中カツ!通信 第175号 4億人の子供を教えてきた猿とは?
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こんにちは中カツ!通信の野村です。
土曜の午前中、5歳の長女の泣き声が聞こえてきます。
また妹と喧嘩でもしたのかといってみると、
「パパもう算数できないよ~」
と泣きついてきました。
毎日2枚の計算ドリルをやらされているのですが、同じ間違いをして母親に真面目にやりなさいと叱られたようです。
妻に確認すると幼稚園の宿題ではなく、友人に紹介されたオンライン教育の教材をやらせているとのこと。
その名前が「猿補導」
「サルでもわかる××」という入門書のタイトルは、よく聞きますが、サルが補習指導って大丈夫か??
妻によるとAIを使った、オンライン教育界では世界最大のユニコーン企業で超有名とのこと。
調べてみると確かに、2020年10月23日時点で評価額1.6兆円との記事が見つかりました。
「オンライン教育で世界最大規模のユニコーン誕生 中国「猿補導」が新たに2300億円を調達で評価額1.6兆円に」
https://36kr.jp/101563/
公式HPをさがしていると、驚きのキャッチコピーが見つかります。
「猿補導 オンライン教育 全国累計ユーザー数4億突破」
ユーザー4億人??
中国では10年に一度、人口調査が行われます。ちょうど去年2020年に行われたのですが結果がまだ出ていないので2010年のを参考にします。
2-18歳の比率は20.28%となっており現在の14億人の人口にあてはめても約2.8億人にしかならず4億人にはとてもとどきません。
猿補導は幼児教育2-8歳、K12(小学校から高校生)までを対象とした5つのAPPを提供しております。
累計だし5つのAPPを全部ダウンロードしたら5ユーザーというカウントなのかと思ったら、それも違うようで1デバイスごとに1ユーザーとのこと。
つまり両親が、それぞれの携帯でダウンロードしたら2ユーザー、双方のおじいちゃん、おばあちゃんまでダウンロードしたら6ユーザーというカウント方法なんですね。iPadなどタブレットまで入れたら、もっと増加します。子供自体が携帯番号を持っていない可能性もあり最終ユーザーとの個人、紐づけが難しいのでしかたないですね。
でも、1人の子供のために複数のデバイスでダウンロードする必要があるのか?と思いますよね。
携帯とiPadなどタブレット両方でダウンロードするのは利便性を考えると納得できますね。それ以外に面倒くさいことをしようと思う一つの理由がネットで見つかりました。
我が家に届いた有料のお試しセットを見てみましょう。
「猿補導 国語、算数 2科目 特訓班」と書かれています。
箱の蓋が破れているのは次女がのせいです…
A3の大きさの箱にストップウォッチから勉強計画表、ご褒美シール、小学生算数の全公式表、計算ドリル、漢字の単語帳、間違い修正用ノートなど盛りだくさんです。
ちょっと意外なものとしては花の種が入っていました。
下に添えられたメッセージには
「彼ら(両親等)があなたを埋めようと試みた。あなたは種だということを覚えておいて」
一瞬、いい言葉のように思えましたが、子供が熾烈な教育競争という鉢に放り込まれた種だと考えると、なんだか微妙な気分です…
また娘がやっていた計算ドリルは、アプリで写真を撮ると一瞬で正誤が判明するようになっており、これは便利です。
画像識別AIは計算問題だけでなく、漢字のピンイン(読みがな)や英語のスペル判定にも使えるようになっているとのこと。
こういったドリルの採点というのは親にとっても一苦労ですよね。
ただ、面倒くさがって巻末の答えをそのままにしておいて自己採点にすると、皆さんも経験があるように高確率で答えを書きうつします。全問正解だと怪しまれるのでわざと1、2問は間違えたりして(笑)
正解があって単純な作業ですから、まさにAIの得意領域です。
上記の物質的な教材セットに加え、アプリ上でのオンデマンドの録画講義5本、3回のライブ講義、1対1のチャット上での質問できる機能もあり勉強だけであれば幼稚園より効率よく行うことができそうです。
さて、このような1セットで値段はいくらかというと
トライアル価格9.9元(約160円)、しかも送料込み!
年齢別にプレゼントや教材内容が変わるそうなので、複数の携帯で4歳用、5歳用と2つ申し込んだりする人がいるのも納得です。
我が家では長女向けに日本の子供チャレンジの教材をまとめ買い、次女向けに中国でもシマジロウを定期購買しておます。
勉強実務だけでなく生活習慣、友達と社会性までの教育も含まれた、DVD、絵本、関連したオモチャ、APP動画と、どれも非常に良い教材で2人とも楽しく勉強して(遊んで?)おります。
それに比較すると猿補導は公文に近い実践的勉強なので長女が嫌気がさす気持ちもよくわかります。
ただ同じく幼稚園の5歳の友達も数学の塾に通ったりしているので、上海という競争社会で芽を出して伸びていくためには、こういったものも今から始めなければいけないのかもしれませんね…
猿補導はトライアルセットだけでは大赤字です。実際に正規の価格の商品を買っているユーザーも、既に400万人を超えているとのデータがありこちらも順調に伸びているようです。
メインのターゲットである中学生、高校生に対しては画像認識AIだけではなく、質問を読んで回答できるマイクロソフトのMS MarcoというAI
が使われており、より複雑な質問にも答えができるようにされているようです。
74億回の回答履歴と284億回の問題検索履歴というビッグデータを活用して難易度、平均回答時間、各選択肢の回答率と傾向から、自分に適した学習が提案される仕組みになっているようです。
これだけのビッグデータがあれば教材コンテンツ自体のブラッシュアップも早そうです。
コロナでオンライン教育を余儀なくされた環境で一気に広まった数多くのアプリ。
基本的な教える授業は動画でおこない、分からないところの質問を人が対応するという仕組みは、教師の負担を大きく減らしますし、地域間での教師のレベルの格差も縮めてくれそうです。
そうなってくると多くの教師や親に求められるのは、
「分かりやすい教え方を習得する」
ではなく、
「勉強し続けたくなるような動機付け」
をしてあげることになってくるのでしょうね。
泣きついてくる娘に対して、妻が言ったのは
「パパは普段、家にいないんだから逃れられないよ!月曜になったら、やらなかった分の量が増えるだけよ」
「毎日、頑張ったら日曜日はスパゲッティ食べに行けるよ!」
それを聞いた長女もハッと我に返り私に
「明日は一緒にスパゲッティ食べに行こうね!」
と食欲で泣き止み机に戻りました(笑)
食欲で、いつまで動機付けできるのか不安ですが、スパゲッティが長女にとってご馳走であるうちに勉強習慣を身に着けてほしいと思います。
でもAIが驚速で発展していく中で、我々が普段行っている業務はほとんど代替されるはず。
そうなると既存の社会で活躍できる人を再生産するための勉強競争という環境でなく、他の良い土壌の鉢を探すことの方が大事かも。
興味あること好きなことを努力して勉強したら、更に楽しくなってもっと知りたくなるという勉強自体の楽しみを実感してくれるよう、私達両親も楽しさを伝える勉強をしなければいけませんね。
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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