中カツ!通信 第187号 一緒にニャンニャン?アメとムチのワクチン大作戦
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こんにちは中カツ!通信の野村です。
約3か月前の1月10日に以下の記事を書きました。
中カツ!通信 第172号 ワクチン無料で、あの正月に戻れるのか?
その後、春節の移動抑制策もあり結果的に新型コロナの陽性者が大幅に増えるということはなく、私も未だにワクチンを接種しておりません。
ところが最近、お決まりの挨拶が
「もうワクチン打ちました?」
になるくらい周囲でも日本人、中国人問わず急激に接種者が増えてきているのを感じます。
それもそのはず、中国の3月27日から4月20日までの接種は1.02億回を超え累計接種者も2億の大台を突破しました。
NHKの特設サイトの情報によると
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/world_progress/
4月24日の時点で中国の接種回数は2.11億回で世界第二位!
確かに、3月の中旬から日次の接種回数が勢いよく伸びています!
ただ中国は総人口が多いので100人あたりの接種回数となると14番目まで落ちてしまいます…
集団免疫を作るには60%~80%以上の人が免疫を持つ必要があると言われているので100人の回数が14.68回というのは、まだまだ足りない状況です。
では中国で集団免疫が形成されるまでワクチンの接種率を上げていくために何がボトルネックになっているのでしょうか?
ワクチンの生産量が追い付かない?
日本のようにワクチンを注射する人の不足?
ネット上の意見と私の周囲の意見を元に考えるとボトルネックになっているのは
「だって、あまり打ちたくないんだもん」
という各自の気持ちだと思います。
質問SNSサイト「知乎」に寄せられた
「なぜ無料なのに多くの人がワクチンを打ちたがらないのか?」
という質問に対して一番多くの賛同がついている投稿には以下の4つが書かれております。
1、研究開発時間が短すぎる、多くの人が疑いを感じており、もう少し状況をみていたい。
2、ワクチンの有効率が多くの人の期待に届いていない。50%-79%のデータのうち79%だったとしても、もう少し待ちたいと考える人が多い。
3、有効期間が短い。3-6か月なのか?6か月以上なのか?半年だとしても多くの人が打っても短すぎると考えている。
4、現状のコロナ予防対策はよく行われており、比較的安全と言え、感染リスクは低いなか、多くの人がワクチンを打たなくてもいいと考えるのは正常だ。
私の周りでも、
「感染リスクは低いんだから別に今あせって接種しなくてもいいでしょ。忙しいし。」
という感覚の人が多く「絶対に接種したくない!」という完全否定派は今のところ聞いたことはありません。
アメリカやインドのように「隣の人は陽性者かもしれない?」という緊張感がないので、「絶対に嫌!」というより優先順位が低いから後回しという人が多いのでしょうね。
ただ、来年2022年に北京での冬季オリンピックを控えている中国としては「打ちたくなるまで、待ちましょう~」と、のんきなことは言ってられません。
あの手この手で接種を促してきます。
まずは自身の住まいの居委会(居住民委員会)からの催促。
中国の都市部は、ほぼ門があるマンションなので、その入り口のところに机が置かれ接種を呼びかけます。
また道端で会った時や、直接電話がかかってきて
「接種の予約はしたか?他の家族は受けたか?」
ということを3日に一回は聞かれます…
次が会社。
こちらもビル入口に予約申し込みのQRコードが設置されているだけでなく、管轄エリアの役所から会社の担当者に電話がかかってきて、
「社員は何人受けた?まだ予約していない人はどれくらいいるんだ?」
と催促されます。
それだけでなく、教育機関(学校、幼稚園)からも、
「〇〇ちゃんのご家族は既に接種されていますか?予約がまだなら早く申し込んでください」
という催促が来ます。
この波状催促に最初は消極的だった私の同僚も、同調圧力に屈しとうとう申し込みました。
こういった個別のアプローチだけでなく、マスでの啓蒙活動も行われております。
中国での街頭での啓蒙活動といえば、コレ!
ワクチンを接種した人は最も美しい、打たない人は後悔
接種した人が安全だ、早く接種すれば早く安全
ワクチンは安全じゃない?打たない人が安全じゃない!
これら秀逸なキャッチコピーが並ぶ中、一番バズっている標語がこれです。
一緒にワクチン打とうよ、一緒にニャンニャンニャン
実は、これは2018年に中国で流行った男女のデュエット曲
学猫叫(猫の鳴き声を学ぼう)
https://www.bilibili.com/video/BV16s411L7X6?from=search&seid=7386970481285663019
のサビの部分をもじったもの。
中国語では猫の鳴き声は 喵喵(ミャオミャオ)と表現します。
中国語のワクチン疫苗(イィミヤオ)と同音異義語なんですね。
とても耳に残るフレーズの、この若いカップルを歌ったラブソングを使った標語はニュースになっただけでなく各種動画サイトに「歌ってみた」という感じで投稿されました。
ワクチンの接種会場を舞台に若い女性がワクチン接種を呼びかける歌詞に変更されているものを可愛らしく歌うわけです。
https://haokan.baidu.com/v?vid=16090794982559991064&pd=bjh&fr=bjhauthor&type=video
別の投稿では病院の中で看護婦さん自身が注射針をもって踊りながら替え歌で接種を呼びかけるというのもありました。
https://www.bilibili.com/video/BV1KK4y1m7qg?from=search&seid=1385608825482810823
若い人は「ニャンニャンニャン」のフレーズをきっかけに彼女と一緒にワクチン打とうとなるのかもしれませんね(笑)
日本だったら「公的な施設の中で、こんな動画を投稿して」と批判する人がいそうですが、
そもそも、先ほどの
「一緒にワクチン打とうよ、一緒にニャンニャンニャン」
自体が深セン福田区の社区(町内会規模の行政単位)が作成した公的なものです。
こういった硬軟合わせた啓蒙活動は面白いですよね!
ただ、そういった呼びかけや同調圧力だけでは動かない人もいます。
やはり人を動かすにはアメとムチですよね。
そう!様々な機関からの催促以外だけではなく、ちゃんとアメも用意されているのです。
上海を始め多くの自治体で接種をした人にはプレゼント!が行われています。
各行政区(区や、その下の町内会レベル)で具体的な商品は違うのですが、今週2回目の接種をしてきた妻は、ティッシュと食用油をもらってきました。
これは、まさに「ニャンニャンニャン」では動かないおばちゃん世代の心に刺さるナイスチョイスです!
妻が行った平日の午前中はおばちゃん、おじちゃんばかりで
「先週は米と油だったらしいわよ。でも数が限られているから、プレゼントのランクは、どんどん落ちていって最後はプレゼント無くなるらしいわ」
なんていう井戸端会議が行われていたらしいです(笑)
どんなプレゼントがあったのかネットで調べてみる、新しいスーパー開店の時の客寄せ必須アイテム「卵」など、おばちゃんの心を掴むのに知恵を絞っているのが分かります。
ある地域では年代別にワクチン接種後のプレゼントを
「60歳以上は食用油」
「60歳以下は有料公園のチケット」
と分けたうえで
「数量限定!早い者勝ち!」としっかりとマーケティングされています(笑)
今日(土曜日)の午後に会社の近くを歩いていると、チラシを持った若い女性4人が近づいてきます。
「どんな店の開店イベントだろう?」と思っていたら
「もうワクチン受けましたか?予約なしでも今日接種できますよ!」
と、まさかの路上でのキャッチでした!
外国人なんでということを伝えると、ターゲット外と判断されたのでしょう、あっという間に私の前から離れて行ってしまいました…
女性4名が来たほうをみると、普段は人のいないコンビニの横の出張所の施設から大行列ができています。
そして女子学生?のキャッチの効果なのか心なしか中年男性の比率が多い気がします。
その入り口の先には、臨時の青空受付所?が設置されており、ここで申し込めば事前に予約をしていなくても、当日受けられるようになっているのですね。
出口のところには、もちろんプレゼントが置かれており、今日のこの場所では弁当用のタッパか箱詰めのお菓子の2択でした。
このようなアメとムチを人海戦術も駆使して進めているワクチン大作戦。
もし仮に10億人が2回接種することを目標とすると、毎月1億回接種したとしても、あと9か月が必要です。
5月以降は更なるアメがでてくるのか?それともムチが強化されるのか?
私は1か月以上前に予約して通知待ちと言われていたものの一向に連絡が来ません。ビザの更新も控えているので、早めに確認して接種してきたいと思います。その際にはまた中カツ!通信の中で報告させて頂きますね。
今回も最後までお読み頂きありがとうございます。
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