中カツ!通信 第241号 上海ロックダウンで社会はノックダウン?!
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~小区の長い手続きを抜けると過疎の街だった~
こんにちは。中カツ!通信の野村です。
上海ロックダウン35日が過ぎた、ある日の午後のこと、待望の小区(団地)からの外出許可が出ました!
各家庭のうち1人だけ、1日1時間限定という貴重な仮釈放タイム
~国境の長いトンネルを抜けると雪国だった~
川端康成の「雪国」の有名な冒頭文のような、抜けた先の世界を想像して胸をドキドキさせていたのに、外に出てみると場所を間違えたかのような違和感…
慣れ親しんだ、活気のある上海の街かどは見当たりません。
たまに、すれ違うデリバリーのバイク、車の音は聞こえるものの、小区の中の喧噪に比べると、気持ちの良い陽光の底に静寂が広がっています。
上海でも、クラクションがないと、こんなに鳥の声が聞こえるんですね。
お店も、軒並み封鎖シールが貼られており、まるで人が避難してしまった街に迷い込んでしまったようです。
一部の店は、このように黒のビニルを内側から貼り付け光が漏れて人目につかないように気を付けながら営業しています。でも、中に入ることはできません。
闇営業?
ではなく、再開が許された、ほとんどの店がオンライン注文のみで、店舗内で買い物をする許可が下りていません。オンラインで注文したものを配達員が取りに行って、届けてくれるというわけです。
各地区で数店舗だけ店内で買い物できるスーパーもあるものの、日本の高級会員制スーパーもビックリの限定条件がついております。
うちの近くだと
・3日に1回、各小区(団地)にスーパーに行ける日が割り当てられる
・各小区(団地)で更にスーパーに行くための整理券を早い者勝ちでもらう
・指定された時間にスーパーにならぶ(時間ごとの入場人数制限がある)
・1回に300元を超える買い物をしてはいけない(超えたら会計させない)
というルールになっており、気軽に思い付きでスーパーで買い物なんてできないのです。
整理券はないもののスーパーまで行ってみると、警察が出動し行列の整理をしています。昔の計画経済の時って、こんな感じだったのかなぁ…
薬局も店舗が再開されておりオフラインで買うことが可能です。(とはいってもデリバリーがメインであり、配達の人が受け取りやすいように、外に並べられています。)
他のいくつかの食品の店は、シャッターを半分おろしてオンライン注文の配達対応だけをしていました。
露店で商売している人がいると噂のあった大きなショッピングセンターのあるエリアまで行こうとすると警察による検問が。
医療関係者、配達員を始めとしたロックダウン中でも移動が必要な仕事に従じている人用の通行証がないため、通してくれません。
別の通りも試してみたけど、やはりダメでした。
普通の人にとって今回の仮釈放は鎮・街道(区の下の町のような単位)の中での移動の自由しかなく、同じ区でも他の町に行くことはできません。
やっとの思いで教室から抜け出したのに、売店や食堂に行ってみたら開店してないし、校門には先生がいて、結局学校の外には出れなかったというガッカリな感じです。
社会を「人々の集まり」と定義するならば、
ロックダウンの前は私にとって、
物理的な”社会”は家の外、小区の外に存在していました。
その”社会”に心こがれた、ロックダウンの1か月だったのに、いざ出てみたら、そこに思い描いていた”社会”は存在しなかった。
私の中の”社会”がノックダウンされたことにより、今まで以上に上海ロックダウンが怖くなってきます。
1か月以上も営業をできてない飲食店が並ぶ近くの通りを
封鎖前に比べれば、たいして汚れていないであろう道を律儀に清掃する車
そこにいたはずであろう人たちのことを想像すると、なんだか胸が苦しくなってきます。
1時間の仮釈放を終え、塀の内側に戻ります。
多くの歩いている人をみかけ、逆に心がホッとするのを感じます。
ロックダウンされた上海の住民にとって、物理的な”社会”は、小区の中になったんだなぁとシミジミと感じます。
ゴールデンウィークの際に娘たちを連れて小区の中を散歩していると、何人もの、お友達ができていて、母親同士も挨拶しています。
妻自身も相手が、どの棟に住んでいる、誰かは知らないけど、何度も顔を合わせているので話すようになったとのこと。他にもグループ購入で知り合った人など小区の中で挨拶できる関係の人が確実に増えているようです。
そんな妻と、他の子供たちと一緒に走り去っていた娘たちの後ろ姿をみながら、自分だけが”社会”から、取り残されたような寂しさと焦りを感じます。
「よし! 週末は小区社会に入りこんでいこう!」
ということで、みんながやっているグループ購入を主催してみることにします。
ちょうど社区グループ購入を募集していたグリコに連絡して、やり方を教えてもらいながらWechatのミニプログラム快团团で作成してみます。
募集リンクを作ったら、同じ棟の住民約200人が参加しているチャットグループに発信です。
24セットでグループ購入成立で、自分の家を除くと23セットくらい余裕だろうと思っていたのに、なんと4セットしか売れません…
妻に相談してみると、小区の中で、多くの食材のグループ購入を仕切っている団長にお願いして、拡散してもらったほうがよいとのこと。
団長とは、
中カツ!通信 第238号 ロックダウン上海における戦い方は〇〇だ!
でも、紹介した、ロックダウン中のライフラインを確保するための重要な役割です。
今回は私達も初めてで、よく分からないので手間賃を団長に渡すので拡散してほしいことを伝えると、一気に24セットが完売しました。
恐るべし、団長!
そして、ありがとう団長!
そにしても社区团购(社区グループ購入)って、聞いてた通り、かなりの手間ですね。
【団長の仕事】
①社区团购(社区グループ購入)できる商品を探してきて
②グループチャットを活用し社区の人向けに告知販売する
③その過程で買いたい人からの質問をメーカー側に確認して答え
④お金を回収し、途中で「やっぱり、いらないから返金」という対応もして
⑤最後、荷物の受け渡し(配達or小区内の広場に取りに来てもらう)
普段の仕事でECカスタマーサポート、プライベートトラフィック内での販売などの業務に関わっているので、やるべき工程は理解しています。
ただ天猫、京東、企業Wechatなどと違って業務をサポートするシステムがないので作業効率も悪く、携帯片手に②から⑤の作業に忙殺されます。
今回は③-⑤を社区团购(社区グループ購入)の購買者としての経験は豊富な、妻にお願いしました。
それでも忙しさのせいで、私が自分で家族分の昼食を作ることになり普段から団長をしてくれる人へ、より感謝の念が湧いてきます。
⑤最後、荷物の受け渡し(配達or小区内の広場に取りに来てもらう)は娘たちと一緒に行います。
若い女性から、子連れのお母さん、中年男性、おじいちゃん、おばあちゃんまでいろいろ人が、散歩がてらに受取りに来ます。買ってない人も、何を売っているのかなぁと近づいてきます。
その際に
「あなたは本物の日本人なの?娘たちも日本語はなせるの?」
といった、お決まりの質問から
「実は私の娘が、今は東京に住んでいて、2年間中国に帰国できてないのよ」
「日本のビールとウイスキーが買いたいんだけど、知り合いに聞いてみてくれないか?」
など、意外と会話に発展します。
今の小区に住んで5年以上。
知り合いなんていなかったのに、一気に顔見知りが増えて、自分も小区の”社会”に遅ればせながらデビューです。
ビール、コーヒー、野菜ジュース等リクエストされた日本商品については、上海の各社の知人に問い合わせをし、団長に引き継がせて頂きました。
日本人どころか外国人も、ほとんどいない私の小区で日本食品の社区团购(社区グループ購入)なんて最低ロットまで達しないだろうとあきらめていました。
ただ意外と購入希望者は多く、朝日ビールやカルピスを中心としたグループ購入は、お昼に募集を開始して夜には商品が届きました。
小区の共有の台車を使って、こちらも娘たちと一緒に、自分の住んでいる棟の近くの配達のお手伝い。
さすがに重たくて持てないので、娘たちはドアのベルを押して挨拶するくらいです。
ただ配達先で、お菓子をもらったりして、2人とも
「明日も配達行こうね!」
なんて味をしめています(笑)
私自身も、久々に体を使った労働と、面と向かって言われる
「ありがとう!」
の充実感に浸りながら飲むビールは、格別に美味しかったです。
ロックダウンの間に溜まっている
「小区の外に出たい!塀の外に出たい!」
という欲求は、閉塞感のない広い空間に行ってみたいという気持ちなのかと自分自身誤解していました。
例え知り合いでなくても、人々が集まっている飲食店であり、商店であったり、といった光景、音、匂いに”社会”を感じたかったんだと。
そう考えると上海の街に”社会”が復活するのは、5月中は難しそうな気がします…
それまでの間は、今まで近くにあったけど見落としていた小区の中の人々の集まりで”社会人”として居場所を作っていきたいと思います。
今回も、最後まで、お読みいただきありがとうございます!
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