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中カツ!通信

「中カツ!通信」は中華圏歴19年を超え、湖南省出身の妻と娘と上海で暮らす野村が「中国で勝ちたい人」のために、「日々ちょっと活力を得られる情報」を、お届けするブログです。

中カツ!通信324回 天津伊勢丹が…百貨店の生残り戦略は百匹店か百歳店か?

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こんにちは、中カツ!通信の野村です。
 
今週、ショックを受けたのが、
 
「天津伊勢丹が来年4月閉店、30年の歴史に幕」
 
というニュース。
 
私は20年以上前に天津に1年ほど
留学しておりました。
 
天津伊勢丹は繁華街の中心にあり
高級百貨店として市民から
親しまれており、日本人として
誇らしかったのを覚えております。
 
閉店を決めたのは、
 
・賃貸契約の期間満了
・収益性や外部環境など
 
を総合的に考慮した結果とのこと。
 
経営判断であるとはいえ、
個人的には青春の思い出の場所が
一つ消えることに寂しさを感じます。
 
ただ2021年には同じく天津に
仁恒伊勢丹を新オープンしており
天津から伊勢丹がなくなる
わけではありません!
 
百貨店の閉店は、
天津だけにとどまりません。
 
上海では今年8月31日に、
こちらも30年間営業していた
太平洋百貨徐汇店が閉店。
 
他にも今年は、
 
北京で28年の当代商城
杭州で15年の解百新元華
広州で11年の天河城東圃店
 
など有名百貨店閉店の
ニュースがありました。
 
 
昨年末までのコロナ規制による
開店制限、健康コードもなくなり
 
今年こそは百貨店に
リベンジ消費が戻ってくるのでは?
 
と期待していたのに、
現実にはズレがあるようです。
 
土曜日のお昼11時半ごろに
上海の長寧区に以前からある
百貨店に行ってみると
上層階にあるサイゼリヤや
はま寿司は満席で
行列ができていました。


一方で、その他の売り場には
店員さん以外ほとんど人を
見かけません。


 

一階の催事売り場も、
開店前かと勘違いしそうな
ひとけのなさです。

国家統計局が
11月に発表したデータによれば、
2023年1-10月の物理的商品の
オンライン小売額は10.3兆元(約211兆円)
社会消費品の小売総額の26.7%を占めました。
 
既にアメリカの14%の倍近い
高いオンライン比率です。
 
下記のネット上にあったグラフを見ても
コロナの2020年に4ポイント以上上昇、
上海でもロックダウンのあった2022年は
27.2%まであがります。

昨年12月に規制は解除され、
オフラインでリベンジ消費だと!
いわれていたのに2023年上半期も
オンライン比率は26.6%と
それほど下がっておりません。
 
コロナ期を通じて更に広がった
オンライン購入は、オフライン購入の
一時的な代替手段ではなく、習慣として
定着した人が増えたのでしょう。
 
確かにECで実物を見ずに買うことは
慣れるまでは抵抗があるものの
 
・何でも、いつでも買える
・家まで運んでくれる
・安く買えることが多い
 
など非常に便利です。
 
百貨店という名前の由来が
品揃えの豊富さであるならば
ECは万貨店、億貨店
呼んでもいいですね。
 
買いたい物が決まっている時の
効率や利便性だけでは
 
オンラインにかなわないものの、
 
オフライン百貨店には、
ウィンドウショッピングを通じて
思っていなかった商品との
新たな出会いという体験があります。
 
皆様も百貨店内を歩いていて、
ちょっと見るだけのつもりが、
店員さんの話を聞いているうちに
欲しくなり、ついつい買ってしまった
経験があるはず!
 
これは商品がカタログのように
画面に並んでいるだけの
ECではない経験ですよね!
 
ところが…
 
最近では、
兴趣电商(興味EC)と言われる
 
抖音(TikTok)や
小红书(Red)のようなアプリや
ライブコマースって、
 
ウィンドウショッピングに近い
衝動買い需要も取り込んで
きているように感じます…
 
AIの発達により
その人にあったライブコマースが
レコメンドがされるため、
ついつい買ってしまうことも。
 
購買行動において
 
「人が買いたい物を探していたのが、
 物が買いそうな人を探すようになる」
 
になってきたと言われるのは
誇張じゃないわけです。
 
もちろん当事者である、
百貨店の方は、この潮流に
とっくに気が付いており、
 
「オフラインならではの体験」
 
を提供するプラットフォームとして
日々、知恵を絞っています。
 
以前は地下と上層階に集中していた
レストランやカフェは割合が増え
各階に配置されるようになり
(各階へ消費者を誘導する目的?)
 
オフラインならではの、
 
・幼児向け習い事
・フィットネス
・エステ
・密室脱出ゲーム
 
といった業態が増えました。
 
ところが幼児向け教育は、
 
「更なる、義務教育中の学生の宿題負担の軽減と課外の塾負担の軽減に関する意見」
 
いわゆる「双减」で、
大打撃を受けました。
 
中カツ!通信 第202回 株価98%減、教育ビジネスは誰のためにあるのか
 
これで子供向けの
英語や数学を教える教室が
百貨店から消えていき
 
規制の対象外であった、
ダンス、バスケ、絵画なども
コロナの開店規制などにより
消えていきました。
 
どちらの場合も、
先に払い込んでいた
お金が戻ってこない事件が
起きています。
 
 
中カツ!通信 第307回 シンデレラは間に合うか?習い事の閉店で高い授業料。
 
もちろん私の5万元も、
今でも戻ってきておりません(泣)
 
このような高単価かつ、
消費者が定期的に通ってくれる
テナントが減ってしまったのは、
百貨店にとっては大打撃。
 
百貨店側が
来客数を増やすべく
集客力のある飲食テナントを
家賃をさげてでも
誘致しようと思っても
 
飲食店側にだって選ぶ権利があります。
 
そもそも上海等の一線都市では
増える地下鉄駅と同じくらい
百貨店が増えていき飽和というより
すでに超過状態だと思います。
 
スタバやラッキンなどのカフェ業態や
KFC等のファストフード業態であれば、
各百貨店に1つあってもよいですが、
 
そこそこの値段のレストランが
各地下鉄駅の百貨店に出していたら、
近隣の同じ店同士で
客を取り合ってしまい
出店のメリットがありません。
 
レストラン側としても
差別化された集客力のある
百貨店に出店したい。
 
ただ、そんな百貨店も少ないので
駅直結なのにテナントが埋まっていない
百貨店が何個も​存在しているわけです。
 
考えてみても、
なかなか光明が見えてこない
百貨店の差別化戦略
 
何かヒントがあるかもと思い
人気のスポットと言われる
苏河湾万象天地に行ってみます。
 
すぐに目に着くのは、
アートを活用した差別化。



確かに写真で見るのとは
迫力が違い一見の価値ありです。
 
ただ、これも一回見れば十分で
毎週、見に来ようとは思いません。
 
なので巨大なオブジェ以外にも
下記のように毎日アートに
触れられる機会をつくってあります。

以前から多くの百貨店で
週末に家族客を引き付けようと
子供向けのイベントやプチ遊園地が
開催されていました。
 
こういったアートの前面打ち出しは
出生率が下がり子供の数が減る中で
Z世代の若者、DINKS、
子育て一段落世代をターゲットにした、
差別化なのかもしれません。
 
ビジネスは成長市場で行うのが一番。
 
子供が減り、人口増加が頭打ちの中で
今でも増えているところなんて
あるのでしょうか?
 
苏河湾万象天地は、
まさに、この増えている層を
狙った差別化に力を入れてます。

 
この地下二階の広場の写真をみて
何か気づくことはありませんか?
 
もう少し近寄ってみましょう。

 
そう!
犬を連れてきている人が、
とにかく多い!
 
現在、中国でペットは増加中で
犬と猫を合わせ1億匹を超え
既に世界第二位の市場です。
 
苏河湾万象天地では、
このペットに対して超フレンドリー


外の席で一緒に座れるのは当たり前、
お店の中までOKな店も多いです。
 
ペット来店の特典があったり


ペット用のお水を飲む場所まで、
お店前に設置されています。
 

外だけではなく、
リードをつけていれば
百貨店内にも入れ写真館でも
一緒に順番待ちしています。
 
 
图片
ここの写真館ではむしろ彼らが主役

もちろんペット用品のお店も多いです。
 


ペット用品以外の店舗だって
ペット大歓迎!
 
緑のマークは「ペット自由活動可」

それが、どれくらいあるかというと
ミズノ、ニューバランス、HONMAゴルフ
下着のubrasなどに加え
宝飾品の店までも「ペット自由活動可」
 

 
ペットを家族と思っている人にとって
一緒に店内で買い物をできる体験って
すごい嬉しいんじゃないですかね?
 
しかも公園デビューして
ママ友を作るような感じで
ペット友達も増えていけば、
自然とこの百貨店が
集合場所になりそうです。

この日だって、
『101匹ワンちゃん』は確実に
来ていたと思います。
 
「百貨店から百匹店」ならば、
オンラインとの差別化になりますね!
 
ペット以外に、
 
増えているといえば高齢者
 
今のECネイティブの若者と違い
百貨店で青春を過ごした我々は
オフラインに思い入れが強いです。
 
ちなみに地上階にもアートが
展示されていたのですが、
その中に、おばちゃんたちが

カラオケセットを持ち込んで
歌っておりました(笑)


 
 
百貨店というと
ファッション、トレンドなど
若者向けのイメージがあります。
 
むしろ高齢者向けに特化して
 
「百貨店ならぬ百歳店」
 
であればオンラインと
差別化できそうです(笑)
 
高齢化先進国の日本発で
百歳店が中国進出してきて
天津伊勢丹のように30年続けば
私も高齢者として行きたいと思います!
 
 
本日も、最後までお読み頂きありがとうございます。

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