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中カツ!通信

「中カツ!通信」は中華圏歴19年を超え、湖南省出身の妻と娘と上海で暮らす野村が「中国で勝ちたい人」のために、「日々ちょっと活力を得られる情報」を、お届けするブログです。

中カツ!通信 第230号 百勝中国。進撃ヤムことない飲食の巨人

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こんにちは。中カツ!通信の野村です。

2月20日時点で中国は9種目で勝利し金メダルを獲得、SNSでもにわかに盛上っているのを感じます。

上の雪容融(シュエロンロン)は北京パラリンピックのマスコットです。

この正月飾りの提灯をモチーフにした紅白は中国っぽくて、個人的にはジャイアントパンダがモチーフの冰墩墩より好きです。

人気は冰墩墩に大きく差を開けられていますが、3月4日からのパラリンピックに向けて、こちらもにわかに盛上ってくるかもしれませんね。

今日の中カツ!通信の話題は北京オリンピック、パラリンピックのスポンサーでもあり同じく赤白が印象的な、あのジャイアントについて

上海にお住まいの方は、というより、この記事を読まれている人で知らない人はいないであろうKFC。

中国語では肯德基と書きます。チキンだから同じ発音の肯德“鸡”の方がしっくりきますけど、もし見かけたら、それは偽物です(笑)

このKFCは、百勝中国(Yum China)が展開するブランドで、KFC以外には

・Pizza Hut(必胜客)

・Taco Bell(塔可贝尔)

といった本家ヤムブランズの中国でのフランチャイズ権を持っているだけでなく、

・小肥羊(火鍋)

・東方既白(中華ファストフード)

・黄记煌(焖鍋)

・COFFii & JOY(ドリップコーヒー)

・Lavazza(コーヒー)

を展開しています。

中国大陸での2021年12月31日時点での店舗数は11,788店

KFCだけで8,168店とマクドナルドよりも多く、

中国の飲食業としてはトップの売上です。

2月9日に発表された百勝中国の決算報告書によると、

百胜中国发布 2021 年第四季度及全年财务业绩报告

2021年の総収入は1兆円を超えており(98.5億米ドル)で、前年から約20%増加、日本の飲食業で売上げトップのゼンショーホールディングの約2倍です。

純利益は1,100億円を超えて(9.9億米ドル)、こちらは26%増加です。

しかし、2021年第4四半期だけをみると、調整後当期純利益は93%減少とコロナが繰り返し発生した影響を受けています。

このコロナの影響がある中で2021年は開店が加速し、過去最高の1,806店(純増1,282店)を出店

一日に約5店舗を開いていることになります。

最近では中国の各地でもオミクロン株での感染が増えてきており、上海のお隣の蘇州市でも19日13時時点で50か所の中リスク地域が指定されています。

それに伴いKFCやピザハットも出店しているショッピングセンター自体が一時閉店となったりしております。

こんな状況を踏まえても、今年2022年もKFCをメインに1,000‐1,200店舗を増加させると発表されています。

でも、そんなに多くの店を、どこで開くというのでしょう?

中国広しと言えどもKFCで既に8,168店舗もあります。

実際、上海、北京などの大都市では、そこら中にあります。

フライドチキン好きの需要が増えているとも思えません。また地方部は所得格差もあり、KFCが儲かるような立地が多くあるかも疑問です。

でも、よく思い出してみるとKFCって、もうフライドチキンの店じゃないんですよね…

入り口の写真を見てみましょう。

左上にはお粥と野菜マン。

右上は野菜マン

実は昨年、杭州の小籠包老舗の「知味观」の親会社に16億元の出資をしKFCで小籠包も売り出しております。一度食べたことありますが、味と言うよりも雰囲気が合わなかったのを覚えております…

写真左下はデリバリーやテイクアウトのステーキ冷凍食品など。

右にやっと鶏を使った北京風ラップ、小酥肉(本来は豚肉唐揚げだがKFCはチキンを使用)、鶏卵のエッグタルトが出てきます。

私が小さい頃のKFCといったらフライドチキンの強烈なイメージでしたが、今のKFCは、当時のドムドムくらいの雑多感があります。

都市部でのKFCは店頭商品だけでなくコーヒーから冷凍商品のデリバリーもしてくれる便利な存在であり、もうフライドチキンの需要に直接的に売上が左右されたりしない体制なんですね。

むしろ需要がありそうなものは積極的に取り組んでいくので、近くの店内の一番目立つところの壁面はコーヒーのアピールでした。

もう香ばしいフライドチキンの雰囲気は感じられません。


ただ最近KFCのパーティーバレルが売切れ続出になりニュースになりました。

POPMARTの人気キャラとのコラボ企画。

中カツ!通信 第219号 悪用禁止?!の盲盒商法とクリスマス

中カツ!通信 第153号 みつがせて上場、トイは盲目?!

猫も杓子も盲盒(Blind Box)...

そうなるのは、やはり効果があるからなんです。

店舗によっては売切れているため、人形欲しさに、まだ売り切れていない店で買って食べてもらう代行が出たりしています。

「5日で48人分の二人用セットを食べることを頼まれている」とか

106セットを購入して1万元を超える(約19万円)伝票があったりと、子供のころの「お金持ちになったら100個買う!」を叶えたかった人がいたんでしょうね。

しかも持ち帰りじゃなくて「堂食(イートイン)」ってことは、友達100人集めて誕生パーティーだったのかもしれません(笑)

そして、中古売買サイトでは人形が600‐800元で取引されるなど過熱しすぎていき、1月12日には中国消費者協会から

「"ブラインドボックス "を使って過剰な食品摂取を誘導している。買うな!」

と名指しで批判されるという状況に。

中国でのKFCのイメージはフライドチキンの専門店より

「売れそうなものなら何でも売る」

というイメージが近い気がします。

そうなると都市部においても特定の需要があるところにピンポイントで出店していくというよりも、どこに出しても、そこそこの需要を取り込める業態に変化し続けているんですね。

しかもコロナの影響で撤退する店が出て家賃が下がったタイミングで、テイクアウト、デリバリーも強いKFCはコロナ前よりも有利な条件で出店することができます。

一店舗当たりの出店コストも2016年に比べると約半分になっているだけでなく、店舗でのの省人力化も進んでおり、実際オーダーは基本的にスマホやタッチパネルで行うように催促してきてます。

これらの成果が投資回収期間はKFCで2年、ピザハットでも2‐3年との改善であり、大量出店攻勢への自信にもつながっているのでしょう。

この投資回収期間が短くなったことにより、3級都市、4級都市でも勝負できる体制になり、KFC で昨年は160都市に新規進出したとのこと。

都市部では新店と既存店とで売上を取り合ってしまいますが、地方一号店であればそういうこともありません。

しかも、最初は

「とうとう自分たちの街にもKFCがきた!」

と、人気がでます。

また競合が多い1級都市、2級都市と違って定番メニューへの絞り込みをしてコスト効率を良くし、超级劲辣充电鸡腿堡(激辛充電チキンバーガー)など現地の好みに合わせたオリジナルメニューをだしているとのことです。

この3、4級都市向けは小镇模式(小都市モデル)として3年間で1,000店を開店していくとのこと。

妻の実家は辛い食文化なのでKFCができたら超级劲辣充电鸡腿堡(激辛充電チキンバーガー)は、どれくらいの辛さなのか、ちょっと食べてみたい。 

このように様々な業態で、様々な市場で勝負を仕掛ける百勝集団。

社名のように百戦百勝となるのか?

勝ちすぎて社名を万勝と変えるほど発展するのか?

万勝となったときには、更なる業態の拡大でとんかつチェーンも始めていそうなので、その時は是非、激辛充電カツ丼を食べてみます(笑)

本日も最後までお読み頂きありがとうございます。

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