「中国で勝ちたい人」のために、「日々ちょっと活力を得られる情報」を、お届けするブログです。

第153回 みつがせて上場、トイは盲目?!

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第153回 みつがせて上場、トイは盲目?!

こんにちは。中カツ!通信の野村です。

あなたは、みついでますか?

昔バブルの日本で流行った言葉で「アッシー君」「メッシ―君」「ミツグ君」というのがあります。

アッシー君:足になってくれる、つまり車で送迎してくれる男性


メッシー君:いつでもメシ(ご飯)をご馳走してくれる男性


ミツグ君:金に糸目をつけず、プレゼントをしてくれる男性

これらを女性に対しておこなうのは国、時代、程度は違えどいつでもみられる現象ですよね。

8月25日は旧暦の七夕ということで奥様や彼女にバラやお金をみついだ方も多いのではないでしょうか?

うちでも家庭がバラバラにならないように、庶民的な値段と量のバラはみつぎました(笑)

毎年「彼氏から520元もらった!」というような成果自慢の投稿がSNSにされるのですが、今年は新コロナの影響か相場が下がっているようで、「0.52元だけ送ってきた(怒)」という投稿もありました。

※520は我爱你と発音が似ていることから象徴として使われる。4649(夜露死苦よろしく)みたいなもんですね~

さて今日とりあげるのは昨今多くの人がみついでいる「盲盒」(Blind Box)について

中国ではキャッシュレス決済、オサイフ携帯の浸透に伴って多くの自動販売機が出現しました。

飲料、お菓子といった即使用する利便性を提供するものから福袋のように何が入っているかわからないものまで、ショッピングセンターなど人が集まるところにはいくつも並んでいます。

2019年1月に取り上げた福袋自動販売機の中カツ!通信記事

「幸運先生が、ちまたで流行中?!幸せの黄色い箱」

この福袋系は最近ではすたれてきているのですが、どんどんと増えているのが今回とりあげるキャラクター系の盲盒(BlindBox)。

業界最大手の北京泡泡玛特文化创意有限公司(2010年設立)は2020年6月1日に香港証券取引所に上場申請書を提出しました。

2016年にMollyの盲盒(BlindBox)をリリースした後、売上・利益とも高成長を続け2019年には

 売上高:16.83億元(約257.5億円)

 純利益:4.51送源(約69億円)

まで成長しIPO申請となりました。

2019年と2017年で売上10倍以上、利益22倍以上なので、その驚異的な成長速度がわかります。

元々は自社のオフラインショップで盲盒(BlindBox)を販売していたのですが人気に火が付き今では自動販売機の方が圧倒的に多く商品の補充頻度も高いとのこと。

なぜ、ここまで火がついたかというと

「開けるまで何が入っているか分からない射幸心(しゃこうしん)」

「シリーズを揃えたくなるディドロ効果」

があったからに他なりません。

オフラインショップ、自動販売機、ECどこで買っても開けてみるまで何が入っているかわかりません。オフラインショップでも重さで中身が判別されないようにランダムでプラスチックの板を入れる徹底ぶり。

ECでは開けてから返品されるのを防ぐため、品質不良以外の返品返金不可とされております。

通常1シリーズ12体で構成されていて、更に一つHidden Editionという隠れレアキャラが設定されています。

これが出る確率が1/144とか1/720とかに設定されているので、

「12体全部揃えたい」

「レアキャラもゲットしたい」

と次々と買い続けてしまうのですね…

値段は一つ59元(約900円)ですから安くありません。

ただ一度、火がついた射幸心は人を盲目にさせます。大人買いが続出しています。

元々は20代の女性をターゲットとしていたと思いますが、中には1年間で70万元(約1070万円)を使う60代など射幸心に年齢の壁がないことを物語っています。

POPMART(泡泡玛特)では上記の写真のMollyシリーズ以外にも多くのIPを獲得しており、

まさにバブル(泡)状態で売上、利益が伸びているわけです。

やはり自分の手に取って箱を選びたいというニーズもあるのかショッピングセンターに実店舗の出店も続いています。

このチャンスを他の企業が見逃すはずもなく、多くの盲盒(BlindBox)が参入しております。

コンビニ等、他社の売場でもコラボ商品が販売されていました。

私の同僚も娘にせがまれ買い続けているうちに重複したものをオフィスに1つ1つと持ってきて今ではユニコーン牧場ができあがっています。

色とりどりのユニコーンや猫が無造作に置かれているのはみて乗り捨てられたシェアサイクルを思い出してしまうのは私だけでしょうか…

グループ会社のIT部門の同僚は元からのアニメ好きからワンピースの盲盒(BlindBox)を買い始め、彼のオフィスに行くたびにフィギュアが増えています。

この記事を書くためにいろいろと聞いていたら、

「どのキャラクターが好き?」

と聞かれたので「同じ趣味で語り合いたいのかなぁ」と思いながらキャラクターを答えると

「ちょっと待ってて」

と裏で箱をゴソゴソしているのでのぞき込んでみると、

2ケース(24個)大人買いしていました(笑)

そこから袋を開けることなく(外箱は空いている)手で形を探りながら

「チョッパーはこれだ!」といってプレゼントしてくれました。

麻雀の盲牌(モウパイ)ならる盲フィギュアですね(笑)

2箱買ったけどシークレットキャラは引けなかったらしく、引き続けるかネットの中古サイトで買うかは少し迷っているとのことです。

そうです。この時代は自分で引けなくてもネット上のサイトでレアキャラを高値で買うこともできるのです!

Mollyのあるシリーズのレアキャラは220元と定価の約4倍で取引されています。


少し前のニュースでは2000元(約30600円)を超えて取引されているレアキャラもあるとのこと。確かに1/144の確率を考えれば5倍や50倍の値段を払っても確実に入手できるほうが経済合理性があるように感じます。

ただ、そもそもレアキャラといっても運が良ければ59元で買える同じ素材のモノ。経済合理性で考えたら、レアキャラのために買い続けること自体が不合理です。

実際、多くの人が

「何が入っているかドキドキ、ワクワクするあの瞬間がたまらない」

と言います。

「可愛らしいし眺めていて癒される」という機能もありますが、大量に出品されているレアキャラでないものは、半額以下の値段で取引されていますので、やはりモノではなくコト消費なのかと。

もし現実的な機能で比較して欲しいものを選べるなら、ここまでの人気にはなっていなかったと思います。

買えば充足される機能に対してのニーズではなく「遊び」であり、「オモチャ(TOY)」であるからこそ盲目的な人気がでたのではないでしょうか。

ただ恋は盲目”でみついでいた時から目が覚めて、お見合い(今だとマッチングアプリ?)をするように機能重視になるのと同じように、本当に欲しい質の良い将来的にも値下がりしないフィギュアだけを買うように、またブームが変化していくのかもしれません。

今は訪日インバウンド消費が期待できない時期ですが日本各地のゆるキャラ(ある意味くまモン以外は全部レアキャラ)を広め将来の観光客誘致の種をまくチャンスかもしれません!

盲目的に便乗するのも中国ビジネスでの成功パターンの一つです。ただしタイミングを見誤ると「恋のやけど」では済まなくなる可能性もありますので、あくまでも判断は自己責任でお願いします!


本日も最後までお読み頂きありがとうございます。

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