中カツ!通信 第189号 牛乳27万本事件。マーケ成功事例から一転、訴訟リスク?
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こんにちは中カツ!通信の野村です。
あなたが今「推し」ているものはありますか?
アーティスト?
アイドル?
特定の会社?
この「推し」という言葉。私も、ピンときていなかったのでネットで定義を調べてみました。
goo辞書によると
「他の人にすすめること。また俗に、人にすすめたいほど気に入っている人や物。「推しの主演ドラマ」
[補説]アイドルグループの中で最も応援しているメンバーを意味する語「推しメン」が流行したことから、多く、アイドルや俳優などについていう。」
(https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%8E%A8%E3%81%97/)
ファンという言葉に近いのでしょうが、AKBが流行した時に
「私の推しメンは〇〇ちゃん」
という用法が一般的にも使われるように広まったそうです。
そして「推しメン」のための行為として世間の注目をあつめたのがAKBの投票券を得るためのCD大量購入。
AKBの総選挙にチャイナマネー(中国のファンからの投票)が流れ込んで指原莉乃が一位になったなんていうニュースもありました。
マーケティングの成功事例として取り上げられる一方で社会問題としても注目を集めました。
大量のCDを購入したとして中身は同じですので、1人のファンが購入後に投票券だけ抜き取りCDを、ゴミ捨て場に大量に捨てたり、不法投棄されるということまでありました。
「捨てたり、ましてや不法投棄するくらいなら、リサイクルショップに売るなり、友人にあげればよいのに」
と思ったのですが、こういった投票券用のCDは大量に持ち込まれても売れないためリサイクルショップでも持ち込み枚数制限をしたり、そもそも無料であっても引き取りを拒否する店が多いため、捨てざる得ないらしいです…
今週、中国でもファンが買いすぎて捨てられていたことが話題になりました。
今のデジタル配信が普及した世の中で大量に捨てられていたものとは何でしょうか?
CD?
ビックリマンチョコ?
答えは牛乳です!
きっかけは中国の青春有你というアイドルオーディション番組です。
韓国の「PRODUCE 101」から版権を買い、100名を超えるデビュー候補生が半年近くもの時間をかけてトレーニングを積み、視聴者投票で最終的なデビューするグループメンバーを選ぶという内容です。
このような視聴者投票自体は珍しいものではないのですが、なぜ今回は大きな問題となったのでしょうか?
それは27万本もの牛乳が下水道に流し捨てられている動画が流出したからです。
投票が番組スポンサーである蒙牛の牛乳のフタの裏についているコードを読み取るという方式であったためファンの中にはアルバイトを雇って牛乳のフタを集めて、残りの牛乳を処理(捨てる)ということを行いました。
1本の容量が230mlで27万本ですから100%牛乳風呂が300回以上入れる計算です(※お風呂の容量は200リットルと仮定)
その昔、日本でもビックリマンチョコがシール目的で大量に買われていた時にもチョコは食べずに捨てるということが問題になりました。
その時は我が家の冷凍庫にもシールだけ抜き取ったビックリマンチョコが保存されていたものです。
ただフタを開けてしまった牛乳となると保存も効きませんし、開けてある牛乳を誰かに譲るというのも衛生的にも心理的にも難しいため、このように捨てるしかなかったんでしょうね…
もちろん、「推し」てない普通の人からみたら異常に映るこの行動に対して批判が殺到します。
「食物を無駄にするなんてありえない」
「資本主義の原罪を象徴する出来事だ」
問題視したのは世論だけではありません。事態を重く受け止めた所轄機関である北京市広播電視局は番組を放映していた動画プラットフォーム「爱奇艺」に対して番組のシーズン3の制作の停止を指示しました。
番組の停止だけに留まらず法的責任を問うべきだという世論もあります。中国では4月29日に通過したばかりの反食品浪費法があります。
以前にも動画投稿サイトで大食い王のような番組が、食べ物の無駄な消費を誘発していると投稿が制限されたように、中国では食物の浪費については規制を強めてきております。
そういった状況の中での牛乳27万本を下水道に直接捨てるというのは決して水に流せない事件となりました。
番組スポンサーであり、牛乳メーカーである蒙牛も微博(Weibo)にて社会に不良な影響を与えたと謝罪文を発表しております。
今回は食品だったので浪費の問題がクローズアップされていますが
、その根源的な部分は「推しメン」に対しての客観的には不合理に見える過剰なまでの献身ぶりにあるのは間違いありません。
過去には若者がお気に入りのインフルエンサーを応援するために親の金を盗んでまで投げ銭をしたり、30代の既婚男性が930万元も会社の金を横領し投げ銭をした後に自殺未遂をおこなったりという事件も起きています。
最初は外見、歌、ダンスなど作品・コンテンツの消費をきっかけに好きになり、どんどん観ていくうちに、コンテンツを生み出す人物自体を恋愛対象として何かの見返り(認知、交流、あわよくば…)を求めての、まだ合理的と言える投資(出費)から始まるケースが多いのだと思います。
ただ、いろいろな「推し」ている人のコメントを読んでいると、
「私の推しメンが、ランキングで低いという悲しい(恥ずかしい)思いをしないように、私が頑張らなければいけない」
「推しメンの良さを、もっと世の中に知ってほしい」
など利己的というよりは、母性の保護本能にも似た見返りを求めない境地を感じます。
そして、その利己的とも利他的ともつかない自分の行動に使命感とアイデンティを感じて非合理的なことも試練と受け止めて更に突き進んでいくというケースが多々あるようです。
まさに宗教ですね…
実際に自分の推しメンを他の人に紹介することを布教活動、頑張ってグッズを購入することをお布施とも言うそうです。
彼氏や彼女、結婚して子供までいるような状態でも、のめり込む人が少なくないのは、短期的な見返りではなく、手の届かない長期的な目的に向かって日々、精進している感覚に満足を感じるのかもしれませんね。
サピエンス全史で有名なユヴァル・ノア・ハラリは
「フィクション(虚構)を信じる力”こそが、人類が繁栄した鍵だ」
と指摘しました。
そして現在の企業の繁栄も如何に自社のストーリーを数多くの消費者に信じさせるかにかかっています。
熱狂的な支持者が多いと言われるアップルだけでなく、中国企業でも小米、NIOなどは熱狂的なファンを抱えるブランドがあります。
以前の信者の獲得ならび育成方法は
「商品を購入してくれたら、こんなメリットや、あんなメリットをあげますよ!」
というGive&Giveが大前提。
今は、提供側が最初のGiveは与えるものの、
「あなたが受け取ったメリット以上に、あなた自身がGive(貢献、布教)させるチャンスをあげますよ」
という参画型に徐々に変わりつつあるのかもしれませんね。
テクノロジーの発展のおかげで
・情報取得(理解)、
・情報交換(同教徒への帰属)
・発信(布教)、
・送金(布施)
が、主体的に低コストで行えるようになった今だからこそ、自分の心のスキマを埋める「推し」を持ちやすくなったし、「推し」ていることに自分の生きがいを感じようとする人が増えているのだと思います。
私も現在、「推し」が二人います。
若く、可愛いく、しかも毎日会いに行けるアイドルということで、すっかりメロメロです。
毎日のようにしつこく、プレゼントや食べ物をおねだりされますが(笑)、嫌になることはなく、二人にもっと貢げるように頑張って働こうとさえ思います。
この中カツ!通信も長女が生まれた後に、改めて日中友好のために自分なりにできることをというのが始めた理由の一つです。
やっぱり自分の行動を変えられるほどのフィクション(ビジョン)って大事ですよね。
皆さんは、何を「推し」ていますか?
「”推し”がないんだよなぁ…でも、体験してみたいなぁ」
という悩めるあなた!まずは中カツ!通信の「推し」から始めてみたら如何でしょうか?(笑)
過度な短期的な見返りを期待せず、長期の日中友好のために力になりたいという人は一緒にフィクション(虚構)を現実に近づけていきましょう!
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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