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中カツ!通信

「中カツ!通信」は中華圏歴19年を超え、湖南省出身の妻と娘と上海で暮らす野村が「中国で勝ちたい人」のために、「日々ちょっと活力を得られる情報」を、お届けするブログです。

中カツ!通信 第246号 国の最高セキュリティ文書の謎解きで数千万人の人生に影響が

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こんにちは。中カツ!通信の野村です。

上海のロックダウンが終わって11日。

中カツ!通信 第244号 コロナで例年以上のオカネが流れ込み、風向きはどうなる?

暴飲暴食に胸をふくらませていたものの、市中心部では店内飲食禁止が多く、中々チャンスがありません。

ただテラス席(店外)では飲食が可能という解釈で営業しているエリアに行ってみると、もの凄い盛況。


图片

ロックダウンという大試練の後の祝杯。周囲のテーブルも、この空白の2か月間を取り戻すかのように皆がイキイキと飲み食いしていました。

ただ、このように開放するとでてくるのがオミクロン。11日土曜日は多くの区で一斉PCR検査+終わるまで自宅待機。

この通知がでるやいなや、スーパーでは買いだめの行列ができ、商品棚はスカスカに。

前回の「たったの4日間だけ」から、まさかの60日間という記憶と感情が生々しく残っていますからね…

上海では、まだまだ心身ともにコロナの影響を受けながらの日々が続きそうです。

一方、上海以外の各地方でも、数千万人の2か月どころか、一生を左右するような国家イベントがありました。

そのイベントに使われる文章の管理レベルは「秘密」「機密」を超える「絶密」と国家機密の中でも最上位。

ちなみに、この「絶密」は、情報が漏洩した場合に、国家の安全や利益に重大な損害を与えると判断されるレベル。

この文章が今年は全国の1,193万人に届けられました。

その過程は、印刷は刑務所内を始め情報漏洩対策が徹底的に管理された場所で行われ、郵送の過程は政府指定の車両に武装警察が銃を保持して警備に当たります。

輸送車は当然GPSが設置され、事前に決められたルートからはずれることは許されません。

車内でも盗み見をすることができないよう、死角なくカメラが設置され監視がされています。

图片

現金輸送車の管理より数段階厳格な「絶密」扱いで届けられるのに、時間がくると毎年1,000万人以上に公開される書類とは?!

もう、分かりましたでしょうか?

そう!

「高考试卷(大学入試試験の問題用紙)」

です。

中国の新学期は9月始まりで、この6月の高考で、どこの大学に進学できるかが決まるのです。

高考と書くと、高校入試と誤解してしまいがちですが、正式名称は普通高等学校招生全国统一考试で、全国で一斉に実施される点では日本の大学センター試験と同じですね。

その全国一斉実施という前提が、今回の上海ロックダウンで崩れたのです。上海だけは特例で、一か月先の実施になりました。

検索大手「百度」の特設サイトでも上海だけは、まだカウントダウンが続いています。

「えっ?でも、それって問題が違うということだから不公平なんじゃないの?」

と思われた方もいらっしゃいますよね。

全国での同日実施はセンター試験と同じと記入しましたが、それ以外のところは、いろいろと違っております。

例えば、中国では私立も含めて国から大学と認められているところは、この高考の入試が必要です。


そして、この高考の一発勝負で、行ける大学が決まります。

日本の国公立大学のように二次試験はありません。

さらに

地方によってテスト内容も、異なっておりますし、合格点の基準もバラバラです。

例えば、北京大学に入ってきた生徒の中でも

北京のAさんは北京版のテストを受けて690点でギリギリ合格

山西省のBさんは全国乙版のテストを受けて638点でギリギリ合格

なんてことが起きます。

東京の高校生は東京独自版のセンター試験(大学入学共通テスト)をうけて、大阪の高校生は大阪独自版の試験。 九州地方の3県は全国A版を採用みたいなイメージです。

ただ、この異なる試験内容、異なる合格ラインというのは、むしろ不公平を是正するための対応なのです。

中国では地方ごとに学生の数、教育リソースなどの差があります。

全国で統一試験、統一基準での大学合否を決めてしまうと絶対的な公平下での不公平が生まれてしまうという考えから現状のような対策がとられています。

宋の時代も経済的に発展していた南と、そうでなかった北とで人材のばらつきが出ないように科挙の試験の合格基準を変えていたそうなので、昔から根付く考えかたなのでしょうね。

科挙の時代だけでなく、現代の中国でも大学入試で「人生が決まる」ともいわれており、受験競争は非常に熾烈です。

社会の注目度も、非常に高く百度のホットトピックスの20個のうち15個が高考の話題。




高考数学题被泄露?教育部回应

(数学の問題が流出?教育部が回答)

など、熾烈な受験となるとでてくるのは不正の問題。

事前流出は「絶密」レベル管理がとられておりますし、カンニングについても対策がしっかりとられております。

まずは試験会場に入る前の探知機を使った持ち物チェック。

しっかりと行われている証拠に、

「鉄板の入ったシークレットブーツが安全検査にひっかかり試験会場に入れず」

というニュースもランキングの23位に載っていました。

ちなみに、この女生徒は付き添いに来ていた母親と靴を交換して無事に試験を受けられたそうです。背を高くして、点数も高くという縁起担ぎだったかどうかは不明です(笑)

会場に入ってからの対策として、必要な荷物以外は教室の外におき中に持ち込ませないようにしてあります。

また隠れて持ち込んだとしても試験会場周辺に妨害電波がだされておりスマホでネットに繋ぐことはできないようになっています。

なのに、今年も携帯の持ち込みをしていた受験生が、ネット上で入試の答えを聞くなんてニュースがでるので不思議ですね。

設備、備品で対策がとられていても人の部分で、管理の穴が開いてしまうということなんでしょうか…

ちなみにカンニングがばれたときは、その年の成績はすべて無効かつ1から3年は高考の試験を受ける資格すら剥奪されます。

やっと試験が終わっても、まだ気を抜けません。

むしろ、ここからの選択と行動で人生が大きく変わってきます。

自身の点数によって、志望する大学と学部の申請を出すのです。

自分の点数に加えて、文系、理系それぞれで大体の順位までは分かっている状態で、各大学の各学部を志望していくのです。

例年の各学部の最低合格ラインを参考にしながら

「点数的には厳しいけど、行けたらいいなぁレベル」

「点数的に合格圏のレベル」

「滑り止めレベル」

のバランスを考えながら志望学部を提出していきます。

第一志望、第二志望、第三志望と選んでいって、なんと第96志望まで提出することができます!

受験する前から、第96志望まで考えている学生なんて、まずいませんし、限られた期間のなかで各大学、各学部の詳細な事情まで調べるのは困難です。

なので志望学部を選択するための戦略をアドバイスしてくれるコンサルタントやネット上のサービスまで存在します(笑)

「北京大学に行けるなら学部はどこでもかまわない」

と思えば、自分の点数と学部のラインをみながら、北京大学の各学部を書いてい行きますし、

「どこの大学であっても経済学を勉強するんだ」

と思えば、経済学部のみを自分の行きたい大学の順番で書いていくことになります。

(※実際には、1つの大学で選択できる学部数は6つ、選べる大学数は30校までといった制限があります。)

試しにネット上でやってみます。

北京の学生で英数国以外は物理、歴史、化学で受験し666点だったという結果を入力すると

90個の学部が推薦されます。

そのうち10個は、「運良ければ行けるかも?」ライン

24個は妥当ライン。56個は安全圏

上海交通大学の電子情報類、中国科学院大学の材料科学などの名門学校が並びます。

テストを受けたわけでもないのに、

「35%の確率なら、もしかしたら交通大学に合格できるかなぁ」

と、ドキドキしてきました(笑)

学部に関しての統計情報も、いろいろと公開されており人気学部ランキングには男女比なんていう情報も記載されています。

「英語」の男女比が11:89なのに対して、「機械設計製造及び自動化」は、男女比が92:8…

確かに青春時代に、この情報は非常に重要ですね。

それ以外にも学部年数、もらえる学位の名称などの情報が書かれています。

このランキングでは一位が臨床医学、二位がコンピューターサイエンスとテクノロジーとなっております。

気になる日本語学科の人気はというと 957,231ポイント

これだけ見てもドラゴンボール後期の戦闘力インフレ時代みたいで、よく分かりませんね。

ただ英語の4,222,442という数値は日本語学科の4.4倍なので、まぁ、なんとなくイメージはつきます。

ただ大学に入る前に日本語で受験するという学生は増えてきています。

その理由として高考の外国語テストを英語だけでなく日本語を含む6つの言語から選ぶことができるようになっているからです。

しかも日本語は比較的簡単とも言われており、ライバルと差がつかない英語よりも日本語で高考を受験する人が増えているのです。

以前の日本語を勉強する理由というと、

数十年前は発展している日本から学ぶため

この十数年は好きなアニメや漫画のためにというのを、よく聞きます。

それが、今は受験に有利だからという理由で日本語学習者が増えているというのは寂しいような複雑な気持ちですが、日本語ができる人が増えること自体は良いことですよね!

むしろ日本語学習者を増やすためには高考の日本語テストの難易度を、どんどん下げていってほしいと思います(笑)

そのうち

「高考の日本語勉強用に、中カツ!通信を読んでいました!」

なんていうメッセージが届くことを妄想しながら今後も正しい?日本語での記事発信を続けていきたいと思います。


今回も、最後まで、お読みいただきありがとうございます!

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