にほんブログ村 経済ブログ アジア経済・中国経済へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 上海情報へ
忍者ブログ

中カツ!通信

「中カツ!通信」は中華圏歴19年を超え、湖南省出身の妻と娘と上海で暮らす野村が「中国で勝ちたい人」のために、「日々ちょっと活力を得られる情報」を、お届けするブログです。

中カツ!通信 第256号 小米を噛みしめて、研ぐべきなのは〇〇だ!

■□■□■□■□■□■□■□■□■
中国で勝つための、
ちょっと活力を得られる情報をお届け! 
メルマガ無料登録URL
http://eepurl.com/c7GHF
□■□■□■□■□■□■□■

こんにちは。中カツ!通信の野村です!

先週の上海咖啡文化weekの記事に引き続き、

中カツ!通信 第255号 上海珈琲店ランキング。コーヒーは文化の香り
 

今週は小さい米の文化について
 

ただ、食べる米ではなく、

産業のコメである半導体がつまったスマホの米

 

そう、小米( xiaomi)についてです!

 

小米については中カツ!通信でも過去に何度も取り上げています。

中カツ!通信 第151号  TikTok、アリババ、小米創業者の最近の発言から思うこと

中カツ!通信 第184号 あの小米(xiaomi)が日本人に騙された?

中カツ!通信 第203回 10年前の購入者に返金!小米の驚くべき発表とは
 

8月11日に小米の2022年度発表会が行われ、創業者である雷軍の2時間以上にわたるスピーチがありました。


 

動画(2時間22分)※中国以外からでは観れない可能性があります。


記事全文(中国語)

 

 

昨年は携帯の出荷台数世界2位(2021年Q2)、4足歩行の犬型ロボット「CyberDog」、初期ユーザーへの全額返金などの驚きの内容があった雷軍のスピーチ。

今年はどんな内容だったのでしょうか?
 

今年のテーマは

 

「穿越人生低谷的感悟」(人生の低迷を乗り越えて気づいたこと)
 

それでは、どんな雷軍の「低迷」が紹介されているのか見ていきましょう!
 

1,Windows Officeに対抗して出したソフト盘古が全然売れなかったこと 

まだ小米を起業する前の金山ソフト(King soft)にいたときのこと。Window Officeに対抗するために3年かけて開発してきたソフトを自信満々で売り出します。

ただ予想売上の10分の1以下と全く売れません。

キャッシュは減り一番ひどい時には口座には10数万元となり、翌月の給与は払えない状態にまで追い込まれたそうです。

雷軍は
 

「なんで、これだけ良いソフトが売れないんだ!だったら自分で売ってやる」
 

と店頭に立ちます。

ところが、1日8時間話し続けて売れたのは0個…

「多分、運が悪かったんだ…」

と、気を取り直した2日目。
 

結果は、やはり1つも売れず…

そして3日目も0。
 

自分が自信満々のソフトを自分で説明して、これだけ売れないと相当落ち込みますよね。
 

そこで雷軍は4日目は、自分では売らず、その店舗で一番売れている店員について、どうやって販売しているのかを観察します。
 

その結果、5日目のお昼には、とうとう1つ販売することができ、そのままコツをつかんで7日目には店舗で1番の売上を上げます!
 

また、この7日間の店舗販売で
 

「技術者たるもの、”すごそうな製品”ではなく、ユーザーが求める製品を作らなければならない」
 

ということを学んだといいます。
 

「ユーザーが求める製品を作ることができれば、売ることは問題ない」
 

そんな気づきから”金山词霸”、”金山毒霸”など、10以上のソフトウェア製品をリリースし、成功を収めています。

 

2,失意からクラブやネット掲示板の沼にハマる

ただ、ソフト盘古の売れ行き不調という失敗は、雷軍には相当こたえ理想を見失い金山に辞表を提出します。社長の慰留にあった雷軍は半年間の休暇を申請します。
 

その際に雷軍はストレスの発散としてヘビメタを聞き、踊ってとクラブに入り浸っていたようです。
 

一時期は北京の三里屯にバーを開くことも考えたとか…
 

そして休暇中にクラブよりのめり込むものに出会います。

それはBBS(ネット掲示板)

 

その時のワクワク感は今のメタバースに似たものがあったとか。
 

のめり込んでいた時は毎日、朝の7時から夜中まで大量の書き込みをしていたそうで投稿ランキングでも上位だったそうです。
 

その時に知り合った人の中には、テンセントの創業者である马化腾や、NetEase(网易)の創業者である丁磊もいました。
 

半年間のBBSにハマった期間を経て、徐々に調子を取り戻した雷軍は、金山に復帰します。
 

この時の経験は、のちに小米を創業した際にネット掲示板上で小米の話題を盛り上げるのに役だったそうです。
 

小米のファンコミュニティ運営が優れているのは、雷軍がネット掲示板に入り浸っていたところから来ているとは思いませんでした。
 

そして3つ目の低迷期とは、

3,ネット黎明期を逃したこと

1997年にNetEase(網易)、1998年にテンセント(騰訊)が設立され、中国インターネットブームの第一波が起こります。
 

その頃、まだソフト開発に注力していた雷軍も、
 

「ネットは今後、全ての企業が利用するツールとなり、最も将来性があるのはECだ」
 

ということに気づき、2000年5月には卓越网をスタートします。

 

書籍や映画、ドラマ、音楽CDなどを販売し3年で中国最大のBtoCのプラットフォームにまで育てます。
 

ところがECプラットフォームは成長の過程で莫大な投資が必要です。結果的には2004年9月にAmazonに売却することとなり、Amazon中国となります。

その売却後、たった半年でBtoCのECブームが起こります…
 

なんで、そこまで資金調達を頑張れなかったのだろう?と悔しい想いをする一方で、
 

"インターネットは単なる技術革命ではなく、思想の革命であり、将来的にはインターネットはあらゆる生活の場面に組み込まれていくだろう。"
 

というようにECだけがインターネットのチャンスではないと気づいたことにより
 

モバイルインターネット時代に目を付け、小米の起業に繋がっていきます。
 

だからこそ小米は携帯だけでなく、スマート家電の分野にも早くから参入していたんですね!
 

実際に現在の小米のオフライン店舗にいくと、スマホよりも、その他のスマート家電のスペースの方が大きいです。


 

そして、今年のスピーチの中でも新しいスマホ以外にも、キッチンの排気ダクトや乾燥機一体型の洗濯機などが紹介されていました。


 

また、それ以上の見どころとして発表されたのが

自動運転技術と人型ロボット



皆が今後の小米の商品にワクワクしてきて、

スピーチの最後は
 

永远相信美好的事情即将发生

素晴らしいことは、もうすぐ起きると永遠に信じている
 

という言葉でしめくくられます。

企業の新商品発表会というよりは、ヒーローもののドラマのようなストーリー
 

商品であるスマホではなく、小米(雷軍)というブランドのファンの感情をつかむ素晴らしい構成です。

 

マーケティングでいうヒーローズジャーニー(神話の法則)を踏襲したつくりになっているのを感じます。

 

主人公が困難に立ち向かい、師や仲間との出会いを経て、成長しながら困難を乗り越える。そして更なる、大きな壁に向かってチャレンジし続けていく。

 

この過程に読者(消費者)は、ハラハラドキドキしながら応援していくというのが、小米のファンづくりの秘訣だと思います。

 

去年に掲げた3年以内にスマホ出荷台数世界一や自動運転技術が、今まさにチャレンジしていることですね。

 

SNS知乎のコメント欄にも共感、感銘をうける人が多い一方で、

 

 

「低迷期といっても、すでに巨額の現金を持っていたんだよなぁ」

「雷社長の人生の低迷期とは、目標を見失っただけ。私たちの低迷期とは純粋に貧乏なこと。」
 

などのコメントも見受けられました(笑)
 

また、雷軍が影響を与えるのは消費者だけではありません。

当然のように多くの起業家も雷軍の影響を受けております。
 

その前提で、

「盲目的に雷軍の行動を真似てもダメだ」

という記事も見かけました。

 

雷軍の商品の品質に対するこだわり、フラット組織を象徴する逸話として

 

「壁紙選びのために100万枚の写真を自分で見た」

というのがあります。

 

確かに、こういう話を聞くと

 

「私も雷軍の行動を真似てみよう」

 

という気持ちになるのは非常に理解できます。

 

ただ、記事の中で雷軍のすごいところは、このように公表されている分かりやすい、細かな努力の積み重ねだけではなく、

 

「卓越したマクロの視点」

 

だと。

 

その例として、金山(Kingソフト)を辞め、小米を起業するときは80%の時間を使って、思いつく限りの最高の人材を集めたというのがあります。

 

マクロの視点で、世の中の変化を予測し、そのヴィジョンに向かって、全力で成功に必要な人材を揃える。

 

確かに、「売れない商品を店頭で自分で販売してみる」よりも非常に大事なことですね(笑)

 

ただ、中国の創業者だけでなく我々も、

 

同じように目先の観点だけで自分の行動を決めてしまっていること

 

については、一度自身で振り返ってみる必要がありますね…

 

 

8月8日には、小米に対する更なる困難といえる噂が流れました。

 

インド政府は、1万2000ルピー(約2万円)未満の中国製スマートフォンの国内販売を禁止し、業績の落ち込みが続く国内スマホ業界を後押しする方針。

 

その後11日に、そのような計画はないというインド高級官僚の発言をインドメディアが報道し、とりあえずカレーライスの破局は免れました。
 

ただ、上記のように現在の小米、そして我々を囲む環境は常に大きな不確実性であふれています。
 

そんな時代だからこそ、
 

・長期のマクロの視野に基づいた経営戦略ストーリー 

・困難でも、むしろ応援してくれるファンの心をつかむストーリー
 

が必要です。


どんどん大きくなっていく小米。
 

素晴らしいことは、もうすぐ起きると永遠に信じているだけでなく、

成功事例をよく噛みしめながら、自分のビジネスを研いでいきたいと思います。
 

今回も、最後まで、お読みいただきありがとうございます!

*****************

【Wechatでも配信始めました!

メールが迷惑メールに入る、
そもそも届かないという方、ぜひフォローお願いします!
第119回以降のログもご覧頂けます。

中活通信アカウント



野村個人Wechat ID

*****************
【無料メルマガ登録
ご登録頂くことにより
最新号を直接お届けいたします!
ブログに来て頂く手間が省け、記事更新の見逃しも防げます。
是非、ご登録ください。

メルマガ無料登録URL

http://eepurl.com/c7GHFL

******************
中カツ!通信 - にほんブログ村 にほんブログ村 海外生活ブログ 上海情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村 ニュースブログ 海外ニュースへ

拍手[0回]

PR