中カツ!通信 213回 日中ムードは最悪の真実?と対策
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中カツ!通信 213回 日中ムードは最悪の真実?と対策
こんにちは、中カツ!通信の野村です。
今年も日中共同世論調査の結果が発表されました。
https://www.genron-npo.net/world/archives/11542-2.html
非営利団体「言論NPO」と中国国際出版集団が共同で行った世論調査で、日本側で1000、中国側で1547の有効回答をもとに結果が発表されています。
調査結果としては、残念ながら
日中ともに相手への印象が「良くない」(「どちらかといえば」を含む)と答えた人のポイントが昨年よりも増加してしまいました。
相手国への印象を「良くない」(「どちらかといえば」を含む)と答えた人の割合は
中国側の回答は
前年比13.2ポイント増の66.1%
日本側の回答は、
前年比1.2ポイント増の90.9%となり5年ぶりに90%を超えました。
言論NPOの工藤泰志代表は20日の記者会見で
「互いの軍事的な脅威だけが議論され、両国民の不安が放置されている」と分析
中国側の急激な対日感情悪化については
「新型コロナウイルスの流行で日本観光など交流の機会が失われた点も影響したのでは」
と指摘しております。
日本の89.7%から90.9%って、絶対値としては高いものの、増加率は誤差の範囲です。
ただ中国側の52.9%からの66.1%って、かなり急激に増えているわけです。
中国内に住んでいる日本人としては心配になりますよね…
ただ「コロナで日本旅行に行けないので数値が改善しない」くらいまでは納得できるものの、「交流しないと急激に悪化しちゃう」って、そこまでの影響力があるのか??と疑問に思ってしまいます。
昨年の調査の時にも、中国の対日印象は良くないものの、日本人街があったり和服(浴衣)のSNS投稿がされていることを中カツ!通信で紹介しました。
中カツ!通信 第166号 蘇州で和服を着た中国人に非難殺到?
その後1年間、上海の街ではディズニーランドでも見かけるほどJK(女子高生)ファッションが増え
アニメ、食品、日本料理屋といったものを見かけることも多くなりました。
実際に「良い印象を持っている」と答えた人の理由には
「日本製品の質は高いから」が13.6ポイントも増えていますし、「観光地が多いから」という項目も微増しています。
なので、対日本の印象は良くなっているのではと淡い期待をしていたのが大幅に裏切られた形になってしまいました。
確かにコロナのせいで日本観光には行けなくなったものの、そもそも日本に行ける人なんて、ほんの一部ですし、少なくとも上海の日常生活において日本のプレゼンスは増えている気がするので、やっぱり「日本旅行できないから、日本への良い印象下がった」の影響力には疑問です…
良くない印象の理由というアンケート項目をみてみてると
特に昨年2020年から目立って大きく増えた項目というのはなく、以前からの
「歴史についての謝罪」
がトップで前年比3ポイントの増加です。
「外交において米国に追随する行動が理解できないから」
という新設問も8.3%と高くはないので、13.2ポイントも「良くない」が増えた主要原因とは言えないと思います。
来年は日中の国交正常化から50年の記念となる年なのに心配だなぁ、、
と、思っていた時に、中国にとっては今年が大事な記念の年だったことを思い出しました!
今年2021年は中国共産党100周年という記念すべき年だったのです。
7月の中カツ!通信でも紹介したように、
中カツ!通信 第197号 100周年で感じた共産党へのリスペクト
今年1年は上記で紹介した数々の盛大なイベントだけに留まらずテレビをはじめとしたメディアでも、膨大な量の共産党の歴史を振り返る番組が放映されました。
娘の通う幼稚園では
「どこでもいいので共産党に関する施設に行って写真を撮ってくること」
という宿題がゴールデンウィークに出され、上海の中心地にある新天地と黄陂南路いう駅は、中国共産党第一回全国大会が開かれた記念碑があることから、駅名の前に、それぞれ「一大会址」(第一大会会議跡)が加えられ
「一大会址·黄陂南路駅」
「一大会址·新天地駅」
に変更されました。
上海だけではありません。中国共産党の史跡やゆかりのある地を巡る「紅色旅行」というキャンペーンが多く見られ、
http://www.redtourism.com.cn/
先日の国慶節で高速鉄道で降りた駅でも、紅色故事e站(紅色物語eステーション)という特設コーナーが設けられており、近くの共産党にまつわる施設の紹介がされていました。
そして、TVでは共産党に献上するという言葉が添えられた番組が多く作られたり、過去の再放送がされました
http://news.xmnn.cn/xwzt/2021/jdybzn/index.shtml
今回の世論調査のアンケート項目にて
「相手国や日中関係についての情報源」
という項目があり、「中国のテレビドラマ、情報番組、映画作品」を選んだ人は、中国側では57.2%に達しますので影響が小さくないのが分かります。
共産党ができてから、中華人民共和国ができるまでの歴史の中で抗日戦争は、必ずと言っていいほど出てくるテーマなので、それで対日感情が悪化しているのではないかというのが私の仮説です。
100周年イベントが終わり、日中国交正常化50周年のイベントが各地で行われ、メディアでも大々的に放映されれば、来年のアンケートの対日感情もかなり改善するのではないかと。
(可能性が高いというより、低いと思うからこその希望ですが…)
両国のネット掲示板には、このニュースに関して過激なコメントが多く並んでいます。それを見ていて最初は腹立たしい気持ちになったものの、だんだん冷静になってきて人間の想像力って凄いなぁと思ってきました。
世界的ベストセラー「サピエンス全史」の著者であるイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは人類の飛躍は
「虚構(フィクション)を信じる力」(認知革命)
にあるとしました。
行ったこともない場所に住む、会ったこともない、名前も知らない人達の集団の印象をめぐって、感情的になったりできるのって、この想像力があるからに他ならないですよね。
もちろん相手国への憎しみだけではなく、下記の投稿者のように相手国の誰かのコメントに心が救われたりする人もいるわけです。
https://news.yahoo.co.jp/profile/comments/16347958466935.0edd.26358
では、虚構(フィクション)かも知れないメディアの放送や他人のコメントではなく
この一年、自身が上海で実際に暮らしてきて、どうだっただろう?
と、振り返ってみました。
昨年以上に対日本に対する悪い印象を聞いたり、私が日本人だからという理由で嫌な思いをすることが増えたのかというと全く思いつきませんでした。
念のため、妻や娘にも聞いてみましたが特に思い当たらないとのことでした。
もちろん、私が日本人を代表しているわけでもなければ、上海が中国を代表しているわけでもないので、今回の調査数字に意味がないというわけではありません。
ただ、「印象の統計」という実像のつかみどころのないものを、過度に心配したりするよりも、個人のリアルな実感に応じて生活していくほうが健康的だなと、自分の中で腑に落ちました。
先日、朝の幼稚園で通学路の見守りをボランティアで行いました。
別に日本人だからとか、国のためなんて、これっぽちも考えてません。
顔の見える人間関係の中で、役に立っておけば、幼稚園の先生の娘への印象がよくなかるかなぁ、という打算はありましたが(笑)
ダンバー数(人間が安定的な社会関係を維持できるとされる人数の認知的な上限)は150人とも言われているので、まずは、この身の回りの規模で、しっかりと良い印象を持ってもらえるように頑張って行きたいと思います。
日本在住の中国人の読者の方も、90%を超える印象悪いという数値に過剰反応することなく、自分のリアルな身の回りの人の印象が良くなるように一緒に頑張っていきましょう!
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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