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中カツ!通信

「中カツ!通信」は中華圏歴19年を超え、湖南省出身の妻と娘と上海で暮らす野村が「中国で勝ちたい人」のために、「日々ちょっと活力を得られる情報」を、お届けするブログです。

中カツ!通信 第229号 帰化した美少女2人の天国と地獄。オリンピックは先進国の仲を悪化させる?

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こんにちは。中カツ!通信の野村です。

北京オリンピック見てますか?

冰墩墩(ビンドゥエンドゥエン)は各地で品切れが続いており

「買えないものは余計ほしくなる」

と更に人気が高まっています。

中カツ!通信 第228号 北京オリンピックでわかる虎の威とパンダの衣

ただ意図的なハングリーマーケティングというわけではないようです。

今までの売れ行きは、そこそこだったことから、在庫を多く用意していなかったのでしょう。

オリンピックが近くなり急に人気に火が付きましたので、一気に品不足になり、春節で工場が稼働していなかったことなどから供給が追い付かず現状のような品切れ状態になっているのだと思います。

供給が追い付けば、UFOキャッチャーの景品で大量に敷き詰められている冰墩墩(ビンドゥエンドゥエン)を見かける日も遠くないだろうと個人的には思っています。

そして人気と言えばクマのプーさんファンでも有名な羽生結弦選手。

演技の後にファンからアイスリンクに大量のぬいぐるみが投げ込まれる光景はアスリートというよりアイドルのような羽生選手の人気の象徴でもあります。

北京でクマのプーさんはセンシティブな存在でもあるので、どうなるのかと思っていました。

現地でオリンピックを取材している記者の方に聞いてみると、ヌイグルミ自体の持ち込みが禁止されていたそうで、そもそも、オリンピック自体がキャラクターなどの露出に厳しいので特にプーさんを心配して、どうこうということではないようです。

羽生選手は中国でも大人気で、10日のホットトピックスのランキングにも上がっていました。

11 #羽生結弦为什么这么火#

羽生結弦は、なぜこんなに人気

というトピックを見てみると下記のような理由がでてきます。

・かっこいい(少女漫画に出てくる男の子みたい)

・演技がすごい

・挑戦する姿勢がすごい

今回は3連続大会金メダルとはならず4位という結果だったものの、4回転アクセルに挑戦する姿は、更にファンの心をつかんだようです。

挑戦する美男子を応援する気持ちに国境はないのですね!

そんな男子フィギュアスケートで金メダルを取ったネイサン・チェン(陳巍)は、両親が中国人のアメリカ国籍の華僑です。

実は今回のフィギュアスケートのアメリカ代表8人のうち4人は華僑なんですね。

そして、中国では元アメリカ人だった2人の女性選手への注目が集まっています。

ただ1人は30分で9万通の祝福をうける大スター、

もう一人はSNSで批判の的と大きく明暗を分けています。

大スターとなっているのは谷愛凌選手。

スキーフリースタイル女子ビッグエアで金メダルを取った彼女はアスリートとしてトップレベルなだけでなく

・スタンフォードに史上初飛び級入学(今秋入学)

・モデルとしても活躍

と、どれをとっても一流の人物です。

アメリカ人の父、中国人の母からアメリカで生まれたハーフです。

彼女は15歳でワールドカップ初優勝、金メダル候補として元から有名でした。

2019年にアメリカ国籍を放棄し中国代表として今回のオリンピックに参加し見事に金メダルを取得しました。

金メダル獲得時は彼女のSNS微博への祝福メッセージが30分で9万通、閲覧は1時間で3億回を超え、微博全体が一時、ダウンする事態にまでなりました。

金メダル候補だった彼女は、オリンピック前から広告にも引っ張りだこで2日前のネットニュースによると既に30近い広告に出演しているとのこと



图片金メダルを取った今、オリンピック後のメディアへの露出は5もっと増えてくると思います。

同じように2018年にアメリカ国籍を放棄して中国代表としてオリンピックに参加したのがフィギュアスケートの朱易選手。

ただ団体戦女子ショートプログラムでの朱易選手は転倒や失敗が続き中国は最下位になってしまいインタビュー時には泣いてしまいました。

翌日のフリープログラムでもジャンプで転倒が続き、またも最下位に沈み、演技後にはこらえきれず、また涙を流してしまいます。

ネット上では「朱易の転倒」というハッシュタグがついた投稿が2億回以上のアクセス数を記録するなど批判の声がやまない事態になり、「父親のコネでオリンピックに出場した」など行き過ぎた誹謗中傷に投稿やアカウント約300が規制、削除されたとのこと。

朱選手は中国人の両親を持つアメリカ生まれの選手です。2018年に国籍を中国に変更して、今回のオリンピックに参加しました。

父親は世界的に有名なAI科学者で、朱選手が中国国籍にした後の2020年に父もカリフォルニア大学から北京大学に移っております。

ここから

「優秀な学者を中国国内に呼び戻すために娘がオリンピック選手にえらばれた」

という根拠のない誹謗中傷がSNSに書き込まれたのです。

この朱選手にたいして谷愛凌選手は自身のSNSでファンに対して朱選手のことを思いやるよう呼び掛けています。

二人とも中国から帰化するように誘いがあって国籍を移した選手ですが、オリンピックを経て世間からの評価は、大きく明暗を分けました。

また中国では大スターの谷愛凌選手もアメリカのSNSでは、

「アメリカで育ち、選手として育成されたのに裏切者」

との批判を一部から浴びております。

谷愛凌選手は

「私はここで最高の人生を送っている。私の使命は分裂ではなく、スポーツを活用して団結の力を生み出すこと。国籍は関係ありません」

と素晴らしい返答をしています。

ちなみにオリンピック憲章の第1章の6にも

「オリンピック競技大会は、 個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない。

また5章の57「入賞者名簿 」には

「IOCとOCOG は国ごとの世界ランキングを作成してはならない。 OCOG は各種目のメダル獲得者と…(略)」

と明確に宣言されております。(※各国のメディアが自主作成されるのはオリンピック憲章違反ではない。)

参照:公益財団日本オリンピック委員会のホームページ

オリンピックは平和の祭典と言われるものの、それは理念と開幕式までで、実際には今回のように、むしろ各国間、国内での対立を煽る方に作用しているのではないでしょうか。

国家的宣伝・国威発揚の場として国家のお金が投資され、国籍をかえる選手もでてきます。

勝敗・メダル獲得が重要視される中で、国家間競争でナショナリズムが煽られ、韓国の政治家のように審判の裁定に対してもコメントをする。

政治対立の背景を受け、SNS上で各国のネット民も他国の選手、自国の選手に暴言を浴びせる。

スポーツも才能だけではなく育成が必要であり、お金をかけられる先進国が有利です。特に冬のオリンピックはマラソンなど陸上競技に比べて道具も高そうですし。

そう考えると、オリンピックは平和の祭典と言うより、先進国間での戦場の一つというほうが近い気がしてきます。

国家戦争の縮図オリンピック

羽生選手のように、国籍ではなく個人の実力、魅力で賞賛をうける選手が増えてくるといいですね。

我々、視聴者も国籍ではなく、選手個人に注目して応援するようになればと思ったものの、多くの人は自国選手が参加するオリンピックの試合だからこそ見ているわけで、ナショナリズムというスパイスが無くなればオリンピックを見なくなるんだろうなぁ…

逆に、その見ない人が増える時こそ、オリンピックは平和の祭典と言えるようになるかもしれませんね!もちろん商業的な理由で、すでにオリンピックが開催されなくなっていなければの話ですが…

日本、中国だけでなく全選手!

オリンピックがあるうちに国家ではなく、自分や自分のファンのために頑張ってください!

本日も最後までお読み頂きありがとうございます。

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