中カツ!通信 第183号 H&M 445店舗が一夜にして消え去った?!
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こんにちは中カツ!通信の野村です。
上海も桜が綺麗な季節になりました。家の近くの通りも満開です。
もう春の陽気で衣替えの季節ですね~
最近、中国で桜以上に話題になっている花といえば
綿花
アパレル世界第二位、スウェーデンのH&MがBCI(ベターコットンイニシアチブ)という非営利法人の報告に基づいて新疆綿花を使用しないと発表したことについて、中国国内でH&Mへの不買運動が起きております。
BCIはより持続可能な方法で生産された綿花を「ベター・コットン」と定義しており「環境保護」だけでなく「労働」についても重視しております。
具体的にどんな内容が書かれていたのかH&MのHP上の原文を探してみました。
ただ、リンクが切れてしまっているようで見れませんでした。
他のネット上の情報によるとH&Mが、この発表をしたのは2020年9月。もうすでに半年近くの前に種は蒔かれていたのですね…
ただ、3月24日に注目が集まり問題の花が開くと、このH&M前線は一気に拡大していきます。
24日には多くのメディアがH&Mを非難する報道を行い、これまた多くのCMに出演してた芸能人が、「協力関係は無くなった」と発表しました。
それだけではありません。
同じく24日にはアリババ、京東等、ほぼ全てのECプラットフォームから商品が検索できない状態になってしまいます。また一部のお店ではリアル店舗も営業停止となっているようです。
(H&Mに関する商品はみつかりません)
残っているのは中古品売買サイトくらいです…
ちなみにBCIはNike、adidas、GAPなど多くの欧米系ブランドだけでなく日本ではユニクロのファーストリテーリングやASICSもメンバーとなっております。https://bettercotton.org/find-members/
なので新疆綿花についてH&Mだけではなく、Nike、adidas、ユニクロも「弊社では使用していない」等の声明を2020年に出しておりました。
この状況を考えると現在ECから姿を消したのはH&Mだけですが、今後更なる拡大もないとは言い切れません。
また各ブランドとも中国で多くのリアル店舗を展開しており、上海のショッピングセンターでもよく見かけます。
1ユーザーの立場からするとH&Mは、まだしもユニクロ製品の購入まで影響がでるのは困ります。
ちょっと様子をみにいこうと思い立ったものの、どのショッピングセンターに店舗があったかうろ覚えなので大衆点評という店舗情報アプリを開いているみると、すでに検索結果が表示されない状態です…
気を取り直して地図アプリの百度地図で同じく検索してみても同じ結果に。
ECだけでなくリアル店舗すら表示させないとは、徹底されていますね…
桜舞い散るどころのスピードではありません。
ここまでくると社会的に存在していないのと同じ扱いです。
とりあえず一番近くのショッピングセンターに行ってみるとユニクロ、Nike、adidasは店舗があったもののH&Mは元からありませんでした。
日曜日の12時半過ぎのユニクロの様子はというと、いつも通り盛況で一安心です。
ただNike、adidasはそれぞれ店内に1組だけとかなりガラガラの様子。
店舗視察は次女の散歩も兼ねていますので、娘の靴を選んでいるていで店員に影響がないかを聞いてみると
「今のところ影響ないよ。むしろあのニュースを見て何人かが在庫処理のセールは始まりましたか?と聞きにきた(笑)」
と余裕の受け答えでした。
ちなみに、今回の件が起きてからの特別セールは行っていないとのこと。何人にも聞かれるので、その店員さんはわざわざH&Mならセールやっているかもと店舗に行ってきたとのこと(笑)
そうしてH&Mがはいっている近くのショッピングセンターがどこかを教えてもらいました。
実際にadidasの横にはLining(李宁)という中国の有名ブランドの店舗があったのですが、そこは1組のお客さんもおりませんでした。
客数が少ないのはブランドごとの問題ではなく、ショッピングセンター自体の集客能力に原因がありそうです。
H&Mがあるショッピングセンターに移動してみると、相変わらずユニクロは、なかなかの盛況。
それに対してH&Mはというと2フロアーを使った大きな店舗にも関わらずお客様は2組のみ…
やはり影響が出ているのでしょうか。
そして、それ以上に驚いたのが従業員がいないこと。さっきのNikeの時と同様に娘をだしに話しかけてみようと思ったのですが、1階にも2階にもレジにも店員がみあたりません。
13時半頃で昼休憩をまわしているとしても、さすがに少なさすぎです。あきらめて出て行こうとしたときにレジに何かを抱えて一人戻ってきましたが娘もグズッてきたので、話かけることをあきらめ店舗を後にしました。
H&M中国にとってはCOVID-19ショックから抜け出した後のCOTTON-21ショック。売上へのダメージは収束時期が見えない状況です。
中国で不買運動の対象になったブランドは過去にいくつもあります。
例えば2018年11月に中カツ!通信で取り上げた
炎上マーケティング?!D&G(ドルチェ&ガッバーナ)爆買いの後の爆死
http://chuukatsu.blog.shinobi.jp/shichang/dandg
などは覚えてる方もいらっしゃるでしょう。
今まで中国を含む東方文化軽視的な発言や広告で国民感情を刺激し起こった不買運動は謝罪で沈静化をはかってきました。
対して今回のコットン問題は、企業としてグローバルマーケットに対してのスタンスに関することなので謝罪という手段が非常に難しいです。
今回の新疆綿花に関して国内アパレルブランドは新疆綿花を使うことを支持することを積極的に表明しています。
中国市場では今回の件とは関係なく国内ブランドが成長してきております。
綿花問題と同じく3月24日の報道でスポーツアパレルメーカーのANTA(安踏)の純利益がadidasの利益を抜いたというのです。
もちろん売上額としてはadidasがまだまだ上なのですが、コロナの影響で利益が大幅に下がったのが原因です。
世界市場でのシェアは、まだまだなものの中国国内市場においては徐々に差を縮めておりスポーツアパレルの市場シェアとしてはadidasにもう一歩で届くというところまで追い上げてきております。
H&Mも昨年1月末に武漢に100万元の寄付を行い感謝されていた時には今年の状況は夢にも思わなかったでしょう。
来年の桜が咲くころには世界と私たちの周りには、どの様な変化がおきているのでしょうか。
楽しみでもあるし、怖くもある。
それでも希望を持って自身のやるべきことをやっていくしかないですね。
私としては来年は日本で皆とマスク無しで花見ができるようになっていてほしいものです。
今回も最後までお読み頂きありがとうございます。
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