中カツ！通信352回 大型ECセール618。コスパとタイパ重視の裏で泣いたのは誰？

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こんにちは、中カツ！通信の野村です。

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コスパ、タイパを求める、

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中国の経済動向を示すとも言われる

EC 大型セールの1つである 618 が 

今年も開催されました。

 

ご存知の方も多いと思いますが

国内大手 EC プラットフォーム 京東の

創立記念日6月18日にちなんだセール。

今では各社便乗しており 

11月11日のダブルイレブンにつぐ

規模となっております。

 

もっと詳しく618を知りたい方は

以下の過去記事をご参照ください。

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第300回　冷めた618でもライブコマースは景気の燈火（ともしび）

第248号　低調なECセール618の結果から読み解ける中国経済とは？

第195号 　ECセール618はオオカミ少年と化したのか？

第143号　EC2大イベント「618」と「ライブコマース」と「失敗」

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私なりに、

 

今年の618の特徴をまとめると

 

「タイパ」（タイムパフォーマンス）と

 

「コスパ」（コストパフォーマンス）

 

まず、去年からの大きな変化として

 

「予約販売制がなくなりました」

 

昨年までの大型セールでは、

消費者はお気に入りの商品を

少額の手付金を払い予約し、

セールが始まったら残金を

決済するシステムでした。

 

この予約販売は販売側としては

事前に販売数を予測し

商品在庫を確保するのに便利でした。

 

しかし、今年の618セールでは、

在庫がある商品を即時に購入できる

「現貨開売」方式が採用されます。

 

これにより消費者は待つことなく、

購入できタイパがあがりました。

 

他にも、

运费险(配達費保険)導入店舗の

（強制？）拡大があります。

 

配達費保険とは、

消費者が購入後に商品を気に入らず

返品する際に負担する運送料を

保険でカバーする仕組みです。

 

消費者にとって、

返品時のコスト負担が軽減するため、

安心して購入（そして返品）できる

メリットがあります。

 

「買おうかな？どうしようかなぁ？」と

 

迷った時に

 

「まぁ、届いてから嫌であれば返品すればいいか」

と購入の背中を押す効果があります。

 

これにより消費者からすると

悩む時間が減りタイパが上がったと

言えますよね。

 

 

コスパに関しては

去年より顕著になった、

 

「低価格路線」

 

「百亿补贴」は、その名の通り

プラットフォームが特定の商品群に

補助金を提供するもの。

 

 

消費者はより安く買うことがで

せっかくたがらセールの時に

買おうと刺激されます。

 

またプラットフォームは

より価格競争力がある商品、

セール割引率が高い商品を

消費者の目につきやすくするため

商品にランキングをつけ、

トラフィック（訪問者）を

優先的に配分。

 

自社のプラットフォームが

コスパが良いことを今まで以上に

アピールしています。
 

以前のような

具体的なGMV（流通取引総額）の発表は

今年もないものの各プラットフォームが

発表した618の結果を見てみましょう。

京东（JD.com）:

• 取引額と注文数が過去最高！

• 5億ユーザー以上が注文

• ライブコマース注文数が前年比200%増。

• 83のブランドが10億元超の売上。

• 中小企業店舗の売上が50%以上増加。

天猫（Tmall）:

• 365ブランドが1億元超の売上。

• 36000ブランドの売上が倍増。

• 190万以上の中小企業の売上高が

  前年比100%以上増加。

• 88VIP会員数が65%増
  
  

 

拼多多（Pinduoduo）:

• 618当日にスマホ、生鮮、家電など

50カテゴリーの百億補助TOP 10を発表。

 

小红书（RED）:

• ライブコマース注文数が前年比5.4倍。

• 購入ユーザー数が5.2倍増。

 

各社を合わせたGMVについては

星图数据によると昨年をわれており

大手三社の合計でも同様の傾向


大手3社の伸びが鈍化する中で

各社とも中小企業の躍進を

成果として報告しています。

 

ただ全ての中小企業は売上が増え、

利益が増えたのかというと

もちろんそうではありません。

 

ネット上には中小企業の

「618セール期間中は逆に赤字」

だという情報も散見されます。

 

プラットフォームから

セール時の割引を要求され

粗利が少なくなっている状態で、

 

追い打ちは高い返品率。

 

あるアパレル店舗では、

返品率は通常時の30％から

倍近い60%に達し、

いつも以上に忙しい1か月を

過ごしたのに10万元以上の赤字。

 

先ほどの配達費保険でも書いたように

消費者は購入した後に気に入らなければ

送料負担せずに返品をすることができます。

 

商品が配達中にキャンセルされた場合

送料を負担するのは販売者側です。

 

また、よくあるのが、

1つのプラットフォーム内で

300元以上購入で50元割引など

一定金額の購入を必要とする割引。

 

このルールの場合、

まずは割引条件を満たす金額を消費し

その後に注文をキャンセルや

返品するという消費者もいます。

（結果的に金額条件に達せずとも

キャンセルした商品以外は

同割合の割引が適用される）

 

広告費をかけて売れたものが

返品され売り上げは入らず、

逆に費用だけがかかり赤字…

 

さらには消費者に返金だけして

商品は返品されないという

状況も増えてきました。

 

確かに商品代金が安く、

販売者側が送料負担すると

損が増える場合や、

 

返品を受けても

その商品が再販できない場合は

返金処理だけをして

返品をしてもらわない方が

金額的に合理的な場合もあります。

 

ただ、この制度を悪用する消費者もいます。

 

返品請求を出した後、

返金されたのに返品をしないのです。

 

現在EC プラットフォームでは

消費者の購買体験をより良くするため

返品要求があった時に、一定条件下で

先に返金処理をする場合があります。

 

プラットホームが返金した分は

後に販売者の売上げから引かれ

プラットフォームが

負担するわけではありません。

 

販売者としては消費者が

返品してくるのを待ち、

届かなければ催促します。

 

この催促行為も販売者にとっては

人件費がかかるため、

金額が小さければ

放置してしまうことも。

 

ただ泣き寝入りをすると

 

「あの店はゆるい」

 

と裏で情報が広まり

悪意を持った人に次々と狙われ

更に被害額が増えます。

 

セキュリティの弱いオフライン店舗が

万引きの常習犯に狙われるのと一緒ですね。

 

EC販売者の中には

短期的コスパ、タイパを度外視して

きっちり対抗するケースもあります。

【ケース1】
曾××氏は、

スマホ用バッテリーを購入後に

「耐久性がない」として返金を要求し

プラットフォームから返金を受けましたが、

商品を返品しませんでした。

 

販売者の吴さんは、

泉州市洛江区人民法院に訴え

曾××氏に200元を支払わさせました。

 

【ケース2】

何××氏は灰皿を購入後に、

ネット上のボコボコの洗面器の

写真を使って品質に問題があるとし

「返品なしの返金」を要求しました。

 

プラットフォームは機械的に判断し

8.5元を消費者に返金。

しかし販売者側は納得できず、

悪意ある行為として訴訟をし、

最終的に消費者に400元を賠償させました。

 

プラットホームとしては、

より多くの消費者を引き付けるため

消費者が心配になるリスクを減らす

ルールを強化していきます。

 

一方でそのコストを負担するのは

多くは販売者側になります。

 

「セールに参加しないのが

　コスパもタイパも一番だ」

 

と販売者が減ってしまっては

結局セール参加品も減り

売上にも影響します。

 

「コスパ」「タイパ」を上げるために

コストや時間を減らした結果

パフォーマンス自体が

それ以上に下がってしまっては

結果的に「コスパ」「タイパ」とも

下がってしまいます。
 

 

プラットフォームも

販売者も、消費者も笑顔になれるよう、

 

それぞれが、適切な「お金」と「時間」を

使っていく必要がありますね！
 

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 今回も、最後までお読み頂きありがとうございます。

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