中カツ!通信 第203回 10年前の購入者に返金!小米の驚くべき発表とは
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こんにちは、中カツ!通信の野村です。
オリンピックが終わってしまい、あの感動の日々が懐かしく感じますね…
ただ人の心を動かすのはスポーツだけではありません!
映画、音楽、絵画、そして企業家の講演だって時に人々に感動を与えるものです。
今回、紹介したいのは8月11日の夜に行われた小米(xiaomi)の創始者である雷軍のスピーチ。
小米については、中カツ!通信でも何度も取り上げたことがあります
中カツ!通信 第184号 あの小米(xiaomi)が日本人に騙された?
中カツ!通信 第151号 TikTok、アリババ、小米創業者の最近の発言から思うこと
2020年の151号でとりあげた周年イベント。
今年は
“私の夢、私の選択”(我的梦想,我的选择)
というテーマで約3時間にわたって行われました。
今年もスピーチの中から野村が気になったことを取り上げていきます。
最初は過去の振り返りから。
2014年の世界インターネット会議において、司会者が3年目で既に中国首位を獲得していた小米に抱負を聞きます。
雷軍は
「5年から10年で世界一位を達成します!」
司会者は同じ会場の当時首位であったアップルの高級副総裁にマイクを向けます。
「It's easy to say, it's much more difficult to do.」
とのコメント、会場は爆笑がおき、とても居心地が悪かったが、それから7年がたった今年、
小米は「世界2位」(2021年Q2)にまで成長します!
1位のサムソン19%にシェアで2ポイント差と迫る2位。
成長率をみるとサムソンの15%に対して小米は83%
日本では感じにくいかもしれませんが、既に22か国ではスマホのシェア1位であり、ヨーロッパでも25%を超えるトップシェアです(2021年Q2)
もう世界1位も目前?!
とも見える状況ですが、雷軍は当面の目標は「安定的な2位」と、この時は7年前のようなビッグマウスは控えました。
それにしても10年ちょっとで世界2位というのは凄い快挙ですよね。
グラフだけを見ると常に順風満帆に見えますが、スピーチではこの後にここ数年の苦難について語られていきます。
1、上場について
①2018年のIPO時に初値が発行価格を下回る
2018年香港でのIPOに際して、アドバイザーが提案してきた価格の一番下限であった17香港ドルを発行価格としたのに、ついた値段はまさかの発行価格以下(破发)
夜の懇親会では、口惜しさとみじめさから思わず
「IPO時に株を購入した人のためにも、株価を発行時の倍にする!」
と発言。
②自社株購入
IPO後には株価は戻り24香港ドルまで上がっていったものの、2019年9月には米中貿易戦争の影響もあり8.28香港ドルまで下がりアナリストの中には4香港ドルまで下がると予測する人も。
いろいろな投資家から責められる中で、雷軍は
「自分が投資家だったら今、小米の株を買うだろうか?」
と考え、この外部環境の予測が非常に難しい中で
「最良の投資は、自分への投資」
と周りを説得し36億香港ドル分もの自社株を平均単価9.35香港ドルで購入します。
その後、上場してから2周年を迎えたころにやっと発行価格の17香港ドルに戻り、2021年1月4日にはとうとう発行価格の倍の34香港ドルまで上昇し、IPOの夜に宣言した約束を果たしたことになります。
2、ハイエンドへの道
今後、小米が偉大な会社になっていくためには低価格帯だけではなくハイエンド市場への進出も必要ということで4000元(約68,000円)もする小米10を発売した時の話。
200万台は売れてくれないと困るが、今までの価格帯を支持してくれた小米ファンが受け入れてくれるのか?と不安ながらも発売開始1分で2億元(約34億円)、今までで累計577万台が売れております。
3、米国国防総省のブラックリスト入り
2021年1月15日に米国国防総省のブラックリストに小米が入ったことが発表され株価は30%も暴落します。
この絶望的な状況に対して軍事関連産業に関わった覚えがない小米はアメリカ政府を相手に訴訟を起こします。
この無謀とも思えるチャレンジで法廷では、アメリカ政府の根拠が、小米が国有企業か軍隊に属する企業かどうかではなく、シャオミの年次報告書に記載されたわずか2件の情報にすぎなかったことが明らかになります。
1つは小米が中国工業情報化局の表彰を受けたこと。ただ、この表彰はアパレルメーカーの「七匹狼」や、調味料メーカーの「老干妈」も受けており、これだけで軍関連企業と認定されるのは無理がありますよね。アメリカも意外と適当なのかなぁ…
もう1つは小米の5G(第5世代移動通信)と人工知能(AI)に対する投資についてだったとのことで、これも浅すぎます。
結果、裁判所は3月12日、国防総省に対して指定の一時差し止めを命じ小米側の勝訴となります。
この3つを聞いただけでも、まさに漫画のストーリーのようで主人公(小米)の冒険に感情移入してしまいます。
この後も、いくつかストーリが続き、新たな目標として
「3年で世界一位!」
が打ち出されます。
ここまでのパートで感情移入しておりますので、
「よし!私も小米を応援してあげよう(小米商品を買おう!)」
と思ってしまいます。
そして、次のパートからは新たな商品が次々と紹介されていきます(笑)
本当によくできた構成ですね。
そして新商品は携帯だけではなく、更なる小米の可能性を感じさせるような
4足歩行の犬型ロボット「CyberDog」
なんて商品まで。
新商品の紹介も終わり、
「10年前に1999元で小米1のスマホを買ってくれた最初のユーザーに感謝します。あの時の売上3.7億元があったからこそ、世界500強企業や、世界2位の携帯会社になれました」
という発言があり、もうそろそろ終わりかなぁなんて思っていた頃、更に衝撃的な発表がありました。
「この最初のユーザー18.46万人に対してスマホ本体の代金1999元を返金します!」
「財務部からは上場企業として財務諸表に影響しませんか?マーケ部からは、この金額を広告に投入したほうが、もっと効果が出るのでは?
との意見がでましたが、当時の3.7億元は小米にとっての最初の水の一滴であり、最初の一筋の陽光だった。
ユーザーの支持がなかったら、今日の小米もない。
ユーザーの気持ちは、永遠に金銭で測れるものではない!
そして私たちは正式に 小米1の最初のロットの購入者18.67万人全員に1999元の红包をプレゼントすることを決定いたしました」
どうですか?
私は自分が小米1の最初のユーザーだったらと考えただけでゾクゾクしてきました。
コメント欄には1999元のクーポンをもらえる初期ユーザーだけでなく、多くの人から
「感動した」
「涙が出てきた」
という書き込みがありました。
https://mp.weixin.qq.com/s/Y8Qb11kfs0SXnwQLoLBAkg
昨年の雷軍のスピーチにあった、
中カツ!通信 第151号 TikTok、アリババ、小米創業者の最近の発言から思うこと
「优秀的公司赚取利润,伟大的公司赢得人心」
「優れた会社は利益を稼ぎ取る、偉大な会社は人の心を勝ち取る」
ということを実践し続けている小米は本当にすごいなぁと思います。
一般的に安さが売り(コスパがいい)商品ほど、ファンが少ないと言われる中、小米は店員以上に周囲に売込みをしているファンが多いです(笑)
前々回の中カツ!通信で
中カツ!通信 第201号 もう買わないで!と社長が懇願?!災害募金と爆買いの共通性
商品購入とは単なる比較できる機能、効用をお金と交換する行為ではなく、自分にとっての意味のあることへの投票行動
と書きました。
ファンは小米の成長をみて、自分と重ね合わせて「もっと頑張らければ!」と思っているのかもしれないですね。
「優れた会社は利益を稼ぎ取る、偉大な会社は人の心を勝ち取る」
というものの、利益が稼げなければ、心をつかみ続けることはできませんので決して2者択一のものではありません。
そういう意味では
「人の心(ファン)を勝ち取ることが出来なければ、利益を稼ぎ続けることはできない」
とも言い換えられますね。(特にBtoC)
芸能人やスポーツ選手だけでなく企業、そして企業で働く私達もファンを増やしていきましょう!
ただ表面的に小米の真似をして
「あの時のユーザーに商品代金を返金しよう!」
という企画をしても普段の信用が足りないと
「今になって品質不良が発覚か?あの商品、大丈夫か?」
なんて疑われてしまう可能性もありますので気を付けてくださいね(笑)
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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