中カツ!通信 第278回 中国のアザーサイド、農村の年末は?
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こんにちは、中カツ!通信の野村です。
今年の中国は、今日21日が大晦日、明日22日から新年となります。
2022年12月のゼロコロナ政策の緩和により、ようやく省を跨ぐ際の手続きや規制もなくなりました。
20日の時点で、すでにリゾート地の海南島でも
3時間で300mしか進まない大渋滞
が起きているなんていうニュースもありましたし、今年の新年は3年ぶりに帰省する人や、旅行に出かける人で全国大移動が起きると予想されております。
我が家も3年ぶりに妻の実家で年越しすることにし、一足早く18日早朝5時半の高鉄(新幹線)で上海を離れました。
虹橋駅は、早朝4時半でも、このにぎわい。コロナ前の春節と比較しても切符が、なかなか買えなかったのが納得の人混みです。
上海の自宅を出発して約11時間、高鉄と親戚の車を乗りついで着いた、庭の前の景色は、以前と変わらずノスタルジーに溢れています。
今までだと、会社の休みが開始する大晦日の夜に到着することが多かったのですが、今回は3日間早めの移動。
帰省中とはいえ、打合せもありましたので、いわゆるワーケーションです。
ただ、海南島の海辺で、波音を聞きながらといったオシャレなものではありません。
コケコッコーの声で目を覚まし、放し飼いの鶏やカモの鳴き声をBGMにしての仕事。イケてる感のあるワーケーションというよりは、ワコケーションという感じです…
一方で子供たちは宿題の合間に、鶏に餌をあげたり、凧揚げをしたり、お正月の飾りつけを一緒に手伝ったり、よいスタケーションになっています。
祖母が用意してあった、「モコモコ服+袖カバー+布靴」という農村仕様に着せ替えられて過ごした時間により、冬休みの宿題「私のお正月」の内容は、他の上海の生徒と一味違うしあがりになるのではと期待しています(笑)
それにしても農村の年末は忙しい。
いつもは準備が整った大晦日の夕方に到着し、用意して頂いたご馳走を飲み食いするだけだったのが、今回3日前について、その準備がいかに大変だったかが、ようやくわかりました。
料理をする時に必要な薪は、
義父が山から切ってきた木を、乾燥させておいたものを、使いやすい大きさに割ったものを使います。
「おじいさんは山へ柴刈りに~~」というのが、昔話ではなく、リアルな生活の中に残っているのです。
お正月の席に欠かせないお肉。鶏3羽、鴨3羽、ガチョウ1羽を処理するのも4時間はかかりました。
包丁を研いで、しめて、血を抜いて、お湯につけて羽をむしって、内臓を処理してと、いくつもの工程があります、
ネットスーパーで注文したら、携帯動画を観ているうちに30分で、すぐに調理できる鶏肉が手に入るのとは事情が違います。
もちろん、しめる前には育てている時間もあります。
昨日の地鶏たちは、8カ月近く育てていたとのことで、新年に向けての準備は、夏から既に始まっているんですね。
全国各地の農村に、帰省で一気に人が増える一方で、夏から留守を守っていた鶏、鴨、ガチョウ、豚の数が一気に減るというわけです。
そして減っているに関して、全国規模の大きなニュースがありました。
国家統計局の発表があり、2022年末の
中国人口は14億1157万人と、昨年に比べて85万人減ったことが分かりました。
出生数は1000万人を切り956万人と、昨年より106万人減少しました。
(出典:21世纪经济报道のHPより)
10年前の年間1000万人(7.34%)も増えていた頃とはことなり、中国は人口が恒常的に減っていくステージに入ります。
更に、国連の推計によると、今年中にインドが中国の総人口を抜きます。
この人口減少、農村にとっては
「もう一つの人口減少」
に、直面しています。
それは農村から
「総人口だけでなく、特に若者の人口が減少している」
ということ。
1978年には17.9%だった都市化率は、2022年時点で(常住人口)都市化率63.9%まで上がりました。
(出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構のHP)
社会の工業化に伴い、働き手として若者が都市に移住するのは、どこの国でも起きてきたことです。
村の唯一の公道で開かれる市も、大晦日1日前だというのに、5年前と比べて3分の1程度の出店数。コロナ感染を恐れて、出店者が減っているというのも聞きましたが、それにしても寂しさを感じてしまいます。
また年越しに必要な、お餅などの食材はともかく、飾りつけは若者からすると微妙そうなものが多いです。
偉人画は家に貼る必要があったとしても、Angela babyや范冰冰、どこかの可愛い赤ちゃんのポスターを、どのような層が、新年に家に貼るのかは想像がつきません(笑)
妻の実家の周りにも空き家が増えています。
若者が、車で20分程度の街で仕事をし、結婚する時に新居を構え、家族で引っ越してしまい、農村の実家は、そのままにするという事例が多いのです。
2軒隣りの家の庭には、収穫時期を過ぎた白菜が放置されたまま…
農村の利便性も、どんどん向上しております。
農村でも、ECで注文すれば数日で欲しいものが届きますし、美団優選のサービスを使えば、翌日には生鮮品、冷凍品、日用品が受け取れます。
民間企業による利便性の提供だけでなく、政府からも新農村建設プロジェクトという名目で、暗かった庭の前に、太陽光の街灯が設置されたりと、農村での生活の品質も上がってきております。
ちょうど一年半前に街に引っ越しした親戚に聞きました。
「なんで農村を離れてしまうの?」
その答えは予想通り現実的でした。
「街の方が仕事をするにも、生活をするにも便利だし、娯楽の種類からいったら比べものにならないからね…」
「年越しの時こそ、親戚も農村に戻ってきて活気もあるし、伝統的な雰囲気も楽しめるけど、普段は閑散としていて寂しいもんだよ…」
「若い人で、農村で暮らしたいという人は多くないと思うよ…」
その言葉には、普段は大都会の上海で暮らし、正月や家族のイベントの時に、数日しか戻ってこない私達では語れない重みがあります。
都市以上に高齢化が進む農村。
5年後、10年後と、この傾向が続いた時、地鶏や白菜を、地元で育てて、若者の帰りを待ってくれている人が、どれくらいいるのでしょうか?
まだまだ、思考を深めたいところですが、もう飾りつけも終わり、新年の足音とともに美味しい匂いが漂ってきました。
郷に入っては、郷に従え!
農村の未来を憂うより、まずは現在の農村での一家団欒を楽しみたいと思います。
ここまで読んで頂いた、あなたに
新的一年
财源广进!
万事顺利!
心想事成!
祝大家新年快乐!
本日も、最後までお読み頂きありがとうございます。
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