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中カツ!通信

「中カツ!通信」は中華圏歴19年を超え、湖南省出身の妻と娘と上海で暮らす野村が「中国で勝ちたい人」のために、「日々ちょっと活力を得られる情報」を、お届けするブログです。

中カツ!通信 310回 罵倒苦情殺到の人気スーパー神対応。みじめでもボーナス

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こんにちは中カツ!通信の野村です。

ネット検索大手 百度の対話型生成AI
「文心一言」
の一般向けサービスが開始されました。

背景に水印(ウォーターマーク)が
入っていて、誰が生成したか
識別できるようになっています。
 
変なこと聞いてSNSにアップするのは
やめましょうね…
 
画像も生成できるということで、
お願いしてみます。
 
「可愛いマスコットを描いてください
日系、ファッション、70年代生まれ、可愛い」
 

どうでしょう?
 
ドラえもんをオマージュしながら
着ぐるみの質感が70年代っぽい?
 
けっこうイイ感じ!と思い
娘に「これ欲しい?」と聞くと

 

「いらない、あんま興味ない」
 
という反応でした…
 
70年代が悪かったのか?
もう少しプロンプトを
研究してみたいと思います。
 
 
日本語での質問は対応していないが
日本語で回答できるというので

先ほどの返答できた中文の翻訳を

お願いしてみると

「申し訳ありません」の一言
 
最初の文だけ翻訳してくれたのか、
翻訳できないことへの謝罪かは
不明なものの潔さを感じます(笑)
 
他にも小説を書いてくれたり
グラフを作ってくれたりもするので
生成AIを活用した中国語の
コンテンツが更に増えそうですね!
 
とはいえ、
すでにコンテンツは溢れており、
自身の投稿へ注目やトラフィックを
集めようとすると差別化のために
言動が過激になってしまう例も
多く見受けられます。
 
仕事としてカスタマーサポートを
提供していると、お問合せと同時に
様々な、ご意見を頂きます。
 
最近ですとAIでの対応も多く
オンラインチャットで
 
「原産国はどこですか?」
「安全基準は満たしていますか?」
 
など明確な答えがある問い合わせは
AIが回答してくれます。
 
ただ、明確な答えがない質問や
ご意見に対しては人で対応します。
 
また、こちら側が明確に
「正しい」と思った回答であっても、
お客様が納得されない時もあります。


感情的な反応がくることもあり
従業員には、かなりのストレスになり
弊社にとっても課題であります。
 
最近、お客様の罵倒への対応が
話題になっている企業があります。
 
「胖東来」
 
は河南省のみでスーパー等を
展開しているのに
 
 
「小売り界の海底捞」
 
ともいわれ、
顧客と従業員への
ホスピタリティと誠実な対応で
全国から視察がくる有名企業です。
 
 
顧客対応においては
ノードストロームのように
伝説の逸話がいくつもあるだけでなく
 
日常的に顧客の声に徹底して
向かい合っており、HP上には
質問やご意見に対しての処理結果が
毎日数十件も表示されています。
 
苦情を寄せると御礼をされるので
本当に些細なことをふくめ
お客様からの意見が殺到しています。
 

 
下記は胖东来の顧客意見が
公開されているリンク
https://i.azpdl.cn/pdl-index/event/advice/index.html?v=20220808
 
内容は、
 
「パン売り場に蠅が飛んでいた」
「パイナップルが割引されてない」
「広場の段差が子供に危ない」
 
など昼休みに同僚にグチってそうな
レベルのものも多いものの、
一つ一つに丁寧に対応した結果が
公開されています。
 
そんな中、最近話題になったのは
あるクレームの話。
 
ショート動画の抖音(TikTok)で
 
「胖東来で怒鳴り散らしているの初めて見た」
 
 
という動画が投稿され注目を集めます。
 
激しく店員を罵倒する顧客が撮影された
45秒の動画は胖東来も知ることとなり
関係者への2回にわたる調査が実施され
8ページの調査報告書が公開されます。
 
経緯として以下。
 
ある日の晩、閉店時間が迫り
 
店員は売れ残った商品の一部を
値下げ処理するために包装と
再計量しようとしています。
(肉、野菜、果物は計り売りが多い)
 
多くの顧客が押し寄せてくるなか、
ある顧客は割引商品を取らず、
自分で選んだ商品を割引価格で
販売してくれと要求します。
 
その店員は、
割引はお店が選んだものだけが対象で
自分で選んだものは割引できないと伝えます。
 
店員が説明する間も、
多くの人が割引商品に殺到し
作業を続けることができなくなり、
仕方なく計量を一時停止し秤から離れ、
6分ほどして戻ってきます。
 
最初に通常商品に割引を貼るように
要求した顧客はまだ残っており
自分が選んだ商品に
割引価格を貼るよう要求しました。
 
これも拒否すると、
その顧客は動画に撮影されたように
激高し大声で店員を罵倒します。
 
報告書には経過だけでなく原因、
対応・処理結果、教訓、改善策が
示されています。
 
 
ネットで最も注目されたのは
その対応・処理結果です。

胖東来氏が最初にしたことは、
顧客への謝罪です。

部署のリーダーが
6分待たせてしまったことのお詫びと
苦情を伝えてくれたお礼として
500元を持参し、謝罪に行きます。

 

そして罵倒された店員に対しては
処罰ではなく逆に5,000元(約10万円)の
ボーナスを与えました。

胖東来には「委屈奨」という制度があります。

委屈とは、
他人から不当な扱いを受けたり、
我慢しなければならない
辛い気持ちや不満の感情で
 
「みじめだったで賞」
「大変だったで賞」
 
というニュアンスに近いです。
 
胖東来は
そもそも相場より給与も高く
この「委屈奨」以外にも、
 
従業員のワークバランスを考えた
多くの制度があり、
 
「週40時間以上働いたら罰金」
「退勤後に電話に出たら500元罰金」
 
などは有名です。

 
ただ、従業員になんでもかんでも
優しいわけではなく、
 
今回の件では管理者に対しては
3か月間の降格処罰がされています。

(ちなみに処罰の最終決定は投票)

 

また報告書によると、
罵倒した動画が拡散されてしまった
胖東来が500元を持参した顧客は
自分に非があったことを認め
店員への謝罪の意を伝え
最後まで礼金受取を拒否したとのこと。

 

この罵倒した顧客も、
割引拒否はきっかけに過ぎず
 
何か胖東来以外でのストレスが
もう置き場のないくらい溜まっていて
一気に放出させたのかもしれませんね。
 
ただ今回の店員のように
その放出された感情をストレートに
ぶつけられている人達は
理不尽だと感じていても
企業や組織の窓口ですので、
 
「無視しておけばいいじゃん」
「正論でやりこめればいいじゃん」
 
というわけにはいきません。
 
もちろんお客様であっても
貿易パートナーであっても
違法や、間違っていると思うことに
こびへつらう必要はないものの、
 
対立関係を煽るような言動は
できる限り避けるべきというのが
カスタマーサポートの考え方です。
 
徹底的に事実を調査をして
 
公開していくとともに
 
顧客だけでなく
最前線で矢面に立っている人を
大事にする胖東来の仕組みは
見倣うべきところがありますね。
 
これだけSNSが発達した社会
説明もせずに、
 
「いつか分かってくれる」
「とりえあず謝ってやりすごそう」
 
という甘えではなく、
 
詳細な調査・対応結果を
相手に伝わる言葉で公開するのは
 
クレーム当事者以外にも
 
自分達のスタンスを示し
支持を集めるためにも重要です。
 
最近では、日本大使館の微博も
投稿が増えていますね。
 
世界は、まだストレスに溢れています。
 
発散する場所を探している人もいます。
 
対話型AIが
 
 
「ちょっと一言聞いてくれる?」
 
というようにストレス解消にも
使われだすと
 
カスタマーサポートや
隣のご近所さんへも
 
相手の立場に思いを巡らした
建設的なご意見が増え
 
相思相愛(AI)の関係に
近づけるのではと期待しています。
 
 
ストレスを感じながらも
常に誠実に対応してくださっている
弊社の従業員と両国の方には
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 
中カツ!通信に対しても
建設的なご意見を是非お寄せください!
 
 


本日も最後までお読み頂きありがとうございます。

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