中カツ!通信 214回 共同富裕とイカゲームと富豪ランキング
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中カツ!通信 214回 共同富裕とイカゲームと富豪ランキング
こんにちは、中カツ!通信の野村です。
10月27日に胡润百富(Hurun baifu)から、最新の中国富豪ランキングが発表されました。
今年2021年の3月に
紹介したミネラルウォーターのTOPメーカー農夫山泉の钟睒睒が、今回のランキングでも名だたるIT企業を抑えて1位に輝きました。
そして2位にはTikTokで有名なバイトダンスの張一鳴(38歳)が昨年から資産約三倍、2,300億元(約4.14兆円)!も資産を増やして、アリババの馬雲、テンセントの馬化騰よりも上にランキングされました。
米中貿易摩擦とも関連し、アメリカでTikTok禁止令が出された時には、まさかランキングが上がるとは思ってもみなかったですね。
3位の曽毓群は宁德时代(CATL)の創業者で、昨年から資産が2.67倍になりました。
CATLは、車載電池の最大手企業で、テスラをはじめ世界のEV車に商品を供給しています。各国が二酸化炭素の排出対策を行う中でEV車の需要が増え続けていますので、株価にも大きく反映され資産が伸びました。
4位にダウンした馬化騰のテンセントは稼ぎ頭であるゲームを国営メディアから「ゲームは精神的アヘン」と非難されたこともあり株価は軟調で昨年から19%も資産を減らしています。
そして5位にダウンした馬雲のアリババグループはECで独占禁止法違反による多額の罰金、アントフィナンシャルのIPO延期などかなりの逆風が吹いており昨年からは36%も資産を減らしております。
とはいえ、馬雲の家族で2,550億元(約4.6兆円)の資産ですから、私たちが心配するような必要は一切ありません(笑)
下がったのはアリババやテンセントだけではありません。
世界から債務不履行を心配される恒大グループの許家印は、今回のランキングで1620億元(約2.9兆円)と最も多くの資産を減らした富豪となりました。
2017年のランキングではトップ、昨年2020年は5位だった許家印は、今年は70位までランキングが下がったのです。
不動産業界は貸し出し規制、最近発表された固定資産税の試験導入などで、恒大グループ以外も影響を受け、その創始者たちもランキングを下げております。
1999年に調査を開始してから不動産業界の富豪がベストテンに入らなかったのは今回が初めてとのこと。そして、これから暫くはランキングを下げていく時代が続くのかもしれませんね。
最高下落額は不動産業界でしたが、最高下落率となったのは教育業界。
中国ネット教育大手で米国にも上場している好未来(TALエデュケーション・グループ)の創業者である張邦鑫の資産減少割合は94%!
株価が下落しているので、当然なのですが、張邦鑫もこんな未来は予想していなかったでしょう…
それでは、中国の今後の経済はどうなっていくんでしょうか?
キーワードは今年の流行語にも入ってくるであろう
「共同富裕」
鄧小平時代から続いた「先富論」つまり「豊かになれる者が、先に豊かになってもよい」という政策は中国社会を豊かにしました。
今回のランキング内の富豪2,918人うち96%が一代で財を築いた人というのは、社会の躍動感があったよい証拠です。
ただ同時に大きな格差も生み出してしまいました。
「共同富裕」は、先に豊かになったものから第二次分配(税金の強化)や第三次分配(豊かになったものによる寄付など)を通じて社会全体の底上げをして貧富の格差縮小につなげようという考えです。
貧富の格差解消は、高所得者層からは、より多くをとり、低所得者にはより多くを分配する必要があります。
大手IT企業への規制強化、芸能人の脱税摘発強化、固定資産税の導入など第二次分配の強化は着実に進んでいることがわかります。
第三次分配(寄付)の奨励についても、アリババが中小企業支援に1,000億元(約1.8兆円)を投じることを発表するなど、大手企業は次々と寄付を強化しております。
中国の現状がバブルなのかどうかの判断は差し控えますが、昨日、行ったショッピングセンターの1階では高級携帯VERTUのブースがありました。
右の黒い携帯の価格122800は、円ではなく元です。
「iphoneが10万円を超えたね~」
どころではなく、日本円に換算したら200万円以上です!
なんで、こんなに高いのかを確認したら
左側のちょっと安い95,800元(約172万円)ものは、ヒマラヤ鰐?の皮だそうです。
右の200万円以上は何かの高い皮に加え18金が使われていて・・・(以下省略)
だそうです。
「ぶっちゃけ、どれくらい売れているんですか?」
と聞いてみると
「十数台は売れていますよ!」
というので、
「一年でそんなに売れるんですね!」とビックリしていると、
「1か月で十数台、この(200万円以上)タイプが売れるんです!もっと高いのもありますし!」
と自信満々の笑みで返してきます。
確かにネット上には
247万元(約4450万円)の商品もありました。
この蛇の形にちりばめられたダイヤや宝石が高いのだそうですけど、もうここまでくると電話というより、GPSと通話機能が付いたジュエリーですね。
耳にあてたら痛そうだし…
店頭で3歩くらい引いて、苦い顔をしながら私と店員さんのやり取りを、みていた妻が
「長女の通っているバレェ教室の友達のお母さんも携帯はVERTUだよ。」
と一言。
店員さんは、ますます勢いづいて
「でしょ!普段、あなた(野村)が意識してないだけで上海のお金持ちでVERTUを使っている人はたくさんいるんですよ!」
私も返す言葉がなくなり、一言御礼を伝えて、すごすごと店を後にしました。
この週末はちょうどハロウィーン。
ショッピングセンター内外にはイカゲームの仮想をした従業員がアメを配っていました。
韓国発で世界のNetflixで大ヒットした、このドラマも貧富の格差が感じられるドラマでした。
世界の各地で貧富の格差への不満があるから、大ヒットにつながったんだという分析記事もみかけます。
中国では、他の民主主義国家に比べて、社会に強い力で素早く関与することができる体制なので、統制のきかない形でのバブル崩壊は起きないと個人的には思っています。
ただ、管理側からのアメや、高所得者層へのムチだけで共同富裕への渇望、格差への不満がおさまることはないと思います。
イカゲームを観た中国の人たちが
「他の資本主義の国では、格差があって大変ねー」
と他人事のようにしか感じられないような共同富裕の状態が達成される日が、早く来なイカなぁ…
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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