中カツ!通信 第216号 双11、9.6兆円で過去最高だけど、個人的には過去最低
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中カツ!通信 第216号 双11、9.6兆円で過去最高だけど、個人的には過去最低
こんにちは!中カツ!通信の野村です。
今年も輸入博と双11(ダブルイレブン)が終わりました!
11月12日0時の時点で
天猫の双11の総売上額(GMV)は5403億元(約9.6兆円)と、8%以上の成長を見せ、またもや歴代の最高記録を塗り替えました。
2011年が52億元(約925億円)ですから、10年で100倍以上になっています。
ただ、統計のルールは変わってきており、今では対象となる期間が11月11日の1日ではなくなっておりますのでご注意を。
イベント期間の延長については昨年の双11(ダブルイレブン)について書いた以下の記事をご参考下さい。
中カツ!通信 第164号 双11 本当に、そんなにスゴイのか?
このルール変更により2019年から2020年は1.85倍以上になりましたので、同じ記録として比較するのもどうかと思うのですが‥‥
またEC2番手の京東については3491億元と昨年から約27%伸び、こちらも最高記録を出しました。
京東では双11期間中に31のブランドが10億元(約178億円)以上の売上を達成し、Appleにいたっては100億元(約1780億円)を超えたとのことで有名ブランドの躍進が目立ちました。
これは今年4月の、あの事件が影響しています
中カツ!通信 第185号 アリババに独禁法違反で3000億円の制裁金
「オレ(アリババ)のところで商売したけりゃ、あいつ(京東)には店出すな!」
で、今まで京東のキャンペーンには参加できなかった企業が、今年は参加できるようになったので、消費者の中にTMALL(アリババ)でなく、京東で購入する人が増えたのでしょう。
ECが次々と最高記録を更新する一方で、前日10日まで行われていた輸入博の契約意向額は、707.2億米ドル(約4531億元、約8兆円)と昨年から2.6%ダウンしました。
「コロナ等の影響で」と説明がされており、肌感覚として入場者数も昨年より少なかったので、「契約意向額が下がるのも当然だよね」と思う一方で、
「国家級のイベントで最も注目が集まる契約意向額(後から言い訳がしやすい数値)であっても下がるんだなぁ」
と、少し驚きました。
中カツ!通信では過去数年の11月11日の売上額について紹介してきており、売上額については、毎年その正当性に疑問を持つ人が少なくありません。
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2018年11月11日
TMALL1日で約3.5兆円の売上!何故シングルデーなのにダブル11?
2018年11月19日
2019年 11月18日
第109回 ジャックマーは詐欺師?売上記録は捏造か?W11と輸入博、オンラインとオフラインの2大イベント(後編)
2020年11月16日
中カツ!通信 第164号 双11 本当に、そんなにスゴイのか?
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数年前まで
「双11(ダブルイレブン)のアリババは一年で一番安い日、半額の日」
というイメージがありました。
ただ今では多くの人が、
「双11のアリババは一年で一番安い日とは限らない」
という認識に変化しています。
今回の双11でも注目を集めたライブコマース。
最も有名なライバーの2人は今回、双11の1回のライブコマースで
李佳琦 106億元(約1887億円)
薇娅 82億元(約1460億円)
もの、売上を記録しています。
彼らは一年中「一番安い!」をスローガンに、ここまでは成長してきており、双11が終わった後も、「一番安い!」は出現してくるでしょう。
京東、拼多多といったアリババ系列以外の大手のECチャネルも増え、抖音(TikTok)、小红书(RED)といったところでもECが始まり、ネット人口の伸びが鈍化している市場の中で限られたパイの奪い合いが始まっております。
毎日の生活の中で、
「こんな商品が売れていますよ!」
「あなたもこんな商品欲しくないですか?」
「あなたの興味持っている商品がキャンペーン中ですよ!」
という各種広告をこれでもかと注入されているわけです。
フォアグラの原料になるカモは強制的に餌付けされていて残酷だといわれますが我々の脳も日々の餌付けで
「せっかくの双11だったら、あの商品が欲しいカモ」
と思わされているのカモしれないですね…
自宅のマンションでは双11で購入された荷物が受取ロッカーの近くに不法投棄されたのかと思うほど雑多に並べられています。
別の荷物の山から配達をしていた、お兄ちゃんに1日の配達量を聞いてみると、
「ここ数日の一日に届ける量は600から700個くらいっすね。昨晩も12時過ぎまで働いてました…」
と、さすがに疲れ気味でした。
今年の双11は炭素排出削減というテーマもあり、緑色(エコ)商品の特別ページが作られ50万点以上が出品され、1億元(約17.8億円)の補助金がアリババから出されています。
1年分もしくは、もう一つのECキャンペーン618(6月18日)を併用して、半年分が、まとめ買いされるなら配送のエネルギー効率もあがってエコかもしれませんが、双11の熱気と雰囲気に浮かれて買ったものは返品率も高いので双11の開催自体が、それほどエコでない気もします。
輸入博も双11も中国の市場の大きさと成長率を象徴するイベントです。
特にTMALLの双11はネット人口が増え続けるEC先進国の中国市場の成長の象徴でありましたが、今後は期待される役割が変わってくるのかもしれませんね。
現在でも企業にとって双11は大きな売上のためのイベントであることは間違いないものの、
大きく利益を稼ぐ場所ではなく、知名度を上げるための広告効果、新規の顧客接点を持つためのイベントとして位置づけられています。
双11で買ってもらった初めてのお客様に対して、企業Wechatを使って関係構築をし、1対1やチャットグループでコミュニケーションを続け、再購入の時はアリババや京東ではなく自身のEC店舗に誘導するケースも、どんどん増えてきています。
インフレがどんどん進み、物価高で売上記録が伸び続けるのでなければ双11の売り上げ記録更新も止まるはずです。そして、それは来年かもしれません。
個人的には輸入博には来年も行こうと思っております。なぜなら普段は関心がなかったものに偶然出会えるセレンディピティが溢れているので。
(今年のJETROのブースも面白かったです)
ただ双11は今年でも食傷気味でクーポン券をゲットするためのゲームも途中でやめてしまい、自身では過去最低の1つの商品しか買いませんでした。来年からは、更に興味が薄れていく気がしています。
今年、唯一自分自身で買ったものはというと、元々の勤め先のカゴメの
「野菜一日これ一本」
・あれこれ考えなくてもいい安心感
・なんでかんでも欲張って欲しがらない感じ
・緑色(エコ)な感じ
が、今年の自分の双11に対するスタンスを象徴しているなぁと思っています(笑)
私が年をとって物欲が減ってきただけなのか、それとも中国市場の風潮の変わり目なのかは分かりませんが、ダイナミックに変化し続けていることだけは間違いありません。(中国国内で11月11日を「独身の日」なんていう紹介をしているメディアは見かけないですし…)
今後ともその変化の一端を中カツ!通信で紹介していきたいと思います。
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。
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