第106回 毒を使えば、もう偽物に騙されない?スニーカー10万円越えで偽物健在。
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みなさん、こんにちは。
さる10月23日にダイキンさんの上海オフィスにて無事に中カツ勉強会が開催されました。
中々、普段は聞けない野望と実践の話をお伺いした後には、密室でビール片手に皆で風を感じたり、気になる指についてディスカッションしたりと私自身とても活きた学びの機会となりました。ご協力頂いたダイキンの田中部長、改めて深く御礼申上げます。2ヶ月に1度を目処に開催していく予定ですので、今回ご予定があわなかった方、次回はぜひご参加下さい。
今年もW11の季節になってきました。既にオンライン上、オフライン上でもキャンペーンの告知合戦が始まってきており、今ではクリスマスさながらに街頭で季節を感じられるイベントになってきております。
我が家でもオムツなど日用必需品を、どのプラットフォームで買うべきかの研究が始まっており、「1人何点まで!」という限定商品においては私のIDまで借り出されるのが恒例です。
このように、ある同一商品の最安値を捜しているのですが、必ずしも一番安いものを購入するわけではありません。
同一の商品ですので、高いものも安いものも品質は同じはず…
そう、偽物ですね。
以前は中国で偽物というと、偽札、偽の卒業証明書、偽のお酒、偽のブランド品など数え切れないほどありました。
紙幣は額面が最も大きい100元札(約1670円)だけでなく1元札(約16.7円)の偽札というリスク対収益のバランスが悪いものまでありました。最近ではキャッシュレスが進み、偽札どころか最近登場した新しい紙幣ですら、まだ2回しか見かけていないという状況で偽札市場は大幅な縮小傾向でしょう。
そういった中で、今でも健在なのが偽のブランド品。既に複雑な産業化しております。昔のようにコソコソと作って、外国人が行きそうな観光地でコソコソと売るというだけではありません。
もっとグローバルな演出です。
例えばソーシャルバイヤーのKOLがフランスに行ってシャネルの商品が陳列されているアウトレットのお店に入ります。携帯でライブコマースをし商品を説明しながら、ライブコマースの先のお客さんの要望に沿って、その場で外国人の店員にユーロの現金を払ってシャネルのカバンを買います。もちろんレシートも受取ります。そして「じゃあ、帰国したら買ってくれた、みんなに発送するからね~」と番組が終わる。
これは日本の薬局や百貨店でも時折見かける光景で、消費者からすればリアルタイムに指定したものを買ってもらえるので本物であると信用しやすいですよね。
実は、この上記の全てが中国国内のスタジオで行われていたりします(笑)
今では偽物を売るには商品を精巧に作り、タグやラッピングなどを精巧に作るだけではなく、売り場の棚も作り、店員を演じるフランス人も用意するわけです!
さすがにドラッグストアで販売されている価格帯の商品であれば、粗利が少ないので、ここまでの演出費用は出せないかもしれませんが、何十万円~もするカバンが数十個も売れるなら元は取れますね。
商品自体も非常に精工に作られているので、素人では見分けるのは難しいとのことです。そこで鑑定をする専門家が必要とされるわけです。
実際に中古品(新古品)を扱うECのプラットフォームでは、この偽物対策にプラットフォームとして鑑定のサービスを提供しております。
「转转(転転)」
携帯電話につよい中古品プラットフォーム
では、黄色く囲ったところに
验机(検機)、鉴别(鑑別)
とあるように売り出された商品をプラットフォームが真贋や使用状況(中古ランク)を判定してくれます。携帯にいたっては既に約3960万台の鑑定実績があります。
「閑魚」
アリババ系の中古品オールラウンド+α
売買プラットフォーム
では、一部の商品に対する鑑定サービスの他に有名な芝麻信用(セサミクレジット)という個人の信用スコアでユーザーの信用度を可視化し偽物業者でないことを保証しようとしております。
このようなデジタル家電、ラグジュアリーブランドの偽物鑑定だけではなく、スニーカー等のストリートファッションについても鑑定付売買プラットフォームが普及してきています。
その名も
「毒App」
ネーミングのインパクトが強すぎる…
よく、こんな商標通りましたね。
「偽物という社会の毒を撲滅していこう!」
なんて使命感溢れる由来かと想像していたのですが、そんなヤボなネーミングではなく、何かにのめり込む、ハマルの意味での「中毒」から来ているようです。
スニーカーは全世界的にブームですが中国も例外ではなく、限定品が販売されるとなれば愛好者から転売目的で人を雇って並ばせる人から長蛇の列ができます。
購入後に転売される場合は、定価の数倍から十倍になることも多いです。
今、取引されている商品を少し見てみてると、
Travis Scott X Air Jordan6
で5679元(約9.5万円)と表示されており既に11827人が支払い済みと表示されています。この時点で既に最初の市場価格から4倍近いのですが、
実際に、この30分以内で5足は売れているようです。ただ値段が5679元で売れたのは一つもなく、かつバラバラなのにお気づきでしょうか?
そうです!
5679元というのは最低の価格であって、サイズによって値段がバラバラなのですね。サイズの需給バランスによって値段がかわりますし、タイミングによっても値段がどんどん変わっていきます。足のサイズが30cmを超えている人は自分で買うのならお得ですね(笑)
確かに、このような高額取引であれば本物か偽物かは一大事なわけで鑑定士のお墨付きがないと「偽物かもしれない?」という疑念が払拭できなければ転売も、自分で履くにも不安が付きまとうわけです。
それが払拭できるなら手数料を支払ってもいいというのは自然な流れですね。
ところが、これで一件落着とならないのが現実社会。この毒Appでも偽物が出回ってしまっているという情報が流れております。
確かに人が鑑定する限りにおいて見落としが発生する可能性は0にはなりませんので100%を保証することはできません。ライバル会社の嫌がらせ情報だという噂もあり、もう何を信用してよいのか分からなくなってきますね…
自分が見てみて、穿いてみて見分けがつかないだけでなく、専門家がみてもまず見分けがつかない差異にこだわることに、心血を注ぐのは以前に書いた(第104回 上海FASHION WEEKからみる中国のオシャレ市場の行方)ように自己表現の手段となっているからなのでしょうか。
日本のリユース業者大手のコメ兵ではAIを使って97%の真偽鑑定をできるシステムを導入とのことですが、3Dプリンターを始めとして技術が更に発展して、もう人には見分けがつかない品質の差というレベルまで生産技術のレベルが上がるも、そう遠くはない気がします。
AI技術の発展に伴って本物鑑定士という職業も消えていくのでしょうが、鑑定士の失業問題は、それほど心配をする必要はないと思います。だって、そもそもスニーカー鑑定士という職業自体、数十年前にはなかったはずなので、その時にはきっと新しい今の我々が考え付かない職業がでてきているに違いありません。
元々、品質の担保をするために本物か偽物かを判定しようとしていたのが、それに意味がなくなればメーカーはデザインや設計図、原材料表だけを販売し各自が自分の好きな工場で生産するという時代がくるかもしれません。
ただ、一つ言えそうなのは、人間はどの時代になっても何かの中毒(のめりこむ)にならずにはいられない生き物だということでしょう。
毒のそばに商機有り!
中毒!通信では今後も新しい毒を紹介していきたいと思います。
今回も最後までお読み頂きありがとうございます。
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