中カツ!通信 第201号 もう買わないで!と社長が懇願?!災害募金と爆買いの共通性
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こんにちは、中カツ!通信の野村です。
金メダル獲得数も1位(7月31日時点)となり中国でもオリンピックは盛上がりを見せています。
卓球男子の馬龍選手(32歳)はリオデジャネイロオリンピックに続くシングル、団体とも二連覇で中国の強さを見せつけました。
ただ男子、女子ともシングル決勝は中国人選手同士の戦いだったので中国人にとっては安心して観ていられたということなのか伊藤、水谷ペアが金メダルを取った混合ダブルスほどの愛国心の盛り上がりはなかったように感じます。
そしてオリンピック以外にも愛国心の高まりを感じさせる出来事がありました。
それは河南省を中心とした豪雨による災害。
1000年に一度の記録的な豪雨により約300万人が被災されています。
地下鉄の浸水により車内に閉じ込められた人の投稿動画も非常にショッキングなものでした。
最初は膝程度だった水位が、あっという間に胸の高さを超え、何とか上に逃げようと酸欠の暗闇の中で助けを待つ状態は想像するだけでも辛いです。
実際に鄭州の地下鉄では10名を超える方がお亡くなりになられました。心より、ご冥福をお祈り申し上げます。
一方有難,八方支援(どこかに災難があれば、各地から支援がある)
という言葉がある通り河南の一大事に対して、全国から支援金が次々と送られています。
テンセント、アリババ、バイトダンス、美団、DIDIなどは1億元の寄付をしたことを発表します。
また有名企業だけでなく多くの有名人も寄付をしています。
以下のサイトには募金をした361人の有名人というリストが載っております。
https://www.163.com/dy/article/GG9BQEEA0548D3B4.html
1位の辛巴は、有名なライブコマースのKOLです。
7位の周杰伦(Jay Chou)、8位の刘德华(Andy Lau)などは日本でもファンが多いですよね。
100万元が約1700円ですから、辛巴の2600万元だと約4.4億円、刘德华の300万元で約5100万円という巨額です。
能力(お金)がある人は社会的責任があるということは中国でも言われることですが、
「自分の募金額を公開するなんて、わざとらしいんじゃない?売名行為?」
と思われる方もいらっしゃると思います。
ただ現在のSNS社会において有名人の募金額はワイドショーのネタのように扱われている感もあり
「たいして売れていない〇〇が100万元も寄付したのに、あの有名人は30万元しか寄付していない」
「彼は何も発言しないのは寄付をしていないからに違いない」
といったコメントがSNS上で飛び交いますので有名人として募金額を公表してもしなくても注目とプレッシャーにさらされることになります。
大衆も広告的意図がないとは思っていません。ただ金額の多寡にまで意見するのは売名をするなら身分相応の広告費を払えということなのでしょうか?
中には芸能人は多額の募金をして当然といった同調圧力に負けて不正を行ってしまう人も。
ある歌手は1.8万元を寄付した画像を投稿し
ファンとのチャットグループ内には
「少なくて申し訳ない。額を画像加工して増やしたいくらいだけど…」
と書き込みました。
ところが、この投稿に書かれている番号を改めてサイト上で確認すると、実際は100元しか寄付していないことが発覚し、1.8万元という額は既に画像加工していたことを歌手本人が認めます。
もちろん批判をあび、参加中であったコンテスト番組からも退出せざる得なくなりました。(ちなみに発覚後に実際に1.8万元を募金しました)
一方で期待を超えた寄付額には支持が集まるという現象も。
鸿星尔克(ERKE)は自社が2020年度、2021年第一四半期も赤字という財務状況にも関わらず5000万元という巨額の寄付を行いました。
この行為に感銘をうけた消費者が鸿星尔克(ERKE)を支持しようとネットで呼びかけ爆買いが始まります
ところが鸿星尔克(ERKE)からは
「買わないで下さい!買った方もキャンセルしてください!」
との謝罪の動画が発表されます。
どういうことかというと、売れすぎてシステムはダウンし、多くの商品が倉庫からも在庫がなくなってしまったのです。
ライブコマースは、それまで1万人程度の視聴者だったのが22日には200万人が視聴し、次々と売切れていってしまいます。
なかには一人で15足も靴を買う人まであらわれ、ライバーが
「ありがとうございます。ただ理性的な消費をお願いします。本当に気に入って頂いた人だけ買ってください」
と呼びかけると消費者からは
「細かい説明は大丈夫だから購入リンクを早くあげて」
「(理性ではなく)野性消費だ」
「ERKEが今年も赤字だったら、それはここにいるみんなの責任だ」
といった、コメントが次々と寄せらせます。
23日23時からのライブコマースでは21万人が視聴し、2100万元と伸び率52倍、各プラットフォームで売切れが続出し、4つのライブコマースルームの合計は2.06億元を超えたとされています。
オフライン店舗でも500元の商品に対して1000元を出してお釣りを受け取らない消費者や、年会費を119年分2140年まで先払いする消費者など
オリンピック以上の熱狂的な行動を引き起こしています。
ERKE以外にも、
同じくアパレルメーカーの貴人鳥、
即席麺など食料品の白象
飲料メーカーの汇源
など消費者からみて身分不相応な多額の募金をした国内ブランドに指示が集まります。
ついには一部の地方自治体の旅行局から
ERKEと貴人鳥ブランドの服、ズボン、靴、くつ下、帽子、リストバンドを身に付けている人および白象インスタント麺を食べている人、汇源の果物ジュースを飲んでいる人は一部の観光地の入場券を無料にする。
といった発表もされるようになってきます。
河南のために企業が支援として募金をする。
その企業のために消費者が支援として購入をする。
その消費者のために公的機関が支援として観光地の割引をする。
この支援の連鎖は非常に興味深いですよね。
「ERKEの商品を買うお金お直接、河南に寄付すればいいんじゃない?」
という意見もありますが、ERKEや白象の支援は国産品のサポートであり愛国の行動表現なのでレベルが上がっているんだそうです…
それにERKEの商品を支援目的で買っている人は、既に河南にも直接募金していると思います。
今回のERKEの件は、商品購入とは単なる比較できる機能、効用をお金と交換する行為ではなく、自分にとっての意味のあることへの投票行動なんだということがよくわかる一例ですね。
オリンピック選手や芸能人を応援するために消費するのも同じく客観的には比較ができない自分にとっての意味を求めての行動です。
単なる比較できる機能上の差別化だけでなく、消費者にとってどのような「意味」を与えられているのかがより重要になってくる時代です。自社の商品・サービスが与えられる意味についても深く考えてみる必要がありますね。
皆さんにとって「中カツ!通信」は、どんな「意味」を感じることができますか?是非、教えて頂ければ幸いです!
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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