中カツ!通信405回 日本のアノ貴族は大丈夫?デフレ?落ちぶれ?外資「タカヨカ戦略」の終焉、
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中国市場に入る時に、
この戦略を使うことがあります。
「高価格=高品質」、
「海外から来たありがたいモノ」という
イメージを消費者に与え、
ブランドの優位性に変える。
実際かつての中国市場(そして日本でも)
それは有効でした。
品質が不安定な国産品と比べて、
海外ブランドは“安心・安全・高品質”という
イメージを持たれやすいですし、
特にSNSが発達していない時は、
実際、本国でどうなのかも
調べにくかったですからね…
この「高かろう、よかろう戦略」、
略して「タカヨカ戦略」で成功した
企業の代表例がアイスクリームの
「ハーゲンダッツ」

ハーゲンダッツは1996年に中国に進出し、
上海の一等地である南京東路に
中国初の店舗を開きます。
当時の中国においてアイスクリームは
家庭で食べるおやつ程度の認識の中、
ハーゲンダッツは、最も安いアイスでも
25元という値段で販売します。
今の値段がシングルで
約50元なので当時は安かったなぁと
思いがちですが、
平均月収が500元程度の時代の25元
月収の20分の1という強気の価格設定!
現在の上海の平均給与を
13,000元くらいとすると、
アイス1玉が650元(1.3万円)の感覚です。
ハーゲンダッツは、ロゴや発音から
北欧っぽいイメージありますが
根っからのアメリカ企業です。
ハーゲンダッツという名称は
北欧の都市"コペンハーゲン"と
それに響きのあう"ダッツ"という言葉
(意味はありません)の組み合わせです。

アイスなのにLVやGucciなどの
ラグジュアリーブランド店の隣に出店し
「彼女を愛しているなら、
ハーゲンダッツをごちそうしよう」
というキャッチコピーで、
“高級でロマンチック”な
イメージを築きました。
高級品イメージから
贈答品市場にも食い込んでいき
一時期、中秋節のアイス月餅は、
飛ぶように売れ
引換券の転売も多かったです。


今、販売しているものだと274元~949元。
やはり高く、給与の20分の1に近いかも。
そんなハーゲンダッツが、
今年9.9元に値下げしました。

とはいってもアイスではなく
値下げしたのは、コーヒー類の
アメリカン、ラテ、モカ等で
元々、34元だったのが
9.9元と約3分の1です。
値下げされていない
ジャスミン茶36元が目立ちますね…
中国が長いせいか、
このような値下げには
「何か罠があるのでは?」
と疑ってみるものの、
コーヒーを入れるカップが
アイスクリームのミニカップに
変更されていることもなければ、
49元のアイスを買わないと
9.9元の飲料を買えないなどの条件もなく、
9.9元のカフェラテをテイクアウトでも
店内で座って飲むこともできます。
強気の価格戦略で攻めていた
ハーゲンダッツらしくないですよね。
実はハーゲンダッツは3四半期連続で
店舗客数が2桁減という
コーヒーより苦い状況です。
タカヨカ戦略が効かなくなったのに、
いくつかの理由があります。
まず第一に、
「輸入品=高品質」神話が崩れました。
ネットの普及により、
海外価格との比較が容易になり、
「なぜ中国のハーゲンダッツは高いのか?」
という疑問が広まります。
妻も日本のスーパーで
ハーゲンダッツが300円くらいで
売られているのをみて、
一気に複数の味を大人買いしてた反面
中国では買わなくなりました(笑)
また「高級=特別な体験」という
ステレオタイプなイメージも薄れています。
毎日をちょっと豊かにする
“コスパのいい幸せ”
を求めている人にとって、
アイスクリームに高額を支払うより、
手ごろなミルクティーやスイーツに
価値を見出すようになっています。
今年、上場した蜜雪冰城の
ソフトクリームなんて3元だしなぁ…

ハーゲンダッツもアイス自体の値段は
ブランドイメージから下げられないものの、
利用頻度が多い「コーヒー類」の値下げで
来店を促進しているのですね。
このコーヒー類も相変わらず
価格競争がつづいております。
店内で飲めるという点では、
ハーゲンダッツの9.9元は
安いもののテイクアウトを含めれば
ラッキンコーヒーや
Cottiコーヒーでは、
9.9元は当たり前。



「タカヨカ戦略」の見直しは
ハーゲンダッツ、スタバといった
長年中国市場で戦ってきた
企業だけではありません。
ドイツ発のスーパー「奥乐齐(ALDI)」は
地元ではディスカウント系スーパー。
ところが2019年に中国へ進出した当初は、
輸入品多めの中高価格帯スーパーという
ポジショニングで始めます。
ただ、思うような成長が見込めず、
2023年には戦略転換をし、
本国と同じように厳選商品の
低価格スーパーで再出発。
自社ブランド比率はなんと90%。
中間業者を極限まで排除し、
徹底的なローカライズを行います。
一箱9.9元のロールケーキは、
無錫・蘇州の店舗では開店初日に
37分で売り切れるほどの人気ぶりです。
私も買ってみたのですが、
確かに4つ入って9.9元はかなり安い。

味も甘さ控えめで美味しかったです。
他にも惣菜はスーパーなのに
1人暮らしむけの小容量商品も多く
「安いけど安心・オシャレ・便利」と
コスパを求める消費者の心を掴んでいます。
外資系の商品の
「高かろう良かろう」はもう過去のもの。
価格と品質のバランスのとれた
「ちょうど、よかろう」が大事ですね!
サイゼリヤが中国で成功しているのも
現地商品と比べても負けないコスパがあるからです。
そんな中、最近期待しているのは
日本で一番有名かもしれない貴族。
そう!鳥貴族
サイト上の中国語店名が
「鳥貴族・平価焼鳥」なので
高いのか安いのか混乱しそう(笑)
中国でも日本の「全品均一価格」戦略を
踏襲し全メニュー18元です。

私の記憶は280円均一でしたので
「日本より高いじゃん!」と思ったら
今は360円なんですね…
現在のコメントを見ると、
価格については好意的な評価が多いものの、
他の焼き鳥店と比較した品質や
日本の鳥貴族でのコスパだと
改善を求める声も多くありました。
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