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中カツ!通信

「中カツ!通信」は中華圏歴19年を超え、湖南省出身の妻と娘と上海で暮らす野村が「中国で勝ちたい人」のために、「日々ちょっと活力を得られる情報」を、お届けするブログです。

プロの偽物ハンターの衰退とプロ消費者の増加

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プロの偽物ハンターの衰退とプロ消費者の増加
皆さん、こんにちは。

先週、日本出張に行く際に
初めて仁川空港で
トランジットをしました。

シンガポールのチャンギ空港と
同様に評価が高いことは
聞いていたのですが
文化体験コーナーの中には
  
無料で伝統的な引き出し(?)
のミニチュア制作体験ができたり

IT体験コーナーでは

VRのレーシングゲームに加え

VRのハングライダーは、
上下左右に傾きながら、
下の扇風機から風も吹き出し
かなりリアルです。

他に小さいプラネタリウムもあります。

しかもこれら3つが全部無料で
体験できます。
 
他にもロボットがコーヒーを
作ってくれたり(クレジットカード使用可)と
 
30分程度であれば
十分に楽しめるので大変お薦めです。

さて本題に戻りますが、
前回、最近中国でよく見かけるスローガン
「掃黒除悪」について紹介しました。

中国で一番黒い職業は白衣の医者?管轄の役人が引責辞任

勢い余った江蘇省の小さな役場の
公務員が主観だらけで
「あくどい職業ランキング10」を
発表してしまったのですが、
その中に

线人(線人)
→監督部署に密告し
 罰金を山分けする人

というのがありました。

調べてみると確かに
密告の報奨制度はあり山東省では
黄賭毒(売春・賭博・麻薬)等の
犯罪情報の密告に対して、

賭博なら
犯罪現場で差し押さえた金額の5~20%
(最低報奨金100元)

刑事事件なら、

一回で捕まえた犯人の数が
・50人以上で3001~10000元
・100人以上なら5001~20000元

の報奨金がもらえるようです。
ただ1度に100人が逮捕されるような
密告をして2万元ですからね…

警察からの御礼金の額と
100人が警察から出所してきた後の
お礼参りとを比較すると経済的な
インセンティブだけで密告する人は
多くなさそうですね。

一方で経済的なインセンティブ
つまり職業として密告をする人達がいます。

职业打假人

直訳すると「職業偽物たたき人」ですが
プロの偽物ハンターという意味ですね。

ただ彼らはプロと言っても、
国家資格があるわけでもなく
公務員でもありません。

国の機関としては
市場監督局が存在しているのですが
彼ら偽物ハンターは、そこに密告したり
密告すると脅すことにより
生計を立てている人達になります。

ここでいう偽物は
以前紹介した返品ビジネスのような
ブランド品と偽っているショップを
対象にしたものとは違っています。

中国でBtoC商品の販売をしていれば
「商品ラベル、宣伝文句の重要性」
については聞かれたことがあると思います。

商品パッケージ、ラベル(成分表)などに
誇大広告や瑕疵があった場合に
プロ偽物ハンターが見つけると
メーカーに電話をしてきて

「市場監督局に通報されたくなかったら
 顧問料として50万元払え」

といった感じで交渉してきます。

その他にも、スーパーで
賞味期限切れの商品が棚に
置きっ放しになっているのをみつけ
それを承知で買った後に

「通報されたくなかったら
 1000元支払え」

といった交渉をしたりもします。

企業としては通報され
おおやけに知れ渡るのも
いやなので顧問料を支払って
しまうところも多かったようです。

それに付け入るように、
プロ偽物ハンターの中には
賞味期限切れのものや
ラベルが貼り付けられていないものを
自身でスーパーの中に持ち込んで
ゆすりたかりをするグループも
あるとのことで、正当な密告をする人とは
比べ物にならないほどたちが悪いです。

中国チェーン経営協会の
ラフな調査によると2014年7月からの
2年間で18社のチェーン店で

総計6022回、賠償金額2610万元と
4億円以上もの支払いがされていた。

内訳としては
1位 ラベル関連(55.78%)
2位 消費期限切れ(19.51%)
3位 異物発見(12.93%)
4位 商品品質(11.79%)
とのことです。

しかし、このような行き過ぎた
しかも個人的な制裁行為は
社会でも問題となり、
掃黒除悪の一環として
逆に偽物ハンターを抑制する通知が
上海市市場監督管理局から出されました。

2019年6月5日のこの文章では
たとえお店やメーカー側に問題があっても
常識を逸脱した額の損害賠償請求は
詐欺行為になる可能性があるとしております。

以前の青島の裁判所の意見では
損害額の3倍程度は認められるとありますので
5元のお菓子を買って
食べる前に(何も実害がなく)
瑕疵を発見し200倍の1000元要求というのは
許されなくなるということですね。

ただ輸入が認められていない
ワイン12本21600元分買って
10倍の216000元の賠償が
裁判で通った件もあるので
商品単価が高くないからといって
安心することはできません。

プロの偽物ハンター業界は
今後衰退していくと思われますが
携帯一つで何でも調べられる時代。

プロの消費者が今まで以上に
商品のラベルに目を光らせております。
そして彼らはSNSというメディアで
大きな拡散力をもっていて
一度、発覚すれば口止め料での
沈静化はほぼ不可能です。

実際に知人でも上海にて
そういったラベルやマニュアル表示を
専門に扱っていらっしゃる方も
いらっしゃいます。

美味しい甘いお菓子も、脇まであまく
瑕疵(かし)があると
取りかえしのつかない事態に
なりかねません。

串カツ!通信も
誤字脱字、誤用があれば
是非、ご指摘の程お願いいたします!

今回も最後まで
お読み頂きありがとうございます。
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