第169号 コロナに負けないアルコール(日本酒)の実態
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第169号 コロナに負けないアルコール(日本酒)の実態
こんにちは中カツ!通信の野村です。
先週はタピオカミルクティーの話を紹介しました。
中カツ!通信 第168号 チーズのバブルで20代が億万長者に
「どの店が美味しいですか?」
「何が美味しいですか?」
と、ご質問を頂くものの、それほど日常的に飲んでいるわけではないので確かな答えをできず…
そんな時、湖南省長沙に出張に行っていた中カツ!通信オンラインサロンのメンバーから他の繁盛店にはギフトセットもあるとのシェアが。
茶颜悦色という長沙発の人気チェーンのギフトセットをもらったとのことで、中国古来のデザインをオシャレに仕上げているあたりは国潮というトレンドにも合致していて、単なる渇きを癒す飲み物ではなく、プレゼントにもなるブランドに育ってきているのを感じます。
中国で飲み物のトップブランドと言えば白酒の貴州茅台酒。
2020年6月に時価総額が中国工商銀行を抜き中国本土上場株でトップとなり、中国ではテンセント、アリババに続く第3位、世界の時価総額ランキングでもJPモルガンに次ぐ17位です。
このコロナ環境下で上がっているのは株価だけでなく、商品自体も投機商品としてメーカー小売り希望価格よりはるかに高い値段でやり取りされています。
そして盛り上がっているのは中国酒だけではありません。我らが日本酒も、このコロナの中でも確実に中国市場での存在感を増しております。
ということで、今日はSAKE-Chinaの執行委員長である君島さんにインタビューした内容を紹介させて頂きます。
http://www.sake-china.com/pg836.html
野村:
そもそもSAKE-Chinaってなんですか?
君島さん:
日本酒の美味しさを伝えるだけでなく、中国人に本当に合う日本酒を楽しんで頂く機会を広げる目的で「SAKE-China」という品評会を行っています。
野村:
有名ソムリエが薦めたワイン、利き酒師が薦めた日本酒みたいな感じで中国の美食家に投票してもらうんですか?
君島さん:
いや、本当に日本領事館や実行委員会のチャネルで中国人の方に限定して一般募集しています。2020年10月30日から3日間上海で行った品評会には男女半々、年齢も35歳以上と35歳以下で半々くらいと幅広い年齢の方690人にご参加頂きました。
中国は大きく各地域で味覚の方向性も大きく異なるので今後は現在の北京、上海以外にも広げていく予定です。
日本酒も今回は17府県の29蔵から総数80種類が品評会にだされました。中国の方が好む傾向が明らかになればメーカーも今後の酒造りの参考として頂き中国における日本酒の消費拡大につながると確信しております。
野村:
そもそも中国での売上って増えているんですか?コロナで一時期お店も閉まっていたし、北京の市場でサーモンから菌が出て、日本料理には逆風でしたよね。
君島さん:
はい、中国でコロナが発生して2月から5月は昨年2019年を下回りましたが、そこからは急速に回復し、10月末までの輸出額累計では2019年同期までの金額を上回りました!
野村:
そうなんですね!日本酒は日本料理屋でしか飲まれていないイメージなんですが、日本料理屋が増えたから日本酒の輸入量も増えているということなのでしょうか? 獺祭の箱が大量にディスプレイされている日本料理屋とかよく見かけますもんね。
君島さん:
日本料理屋の店舗数増加だけではないと考えています。
中国での、お酒市場で
「白酒→赤ワイン→日本酒」
というトレンドを感じます。
・健康ブームで日本食への注目
・訪日中国人の増加で日本食文化への理解浸透
・大人数での接待が厳しくなったことによる、少人数でも接待の格式を保てる日本食の高級化
「食文化の発展」と「接待やギフト」という2つの大きな要素があり今の日本食、日本酒市場の今があります。
現在では日本酒の輸出国としてアメリカを抜いて中国が世界で一番になりました。
ここに来るまでには約四半世紀の時間がかかっていますからね…
野村:
確かに、今年の輸入博でのJETRO日本酒ブースは凄い人だかりでした。
コロナがなければ、多くの中国の方がオリンピックで訪日され日本酒を飲んでいたと思うと残念ですね。
君島さん:
日本酒好きの中国人のかたが、直接レンタカーで酒蔵を訪れて飲み比べして爆買いしていくなんて光景もあったので、期待していたのですが…来年には、その光景がみれるのを楽しみにしています。
ただ、日本食は接待などハレの日の外食という位置づけではなくなってきています。北京の某日系スーパーでは、コロナのステイホームの期間で日本食の売上が300%、日本酒の売上も200%になったと聞いています。
中国の若い方の間では、日本人が
「今日はイタリアンにする?中華にする?」
という感覚で、日常的に日本食を楽しんでおり、ステイホームであっても日本食を食べたいという人が増えているのです。
野村:
ちなみに日本酒の味の好みって日本人と変わらないんですか?
君島さん:
実は3年前の1回目の品評会では、ゴールデンドラゴン賞という最も高い評価を受けたお酒が普通酒だったんですね…
野村:
最も高い評価を得たのが大吟醸ではなく普通酒だったんですか?!
君島さん:
はい… それにより、周囲からは
「中国では日本酒の味は理解されない!」
「一般の人による品評会などあてにならない!」
などの批判がありました。
ところが、2回目、3回目と回を重ねていくごとに日本で選ばれるものがSAKE-Chinaの品評会でも選ばれるようになってきています。
2020年、今年は三和酒造株式会社の臥龍梅 純米吟醸 直汲み 生貯蔵がゴールデンドラゴン賞に選ばれました。
私は中国人の方の味覚は非常に鋭いと思っています。
開催当初は2018年は
「飲みやすいもの」
「甘いもの」
が受けていた印象で、年代ごとでかなり違う結果がでていました。
今年は年代ごとで1-3位は入れ違うくらいで、同じものが選ばれる傾向にあります。
ただ今でも性別でみるとかなり結果が違ってきます。
野村:
単に「この日本酒美味しい!」というだけでなく、性別、年齢ごとに厳密に飲み比べをしたうえでの統計データがとれているのは凄いですね!
これに地方ごとの統計も加わってくると、
「上海料理にあう日本酒」
「広東料理にあう日本酒」
のように中華レストランでもワインと並んで日常的に日本酒を飲む人が増えてきそうです。
野村:
今後、日本酒が中国人にとって当たり前のお酒になるためにはどのような課題があるのでしょうか?
君島さん:
一つはニセモノですね…
全国各地で日本料理屋が増えていく中で大都市では獺祭や十四代など日本でも人気の日本酒が飲めるようになっている一方で、内陸部では偽物が数多く流通しております。
ニセモノを飲んだ人が「日本酒を飲んだが美味しくない・・・」という感想を持っているようです。取り締まりを厳しくするとともに、SAKE-Chinaによる”本物の日本酒”の啓蒙活動を進めていく必要があります。
三年前から日本の農林水産省と中国政府所管の中国食品工業協会と共に地道な普及・体験活動を実施しています。我々も複数の都市で販売を含めた開催を考えてはおりますが、中国では許認可等の問題も有り、直ぐには展開出来ないのが現状です。
野村:
確かにニセモノかも?って日本酒ありますね…
日本円約7000円の中国資本の食べ飲み放題日本料理屋が上海でも流行っています。ボタンエビ、マグロなどの刺身は新鮮で美味しいのですが、日本酒はマズいを超えて、飲んじゃいけない感じの味がします。
君島さん:
もう一つは関税です。現状、清酒は40%の関税です。
ビール 無税
ボトルワイン 14%
ウイスキー 5%
焼酎 10%
と比較しても関税率が高いです。
野村:
あれ?先日のRCEPが話題になっていた時に日本酒の関税が下がると聞いたような気がしますけど
君島さん:
はい、段階的に撤廃されるのですが20年間かかります…
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/yushutsu/pdf/0020010-014.pdf
野村:
20年ですか…
だから、若い次世代の市場を作る人の好みを把握しておくことが大事なんですね。
1996年天津で法人設立し日本酒の販売を続けて24年、君島さんはSAKE-Chinaの今後の目標はなんですか?
君島さん:
ゆくゆくは「SAKE-China」を世界No.1の日本酒コンテストにしたいです!
まずは日本を除く海外での品評会のベスト3に入るように努力しています。
a)IWC(イギリス)
b)全米日本酒歓評会
c)KuraMaster(フランス)
野村:
おぉーっ!壮大な素晴らしい目標ですね!
世界一の日本酒コンテストになった時には、世界各地の酒蔵から素晴らしい日本酒が提供されるようになっているんでしょうね。
野村:
ちなみに今回、上海のSAKE-China品評会に参加するにあたっては日本から来られ14日間隔離されたんですよね?
確かお酒はの持ち込みは禁止されていると聞いたことがあるので、14日間の断酒は非常に辛かったのではないですか?
また隔離明けの日本酒は格別に美味しかったのではないですか?
君島さん:
…お酒の持ち込み禁止されているんでしたっけ?
ホテルによってはデリバリーで頼めるところもあると聞いてますけどね…
はい! おっしゃるとおり14日間の隔離明けの日本酒は絶品でした!
本当に命の水だと感じました!
野村:
あれ?持ち込みだけでなく、デリバリーまで…
まぁ、細かいことは抜きにして、君島さんにとって日本酒は命の水ということがよくわかりました。
君島さん:
日本食、日本酒を通じて日本文化をより広く普及させていきたいですね。
野村:
ありがとうございます!
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君島さんは「親分」と呼んでしまいそうな威厳と貫禄をお持ちなのですが、日本酒や日本食の話題になると少年のような笑顔で話されます。
SAKE-Chinaが世界一の日本酒コンテストになる日を祈願して、私も次回の飲み会ではハイボールでなく日本酒を飲もうと思います!
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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