第155回 新コロナ大打撃!旅行業界の真相をトップが語る
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第155回 新コロナ大打撃!旅行業界の真相をトップが語る
こんにちは。中カツ!通信の野村です。
中国でも通常より短い夏休みが終わり、新学期が始まりました。上海の日本人学校も中等部は9月2日から登校が始まったようです。
ところが今回のコロナの影響で外国人へのビザの発給条件が厳しくなったことから戻れていない学生や保護者も多く、クラスメートが激減、これを機に単身赴任になる家族も増え、春節休み前がお別れの挨拶になってしまったという子供達も増えそうです。
そもそも子供だけでなく、中国で仕事をしているお父さん自体が戻れていない状況が続いています。
上海日本商工倶楽部ではチャーター便の第二弾を9月30日に飛ばすという朗報がありましたが、すでに満席になったとのこと
【上海商工倶楽部HP:成田→浦東のチャーター便(第2便)の運航について】
https://www.jpcic-sh.org/news/article/newsid/3108
このように国を跨いだ移動が大きく制限される中で大きく打撃を受けているのが旅行会社。
7月26日の中カツ!通信でも紹介した
中カツ!通信 第148号 中国のGoToキャンペーンは成功しているのか?
は日本同様に国内旅行を促進するもの。
中国に進出している日系旅行会社は、
・日本から中国への旅行や出張といったインバウンド
・中国から日本への旅行や出張といったアウトバウンド
と海外を絡めたビジネスがメインなので中国国内旅行促進策の恩恵を十分に享受することはできません。
打つ手が限られている中で普段はライバルの上海の日系旅行会社3社も、一緒に上海滞在者向けに上海内旅行を販売するという奇跡のコラボも行われました。
7月16日に中国国内で省を超えた旅行が許可されたとはいえ海外渡航の厚い壁は閉ざされたまま。
そのような状況を突破するためにどんなチャレンジをされているのか、友人でありHISの中国全土を統括する安達総経理のお話を紹介させて頂きたいと思います。
野村:改めて御社の中国の事業について簡単に教えてください。
安達さん:
現在、中国に5拠点を展開しております。
日本のHISを通じた中国旅行、ビジネストリップ等の飛行機チケット、ホテル、ツアーの手配をしたり、中国のお客様が日本に行かれる時にはチケット、ホテルだけでなく様々な日本現地のツアーを案内しております。
HISは総じて個人向けビジネスが強いですが、近年は中国現地の日系企業むけ社員旅行や出張手配にも力を入れています。
旅行業以外にも日本自治体の中国におけるPR支援を行っております。例えば、グループ企業ハウステンボスのご縁で佐世保市の中国国内でのSNS運営代行などです。
野村:新コロナの影響と行政からの補助はどのような状況でしたか?
安達さん:
新コロナの影響はとても大きいです。中国でもステイホームの期間が続きましたし、その後も7月中旬まで省を跨ぐ旅行商品の販売は許可されず少なくない旅行社が事業撤退をしました。その中には日系企業も含まれます。
新コロナ発生当初は既に購入されたお客様のキャンセル処理などが忙しかったのですが、その後は従業員は週2日の出勤で我慢してもらう日々が続き全員がほぼ毎日出勤をするようになったのは8月に入ってからになります。
中国だけでなくHISグループ全世界の拠点259か所と日本国内の240拠点がほぼステイホームの状態でしたし…
野村:そのような状況下で「がんばろう上海!!」プロジェクトについて取り組まれたのは、どういう意図があったのでしょうか?
安達さん:
「がんばろう上海!!」プロジェクトは実は非営利事業なのです。
上海日本領事館に後援していただき、上海在住の在留邦人を対象として上海市内の隠れた観光スポットを訪れる企画で、上海市文化和旅遊局の特別支援により、3社合同で3週連続で実施されました。営利事業では領事館に後援いただくのは難しかったと思います。
我々、旅行社としても苦しい立場ではあるのですが、上海に残って自粛している日本人の中には家族に会えず、旅行にも行けずストレスを溜めてらっしゃるかたも多くおりました。
互いに苦しい時こそ、旅行の力で日本人を元気にしよう!という理念があったからこそ、普段はライバルの3社が結束できたのだと思います。
6月中旬に広告を出してお陰様で全3回とも、たくさんのお客様にご参加頂きました。
野村:今後の旅行マーケットの回復の見込みはいかがですか?
安達さん:
家族が戻ってこられない日本人駐在員の方の一人旅行、少人数旅行などはニーズが増えています。今年の国慶節は皆さん日本に帰れないので、ここ数日で国内旅行のお申し込みが増えております。
ただ例年ですと海外(主に日本)行きの社員旅行の受注が増えていく季節なのですが、今年は海外に行けないので国内旅行になったり、企業業績の悪化を受けて予算削減から旅行日程が減る可能性が高いです。
中国人が訪日する際のビザ発行窓口業務も行っていたのですが、日本も新コロナが収まっていない状態ですので、こちらも回復には時間がかかりそうです。
野村:なるほど…このような状況で、どのような打開策を取られていますか?
安達さん:
1つは今後、海外との往来が復活した時のための準備の活動です。主には日本の観光地の情報発信になります。
Wechat、微博でそれぞれ約1万人のフォロワーがおり、「日本好き」の方が多いです。日本と中国を行き来できるようになったら「すぐに日本に行きたい!」という声もたくさん寄せられています。
またオフィスでもパンフレットだけでなく各地のゆるキャラや特産品を並べて、日本を感じてもらえるよう工夫しております。
他にも上海の企業様とコラボし様々な活動を行っております。
上海の有名な中国語教室 早文舎 さんとコラボで、中国国内旅行のアドバイスと旅行中必要になる中国語の授業をおこなったり
上海の高島屋さんと ちびまる子ちゃんのコラボイベントをおこなったりしています。
(顔が一番小さいのが安達さん)
もう1つは旅行以外の売上を作るための取り組みでして
「日本商品の物販」をオフラインとオンラインで
行っています。
最初はMade in Japanのものだけを販売していたのですが、今は日本に関係するものまで範囲を広げて販売しています。
(HISの公式Wechat内のショップへのリンクがある記事)
https://mp.weixin.qq.com/s/Q6kN6QYtZMi1eLELKMEeoA
オフライン(HISオフィス内)では地域の特色があるものが多いですが、
オンラインでは幅広い商品を販売しております。
他にも
野村:オンラインは予想以上にかなり幅広いですね(笑)でも御社独自の商品ではないなか売上は如何でしょうか?
安達さん:
確かに全ECで一番安いという価格競争力はないのですが、2か月で訪問者が1万人、1500人以上が購入して頂けました。
日本の大手企業が日本製品だけを販売しているのだから偽物はないだろうという安心感と、弊社のフォロワーからの応援のメッセージも込められた消費なのではと理解しています。
物販以外にもリモート出張のサービスを全世界的に開始しました。
https://www.his-j.com/corp/contents/rentalhis/
出張で中国に来たくても来れないという人が続出しており日本の約1万社の会員企業様から日本の支店を通じて様々なオーダーが来ています。
中国では既に再開されている展示会の会場をライブ放送する企画も行ったのですが予想以上に多くの方に観て頂けました。
野村:物販にしろ展示会のライブ放送にしろ、旅行業本業と離れたところで次々とスピーディーに企画実行されるのは凄いですね。そのパワーはどこから来るのですか?
安達さん:
前提として「中国人マーケットはチャンスしかない」という信念があります。苦境の中で自分が落ち込んでしまっていたら、会社の仲間も影響を受けてしまいます。
自分自身では苦境の中だからこそ
新しいチャレンジを
”面白いと思ってやるしかない”
”勉強と思って楽しんでやるしかない”
と決めたらアイデアはどんどん出てくるようになりました。
自分が言い出しっぺになってアイデアを出して、メンバーを巻き込み、スケジュール管理をしていった結果、7割近くは実行されています。
地理的には離れている中国各拠点の間で、今回の危機を経て一枚岩になれたのでオンライン物販の素早い立ち上げと一定の成果が残せたのだと感じています。
今年は上海拠点の移転10周年ということもあり、今後もいろいろな新しい企画を中国全拠点が一丸となって出していく予定です。
野村:ついつい「新コロナの影響で…」と思考と行動がストップしそうな時があるので、本当に勇気づけれらます。最後に今後の訪日旅行業は、どうなっていくのか安達さんのお考えをお聞かせ頂けますか?
安達さん:
まず大前提として旅行自体は絶対になくならないと思います。
多くの中国人の方が既に日本の各地に行かれていますが、旅行の目的は観光地や食べ物だけではありませんし、リピート率も高く行ったことがあるところには行かないということもありません。
好きなアーティストのライブを生で見るために日本にいく中国人も増えてきていますし、逆に日本のアーティストが上海ツアーをする際にファンの方が来られるということもありました。
日本のコンサートでは遠くでしか見られない憧れのアーティストが海外では相対的に会場が小さくなり、近くで見られるということで100名限定の旅行ツアーがすぐに売切れました。
有名な観光地の写真を撮りに行くための旅行ではなく、貴重な体験やエンターテイメントのための旅行が中国からもどんどん増えていくと思います。
富士山登頂ツアーとか、HISだからこそできる貴重なライブチケット付きツアーなど特色のある旅行を提供していきたいと思います。
コロナ後にはたくさんの中国人が日本に行っていただき、逆にたくさんの日本人に中国にきていただきたいと思います。日本と中国の間で旅行業に携わる人間として、日中両国の相互交流、相互理解の一助になれればと思っています。
野村:私も、日中に関わる人間の一人として旅行をきっかけとした相互理解は是非、加速して欲しいと思います。本日は貴重なお話ありがとうございます!
【インタビュー後の感想】
ご覧の通り安達さんは爽やかイケメンで笑顔が絶えません。
この新コロナの発生から今まで、もちろんプレッシャーとストレスがないわけがありません。自分が同じ立場だったらと想像するだけ胃が痛くなってきます。
逆境にこそ人(企業)の真価が問われるとは古今東西いわれる言葉です。
折れずに新しいことにチャレンジし続けるリーダーがいてこそ、組織のメンバーもついてくるのだと思います。
「旅はどこへ行くかでなく、誰と行くかが大事」
企業活動も旅行と同じかもしれませんね。
まだ新コロナの影響は続き、悲観的な予測も収束しません。
逆風に負けず、各自が仲間と前進していった先に辿り着いたところこそが、行きたかったところへの旅なのだと信じ、楽しむしかない!
頑張ろう上海!!
頑張ろう日中!!
頑張ろう世界!!
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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