第168号 チーズのバブルで20代が億万長者に
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第168号 チーズのバブルで20代が億万長者に
こんにちは中カツ!通信の野村です。
中国では様々な富豪ランキングがあります。
2020年10月20日に発表された2020胡润百富榜では100番以内に入る足切りラインは450億元(約7200億円)
そして都市別の富豪数をみると
1位北京、2位は上海でなく深センなんですね。
しかも年間の増加数が84人とトップ。
別途発表されていた深センに限定した富豪ランキングでは一番若い富豪は1991年生まれ29歳の聂雲宸さんで45億元(約720億円)の資産。
聂雲宸さんは2012年21歳の時に始めた事業でここまでの成功を築きました。
中国の若者であれば誰もがしっているその事業とは?
そう Hey Tea 喜茶です。
この「帰ったら、まずは手洗い、うがい」みたいなマークが
今では深センだけでも100店舗以上、全国では684店舗(2020年12月7日時点)展開されており、2020年中に700店舗を突破すると思われます。
ドリンクがメインの店で8年で700店舗というと中国では驚くほどでないように聞こえますが、すごいのは
・2020年の開店数が300店舗以上
・全部自営でありフランチャイズではない
ということ。コロナの影響があった今年に昨年末の390店舗から倍近い店を開いているんですね。
創業者の聂雲宸さんは、元から飲食経験者なのかと思って調べてみると、2011年までは携帯販売ショップの経営と未経験者…
2011年当時も既にCOCO、Happy Lemonなど多くのミルクティーを販売するチェーン店がありました。
聂雲宸さんは市場をみていて
「巷のほとんどの店はフルーツ味はフレーバーの粉、お茶も、ミルクも粉を使いこだわりがない。本物のお茶とフルーツを使えれば、きっと人気が出るはず!」
(確かに今でもフルーツはかなりたくさん入っています)
ということで、携帯販売で貯めた20万元を使って未経験の業界に挑戦します。
ただ素人が簡単に成功するほど甘くはありません。ひどい時は一日の売上が20元だったこともあったそうです。
それでもお客様の声を聞いて改善を続けることで、最初の店は行列もできるようになり、チーズフォーム(ラテの泡の部分にチーズが含まれていて濃厚な味がする)が他の店に真似されるような爆発的なヒットとなり更に火が付きます。
上海に2017年に進出した時は、すでにSNSで話題になっていたことから多い日で1日に4000杯を売るなんて次々とニュースになりました。
その頃は百貨店が開店する前から喜茶を買う人の行列ができており、7時間待ちなんて状態。消費者の代わりに並ぶ代行業者がたくさんおりました。
代行業者はトレンドに敏感にはみえないおじさん、おばさんの方が多かったからか
「喜茶が雇って並ばせて行列を演出しているんだ」
と噂になり
「飢餓感マーケティングだとしても粗利額の少ない飲料で何時間もならばせる人件費をかけて元がとれないでしょ?」
という反論に対しても
「直営店を少しだけ開いて加盟店展開の時に加盟料で大きく儲けるに違いない」
と多くの人が、この一杯のチーズフォームのミルクティーのために長時間ならぶ若者のことを理解できませんでした。
実際に喜茶は今でも加盟店を募集しておらず全店直営です。
HP(https://www.heytea.com/)にも、
「加盟や代理は一切ありません。偽物が加盟店と偽っているから気を付けてください」
ということが書かれております。
ネットで検索してみると確かに、うさん臭い加盟店募集がゴロゴロあります。
「喜I茶」
「喜HEYTAA」
TEAですらないのに騙される人がいるのでしょうか?(笑)
流行りすたりの激しいドリンク業界で一般的なフランチャイズのように一気に面で多数店舗展開をし知名度を上げるというやり方でなく、一店舗ずつ行列を作って利益を出して、それから開店していくというやり方が結果的に飢餓感マーケティングに繋がったというわけですね。
各都市に初出店するとなると、このような行列が全国でできていったのです。
私自身、行列を何度もみていたものの飲んだことはないまま半年以上過ぎていました。
ある平日の午前に10人くらいしか並んでいないのをみて「ラッキー」と20分くらいならんで買ったのが初めてです。
今年は上海でも喜茶が本当に増えたので並んでない店が増えてきました。
それでも
「並んでない時に買っておかないともったいない!」
と、今でもふと心の中で思ってしまいます。
ただ実際にはデリバリーのオーダーも増えたので、店舗にお客さんが並んでいなくてもオーダーしてみたら前に15人待ちということもあるので注意が必要です。
チーズフォーム自体は、今では多くのお店で売られているので珍しくなくなってしまったのですが、それでも喜茶が人気があるのは、その商品力だけでなく若者が好むブランドづくりが上手だからだと思います。
「Inspiration of TEA」
「灵感(Inspiration)」
「设计(デザイン)」
「茶」
で、このロゴって面白いですよね。
そもそも創業者の聂雲宸さん自身がまだ20代ですし発想が若いのだと思います。現在使われているテイクアウト用の紙袋はMade in Chinaが8個も書かれた中国推しです。
他にも店舗にはお客様用の小さな薬箱があったり
自由に書き込みができるノートが置かれていたりします。
何が書かれているのか開けてみると
「もう少し早くならないですか?」との可愛らしい書き込みが。
確かに若い子の感性を捉えているのかもしれません(笑)
行列が出来ていたころは、男の子が何時間もならんで買った喜茶を女の子にプレゼントをすることで自身の愛情の深さを伝えるなんていう話もありました。
今ではシステムが整ってきて事前にネットで購入をすまし、出来上がったらお店に取りに行くこともできるので愛情表現のツールとしては価値が落ちてしまったかもしれませんね。
喜茶も通常の席がある店だけでなく「喜茶GO」というテイクアウト専門の店を増やしています。
特にコロナの時は「非接触」でドリンクが受け取れるロッカーが大活躍しました。
そして、お茶系ドリンク以外の商品も続々と増えてきています。
以前からあったアイスクリームに加え、波波(タピオカと同じようなもの)入りの食パンであったり
ポップコーンや じゃがりこ のようなコップ型のポテトスティック
コンビニでも買える、フルーツソーダ水や果物ジュースなどの自社商品を販売しております。
今日は11時過ぎにお店に入ったのですが31元(約496円)のドリンクって、平日昼間のご飯の値段と大して変わらないですよね。
飲み物というよりもデザートを消費している感覚に近いので単に喉が渇いた、お腹が空いた時の消費よりも値段の高さが気にならないのかもしれません。
広東省の小都市 江辺からスタートしたお店は既にシンガポールには出店しています。
日本にも2020年に新店舗がオープンするという計画があったそうですが、現状はコロナの影響かまだ出店できてないようです。
20万元の手元資金から始めた企業も今では大手の投資機構から出資を受けて企業価値としては160億元(約2560億円)ともいわれています。
出資を受けたからには投資家へのリターンも必要となってきます。今年の大量出店も、成長の加速を求められていることが背景にあるのでしょう。
昨今の大量出店のドリンク業態といって思い出されるのがスピード上場のあとに不正会計で上場廃止となったラッキンコーヒー
チーズの泡(フォーム)から始まった喜茶サクセスストーリーは急激な膨らみで弾けてしまわないといいですね。
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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