中カツ!通信 第205回 中国芸能界のプロセスエコノミーに大激変?!
中国で勝つための、
ちょっと活力を得られる情報をお届け!
メルマガ無料登録URL
http://eepurl.com/c7GHF
□■□■□■□■□■□■□■□■□■
中カツ!通信 第205回 中国芸能界のプロセスエコノミーに大激変?!
こんにちは、中カツ!通信の野村です。
パラリンピックが始まりましたね。
オリンピックの開幕式の時は意味不明、陰気などの酷評が多かったので
中カツ!通信 第200号 開幕式は中国で、どう理解されたのか?
心配していたのですが、今回の開幕式は前回と違って中国でも好評だったようです。(国旗の縦横を間違えて揚げたのは、しっかり突っ込まれていました…)
特に「片翼の小さな飛行機」として主役だった和合由依さんの演技は多くの感動をよびました。
その中で、人民日報系のメディア「人民资讯」の記事は一歩踏み込んで
女の子と飛翔で宮崎駿の作品を思い出した。「魔女の宅急便」「風の谷のナウシカ」そして「ハウルの動く城」「千と千尋の神隠し」も主人公の女の子が様々な困難を乗り越えて成長していく。今回の「片翼の小さな飛行機」も観衆の潜在意識に共鳴を起こしたのではないか。
現在、人類はコロナとの戦いにおいて、自身の困難に向き合う障碍者と同じである。今ある差別と不公平も、ほとんどの障碍者が経験してきた苦難であろう。
「片翼の小さな飛行機」の恵まれていない人が逆風に向かって飛んでいく姿は自身の可能性を引き出し、勇敢に夢を追う精神を観衆に深く印象付けた。そして同時に、この長いコロナという逆境であっても不屈の精神で困難に打ち克とう
という内容が書かれていました。
「WE HAVE WINGS(我々には翼がある)」というよりタケコプター(ボランティアの方が頭に着けていた)のプロペラで「空を自由に飛びたいなぁ~」の方が気になってしまったという私の感想を代弁してくれている記事は残念ながら見つかりませんでした…
話を戻します。
「片翼の小さな飛行機」の感動って、人民资讯の記事にあったように成長過程のストーリーの共有があったからに他ならないと思います。
最近のベストセラーで「プロセスエコノミー」という著書があります。一言で説明してしまうと「最終的なアウトプットだけでなく、作品を作るまでのプロセス自体も公開することにより商品になる」ということなのですが、古くはモーニング娘そしてAKB、NiziUなど、そのプロセス自体が作品が発売される前からTV番組という商品として成り立っていましたよね。
このプロセスエコノミーは
「最終商品(アウトプット)から得られるメリットを消費するというより、プロセスに共感することで応援消費をするようになる」
という特徴があります。
中国の芸能界でも、ふんだんに使われており視聴者投票によるオーディション番組は次々と新シリーズがでて、スポンサー商品を買うと投票権を得られるという消費に結びつけて大量の牛乳が廃棄されるということが社会問題にもなったのは以前の中カツ!通信でも紹介しました。
中カツ!通信 第189号 牛乳27万本事件。マーケ成功事例から一転、訴訟リスク?
上記のように中国では饭圈経済(飯の読み方がfanで同音異義語)ファンエコノミーを芸能人・メディア・スポンサーの3者がタッグを組んで日本以上の盛り上がりを見せていたのですが、8月27日に熱々のご飯を一気に冷ます通知がでました。
(ファンエコノミーの無秩序な状況の規制の更なる強化についての通知)
は、全部で10項目があり
「芸能人のランキングの禁止」
「音楽などの作品のランキングに関しては”いいね”やコメントの影響度を低くし、有料会員は多くの投票権をもつなどを調整」
「SNS上のファンクラブの管理強化」
「異なるアイドルのファン同士が他のアイドルを攻撃するの禁止」
「未成年者の参画を厳しく管理し未成年者の投げ銭、応援消費を禁止」
など、どれも破壊的な威力を持つものばかり。
自分の推しメンを他のアイドルに負けないようにと競争心を煽るべくランキングを公表したり、SNSのファンコミュニティ内でたきつけたり、ファンが他のアイドルをSNS上で攻撃することにより、攻撃された方のファンも共通の敵ができて一致団結したりと小説以上の人間ドラマを繰り広げられていた仕組み自体を根本から崩す通知です。
中国ではスポンサーにタレントを売り込む時に、
「うちのタレントはファンがこれくらいいて、応援消費があるので、これくらいの売上は見込めますよ。だからCM出演料はこれくらいはください」
という交渉をするといわれるほどスポンサーの売上に明確に貢献します。
ただのイメージキャラクターではないのですね。
その影響力の源泉であるファンの応援活動、応援消費が制限されると芸能人の収入にも大きく響きますし、番組制作側としても頭が痛い問題だと思います。
中国のトップ芸能人の年収は驚くほど高く、ネット上での情報で出典が分からないものではありますが、
トップのジャッキー・チェンの年収は3.3億元(約56億円)!
芸能人や歌手としての収入だけでなく、様々な事業に投資をしている人もおります。
この巨額の報酬に対して、そもそも不公平、不平等を感じている人たちが一定数いることに加え、27日には人気女優であった鄭爽が7億円の脱税をしていて約51億円の罰金を命じられたというニュースが報道されました。
数年前には上記の表で2位にランクインしている范冰冰さんが約23億円を脱税し、約146億円の罰金支払いという事件がありましたが、それに次ぐインパクトです。
この鄭爽さんは脱税だけでなく米国での代理母を使った出産問題など既に多くの批判を受けて社会中から袋叩きにされている最中でしたので、もう復帰はかなり難しいと思います。
この鄭爽さんに対してだけでなく、昨今では脱税などお金関連以外にも人気男性アイドル、人気司会者の女性に対する性的暴行なども世間を騒がせており芸能界全般に対して社会から厳しい目が向けられている最中ですので、今回の通知だけでなく、次々とメスが入れられていきそうです。
また少林サッカーにも出演していた赵薇(ヴィッキー・チャオ)も、動画配信サービスにある出演作品のキャスト名から次々と削除されております。理由は明らかになっていないものの、過去の自身の服装や、彼女の事務所に所属しているタレントの日本での神社参拝など政治的に敏感な問題に触れてしまったと予想されています。
成長ストーリーという上昇のプロセスで共感が生まれファンの願望が投影されれば応援消費や投げ銭が入ってきたものの、一度その道を外して下降しだすと投げられるのは、「裏切られた」「元から悪い奴だと思っていた」という、まさに天国から地獄へ突き落すひどい罵声。
最近の中国の芸能界ではドラマ以上に衝撃的な展開が起きており、それはまだまだ続きそうです。
映画であればトップに上り詰めた時点でハッピーエンドで終わりそうですが、そういかないのは現実。
それとも罪を償った後に、どん底からの復活という次回作の成長ストーリーの序章になるのか?
このプロセスが中国のどんな芸能界エコノミーを作っていくのか興味はつきませんね。
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
*****************
【Wechatでも配信始めました!】
メールが迷惑メールに入る、
そもそも届かないという方、ぜひフォローお願いします!
第119回以降のログもご覧頂けます。
中活通信アカウント
野村個人Wechat ID
是非、ご登録ください。