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中カツ!通信

「中カツ!通信」は中華圏歴19年を超え、湖南省出身の妻と娘と上海で暮らす野村が「中国で勝ちたい人」のために、「日々ちょっと活力を得られる情報」を、お届けするブログです。

第104回 上海FASHION WEEKからみる中国のオシャレ市場の行方

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第104回 上海FASHION WEEKからみる中国のオシャレ市場の行方

みなさん、こんにちは。

日々、変化していると言われる中国。

目に見える変化だけ取り上げても、次々と建設される高層ビル、いつの間にか爆発的に増えたシェアサイクルや監視カメラなど挙げればきりがないですね。

そして久しぶりに中国に来た人からよく言われるのが

「中国もオシャレになったよね~」

ということ。

女性が多いオシャレなカフェをみていると、東京も上海も見分けがつかないし、日本に来ている中国人旅行客も特に女性は言葉を話すまで日本人かと思っていたという事もよく聞きます。

そんな中国オシャレの発信源の一つである、上海FASHION WEEKについて毎日着てしまうくらい服が好きな、私が紹介していきます!

上海FASHION WEEKの中でも10月14日まで上海マートで開催されているMODEという展示会に日曜に行ってみました。

入り口からそのオシャレ?なたたずまいと、ユニクロでは売っていなさそうな服を着ている女性の多さに自分が場違いな感じがして、入る前から少し挫けそうになります。
  


上海マートでの展示会は何度も来たことがありますが、他の展示会とかなりイメージが違います。

今まで参加した食品や養老介護産業の展示会との違いに、上京したての学生のようにキョロキョロしながら知り合いの方が出展しているコーナーをさがします。

会場のあちこちで来場者がポーズをきめて写真を撮っているわけで、これも養老介護の展示会では、なかなかお目にかかれない光景です。

私もせっかく来たのだから何か写真を撮らなければと使命感を感じるものの、近くで無許可で撮影したり、女性の方に声をかけるのも気が引けるわけでして…

やっとのことで私が撮りたい被写体から許可を得ることができました。



オシャレなだけでなく、動きやすく、涼しいパンツを着こなしているのに意外とシャイボーイです。


 オシャレの構成要素には大衆からの差別化も含まれていると思うのですが、誰も着てない服装であれば何でも良いわけでなく、「それは良い方向への差別化だよね」と認めてくれるグループが必要なわけです。

そういう意味で裸の王様は、ある意味究極のオシャレですよね。

何も着ていないのに、差別化を認めさせるなんて(笑)全員に分かってしまったら、それはオシャレでなくなってしまうので、子供が「服を着ていない」と指摘しても、

「だから、なんだ?着ていないことも含めてオシャレじゃん~」

と言うファッションリーダーがいてもおかしくありません。


ダイヤモンドの記事の中でユニクロの柳井さんが

ユニクロの『LifeWear』というコンセプトは今、世界のファッションの最先端にあると思っています

「『LifeWear』の価値観が今、世界中に支持を得ている背景には、過去の常識だった資源大量消費型の社会に対する人々の疑問と漠然とした不安感があります。アパレルの領域でも使い捨ての服に対する問題意識が生まれ、シンプルかつ高品質で、機能性に優れた、日常生活のための服が求められていると思います」

と発言しております。

ファッションは見た目の差別化だけではなくなってきているということなのですかね?それにしても、気がつけば私も「世界のファッションの最先端」の仲間入りをしていたようです(笑)

今回のMODEには多くの中国企業に混ざり日本からも商品を展示されている企業が数十社ございました。

 実は世界のラグジュアリーブランドの売上における中国人消費が占める割合は約3分の1に達します。しかし、その殆どは海外での購入で中国大陸内での消費は25%だと言われております。

 日本にとっても中国人はとても大事なお客様でして某百貨店の婦人服では売上の40%が訪日インバウンドのお客様とのことです。

ただ関税率の緩和等で今後はこれらのラグジュアリーブランドも中国国内での消費率が半分近くまでは上がってくるという予測もあり、アパレル業界としても日本に来て買いに来てくれる商品を、どうやって中国で買ってもらうかは売上を伸ばすための大事な要素です。

中国自体のデザイン力、生産品質もどんどん向上しておりますのでMADE IN JAPANというだけで売れる時代は終わっており差別化の要素がなければ売れないのは日本と同じです。

今回、ご出展されている企業の中には照手株式会社のように畳のふちを使って作った色合いも可愛い小物入れなどデザイン、素材に特徴があるものから


株式会社ディープサンクスのモバイルバッテリーと繋げて、実際に発熱をするベストなど機能の差別化がされているものもありました。



この差別化の方向について、MODEの会場で配られていた雑誌にも示唆がありました。中国ファッション関係の人への様々なインタビューの中に以下のようなやり取りがありました。

記者:小売環境が変化する中で、今後はどのようなタイプの服やブランドが流行りそうですか?

HCH創始者 胡春晖:
今後は皆誰もが爆買いするような服が出てくることはないと思う。今のお客は個性の表現とスタイルの自由さを求めている。皆が同じ店の美味しいコーヒーを飲みたいとは思うかもしれないが、かっこいい同じ服をみんなで一緒に着たいとは思わない。大衆のトレンドにあわせすぎない、オリジナルデザインをもつブランドだけが、より多くの人気を得られると思う。

いやぁ、ビジネスとしてはより多くの人に同じ服を着てほしいわけですが、それを目指した時点で売れなくなってしまうと言うのはファッションは本当に難しいですね。確かに中国で人民服を超える爆発ヒット商品は出てこないと思います。

共産主義で皆が同じデザインの服を着ていた国が、今では自己の個別化を表現する手段としてファッションの最大の消費国であるというのは面白いですね。

「中国人に買ってもらう」ではなく、
「○○な中国人に買ってもらう」というように差別化したい消費者心理を今まで以上に考えていく必要がありますね。

今回も最後までお読み頂きありがとうございます。

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