中カツ!通信 第176号 ネット大手企業が競ってお年玉を配る理由とは?
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こんにちは中カツ!通信の野村です。
もういくつ寝るとお正月~
ということで、中国では2月12日がお正月になります。
土曜日に近くのショッピングセンターにいくと目につくのは、お正月の飾りつけと
多くの人、人、人
上海でもコロナの新規例が出始めたため入口での健康コードチェックに加え、マスクもさすがに皆がつけています。
ほとんどの物がECで買える時代ですが、お正月など季節イベントはオフラインのリアルな体験にはかないませんね。
「何人が買いました。」というホームページ上の表示よりも、目の前で多くの人が試着している服の方が感情が刺激されるものです。
お正月といって感情が刺激されていたものといえば、
お年玉!
中カツ!通信を読んでいる日本人の方ですと、
「今年も、お年玉を楽しみにしています!早く親戚に会いたいなぁ~」
という人は多くないはず(笑)
中国でお年玉は压岁钱という言葉はあるものの、いろいろなご祝儀も含めて紅包と表現することが多いです。
ただ中国では大人であってもお正月にもらう人が増えてきました。
では、中国でお正月の紅包は誰からもらうものなのでしょうか?
中国で一番多くの人にお年玉を配っているのは
アリババグループのAlipay
2020年は3.18億人に総額5億元(約80億円)が配られました。
この3.18億人は、もちろんランダムに選ばれたわけではありません。
福を5枚集めて初めてお年玉をもらえるようになります。
集め方は基本的に「福」の字をARスキャンします。
印刷されたものだけでなく、手書きのこんな字でも大丈夫です。
そうすると、このように「××福」というカードがもらえる時があるのです。
毎回、「××福」がもらえるわけでなく、ただの広告だったりするときもあります。
一日のうちに「福」の字をスキャンできる回数は上限があり、当日分を使い果たすと、その日はもう終わりで翌日に引き続きスキャンです。
他にもAlipayの中の他のサービスに参加すると「福」の字をもらえたりするため、福をスキャンするだけでなくAlipayのいろんなサービスに触れられるように設計されています。
そもそも、このARスキャンも商品検索の一つのツールであり、名前が分からない商品でも写真を撮るだけで、
販売している商品サイトのリンクが表示されるようになっており、まさにビッグデータとAIの活用事例です。
红包を5枚集めると書きましたが、累計5枚ではなく、5種類の福を集める必要があるため、そう簡単には完成しません。
愛国福
富強福
和諧福
友善福
敬業福
の5種類とも街中の公共広告でみかけるようなスローガンです。
持っているカードが下に表示されています。
この中で毎年、最後までなかなか出てこないのが「敬業福」
逆に「富強福」と「愛国福」は多くの人が、ダブってきてありがたみを感じなくなってきますが、決して街中のいたるところに貼られていることを風刺しているわけではないと思います。
1人1セットしか有効でないので、余っているカードは、持っていない友人に譲ることができます。締め切りが間近になるとWechatのモーメンツ上でも、
「誰か敬業福を持っている人、譲ってください!」
という書き込みを見かけるようになります。Wechatでしか繋がっていない人が多い中で、こうしてAlipayを通じての友人申請をさせることもAlipayとしては、リアルの友人関係が分かり貴重なビッグデータを取得することができますね。
Alipayもサービス開始当初は
「お年玉という餌で新規ユーザーを獲得しよう!」
という目的だったとおもうのですが、今では既存ユーザーに深く広くアリババの周辺機能やサービスをトライアルしてもらうことが主目的になっているのでしょう。
そしてお年玉企画に参加するユーザーが増えたことによって、広告収入もどんどん増えているはずです。
私は去年は締め切り直前に友人からもらった敬業福で何とか完成させたのですが、今年は早々に揃えることができました!
というのも、妻から「万能福」という特殊カードを譲ってもらったのです!
どの福にも変更することができるというトランプのジョーカーのような福の他に沾福気カードという自分の持っている福をコピーして他の人に譲れるカードもあります。
このように、より多くの人を巻き込みAlipayのサービスへの滞留時間を増やしていくというイベント設計。
そうやってかなりの時間を使い込んだ対価としてもらえる金額はというと2020年の一人当たりの平均金額は
1.6元(約26円)…
ネット上には2021年Alipayお年玉攻略法を紹介する書き込みが多数あり、広告効果は計り知れません。
見れば見るほど、よく考えられているイベントです…
Alipayの他にも百度、抖音(TikTok)、快手(ショート動画アプリ)、拼多多(EC)でも同じように新規ユーザー獲得、既存ユーザーのサービス使用時間増加のためのお年玉イベントが行われており、APPのアイコン自体がお年玉ように変わります。
亿は億の簡体字で、お年玉企画の総額を表しています。
iphone上のアプリを眺めていて電話のアイコンをみると、まだ受話器の形をしておりますが、自宅に固定電話がなくなってきた中国ではこの形を見てもピンとこない子供たちが増えております。
ましてや、黒電話のマークなんて何かのRPGの雑魚キャラと勘違いされてもおかしくありません。
デジタル通貨が完全に普及してしまった未来の中国では、红包という言葉もなぜそう呼ばれるのか分からない人が増えてきてしまうのでしょうね…
ちなみに「チコちゃんに叱られる」で知ったのですが「お年玉」は元々、お金でなく丸い鏡餅のことだったんですって。
今年の中国旧正月は帰省して親戚回りをするのは難しいです。
せめて妻側の親戚の子供達にはスマホから红包を送るのではなく、その子供たちの親経由で紅い包みに現金を入れて渡してもらおうと思います。
でも、私へのお年玉は丸い鏡餅や現金でなく簡単操作のWechatで大丈夫ですよ!
皆様からのお年玉がAlipayの金額を超えるのを楽しみにしています(笑)
旧暦で今年も最後までお読み頂きありがとうございます。
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